内分泌代謝内科 備忘録

侵襲性カンジダ症の治療ガイドライン

米国感染症学会によるカンジダ症の治療ガイドライン

Clin Infect Dis 2016; 15: e1-e50

 

好中球減少症ではないカンジダ血症の治療についての推奨

1.  初期治療はエヒノキャンディン(カスポファンギン初回 70 mg 投与後 50 mg/日、ミカファンギン 100 mg/日、アニデュラファンギン 初回 200 mg 投与後 100 mg/日) (強く推奨、エビデンス高)。

 

2.  全身状態が安定していて、フルコナゾール耐性カンジダが疑われない場合は、初期治療としてフルコナゾール 初回 800 mg 投与後 400 mg/日 静脈注射または経口で開始しても良い(強く推奨、エビデンス高)。

 

4.  エヒノキャンディンからアゾールへの変更は治療開始から 5-7日後で、全身状態が安定していて、アゾールに感受性の株(Candida albicans など) であり、血液培養が陰性化している場合に検討する(強く推奨、エビデンス中等度)。

 

10.  カンジダ血症と診断されてから1週間以内に眼科で眼内感染症の検索を行え(強く推奨、エビデンス低)。

 

11.  カンジダ血症と診断したら、血液培養が陰性化した時期を同定するために、毎日あるいは一日置きに血液培養をくり返せ(強く推奨、エビデンス低)。

 

12.  遠隔病巣がないカンジダ血症の治療期間は、カンジダ血症による症状を認めず、血液培養陰性化を確認してから2週間が経過するまで(強く推奨、エビデンス中等度)。

 

 

慢性播種性(肝脾)カンジダ症の治療についての推奨

24.  初期治療としてアムホテリシンB 3-5 mg/日またはエヒノキャンディン(カスポファンギン 初回 70 mg 投与後 50 mg/日、ミカファンギン 100 mg/日、アニデュラファンギン 初回 200 mg 投与後 100 mg/日) を数週間続ける。フルコナゾール耐性株が疑わしくなければ、初期治療後にフルコナゾール 400 mg/日を継続する(強く推奨、エビデンス弱)。

 

25.  治療期間は通常数ヵ月。画像検査を再検し、病変が消失するまで抗真菌薬投与を続ける。治療を早期に中断するとしばしば再燃する(強く推奨、エビデンス低)。

 

 

カンジダ眼内症についての推奨

82.  好中球減少症ではないカンジダ血症患者では診断後1週間以内に眼科に眼底検査をしてもらえ(強く推奨、エビデンス低)。

 

 

硝子体炎をともなわないカンジダ網脈絡膜炎の治療についての推奨

85.  フルコナゾールに感受性の株であれば、フルコナゾール 初回 800 mg 投与後 400-800 mg/日で治療する(強く推奨、エビデンス低)。

 

86.  フルコナゾールに耐性の株の場合は、アムホテリシンB脂質製剤 3-5 mg/kg/日±フルシトシン 25 mg/kg 1日4回で治療する(強く推奨、エビデンス低)。

 

87.  病変が黄斑に及んでいる場合は、上記治療に加えてアムホテリシンB デオキシコール酸 5-10 mcg またはバリコナゾール 100 mcg を蒸留水 0.1 mL に溶解して眼内注射する(強く推奨、エビデンス低)。

 

88. 治療は 4-6週間は続ける。治療終了時期は眼科医が眼底検査で病変を認めなくなった時点で決める(強く推奨、エビデンス低) 。

 

83. 眼科医には網脈絡膜炎なのか、黄斑に病変があるのか、硝子体炎があるのか診てもらえ(強く推奨、エビデンス低)。

 

84. 眼内炎を抗真菌薬だけで治療するのか、硝子体手術を行うのか、感染症科と眼科でよく相談しろ(強く推奨、エビデンス低)。

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4725385/

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