晴天の秋の休日の一日を利用して、かーたんと駒場公園に行ってきた。この公園は、前田利為侯爵の邸宅だったもので、侯爵が陸軍中将時、ボルネオ方面司令官の折、戦死した後は、旧中島飛行機に買い取られ、戦後進駐軍に接収され、その後に都に寄贈され、都立公園になった。さらには都から目黒区に移管され、今は目黒区立の公園として一般に公開されている。その園内には日本近代文学館が併設されている。拙宅から20分ほどのプロムナードだ。
到着後、早速、邸内に入り、玄関脇の広間に喫茶室が設けられているのを見つけた。その名も「カフェ・マルキール(侯爵様の喫茶店)」そこでかーたんはコーヒー、オカブはアップルジュースなどを飲んで寛いでいると、午後2時からボランティア有志によるガイデッドツァーが催されるという。せっかくだからツァーに参加することにする。この邸は全体的には、イギリス・チューダー様式を取り入れ、そのほかにもイタリア風、ギリシャ風、アール・ヌーヴォー風などの様々の意匠をその建築様式や、室内装飾に取り込んでいるという。このツァーの解説で、一時、テレビで活躍したマナー評論家の酒井美意子女史が前田利為侯爵の長女だということを図らずも知った。
しかし、まったく今日は天気晴朗である。外の庭園では、どこかの幼稚園が貸切にして運動会などをやっている。まさに運動会日和である。
運動会が済んだ庭園で、おにぎりなどを食べ、家路についた。
空遠し五十路の半ばの秋晴れや 素閑
前田侯爵邸。正面玄関を庭園側から見る。
玄関脇の小室。菊子侯爵夫人が習い事の折などに使用したという。
同上。
二階へ上がる正面階段。これだけの規模を持った階段を持つ洋館は日本でもまれという。
一階大広間の窓。庭園を望む。
階段のステンドグラス。夜会の際などに主人を映えさせるために地味目の装飾にわざとされているという。
喫煙室。大広間からの視界を外れ、夜会に際の密談などに用いられたという。
庭園側から前田侯爵邸洋館を望む。