ワニと読むミステリ(災厄の紳士)

読むと、性格は変えられないし、知っていることを無視することもできません。

(D・M・ディヴァイン著)
ディヴァインの作品がまた翻訳刊行されて、ワニとしては大変うれしいです。
ついつい引き寄せられて一気に読んでしまい、おかげで寝不足ですがとても途中でやめることができませんでした。
のっけから不安な始まりで、たくさんの小さなことがらが、手掛かりなのかそうでないのか、もう気になって気になって深読みしてしまったりで、楽しく翻弄されました。
こういう本格ものは格別の味わいです。どうしてこのごろはこのような珠玉のミステリがでないのか、実に残念。
1971年に発表されたものが、ようやく今日本で読めるようになりました。そしてまだたくさんの未訳があるので、ワニはワクワクして日本語訳がでるのを待っています。
この作品は、ジゴロ(こんな言葉はまだ生きています?)が標的にした女性に近づくところから始まります。
いつもは年をとったお金持ちの女性ばかりを相手にして稼いでいるのに、なぜ今回は若い女性なのか。
アルマが子供の時から好きだった男性と婚約したときに、なぜ父親は相続人から名前をはずすとまで言って大反対したのか。あんなに仲の良かった家族同士が突然絶好状態になったのは何があったのか、それを誰も語ろうとしないのは、なぜなのか。
ジゴロには共犯者がいるようだが、その共犯者の目的は何?
恐喝で金をとろうとするのに、なぜこんな手の込んだやり方をする必要があるのか。
まんまと金をゆすりとったあと、ジゴロはどこへ消えてしまったのか。
登場人物の性格、誰かが言ったなにげない言葉、それが事件を解くカギになっていますが、ディヴァインの筋運びに隠された手がかりはなかなかこちらに向かって微笑んではくれませんよ。
読み終わったときは、思わず大きな息をはいてしまいました。
早く次が翻訳されると良いです。

■既刊
 ディヴァインの作品には、いわゆる名探偵はでてきません。すぐそこに存在する人たちの中に邪悪があって、それが物語中の人物の目を通して徐々に明らかになっていく展開です。それは読者自身の目かもしれず、もう少しでわかりそうというじれったさが、また魅力の1つです。

 悪魔はすぐそこに
 ウォリス家の殺人
その他にもあります。
   兄の殺人者
   ロイストン事件
   こわされた少年
   五番目のコード
 
主人公:   ネヴィル・リチャードソン(ジゴロの青年)
      アルマ・ヴァランス(ヴァランス家の次女)
      サラ・ケイン(ヴァランス家の長女)  
場所:  イギリス、サリー州カトリング
グルメ: なし
動物:  なし

災厄の紳士 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M テ 7-3)
D・M・ディヴァイン
東京創元社

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