Learning Tomato (旧「eラーニングかもしれないBlog」)

大学教育を中心に不定期に書いています。

vol.257:ゴールデン・スランバー

2008年01月11日 | eラーニングに関係ないかもしれない1冊
ゴールデンスランバー
伊坂 幸太郎
新潮社

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明けましておめでとうございます。さて、2008年も10日が経過しました。従いましてやや時期を逸した感はあるのですが、私(ナカダ)にとっての2007年ベストワンの小説である、伊坂幸太郎氏の「ゴールデン・スランバー」をご紹介したいと思います。

伊坂幸太郎氏2年ぶりの書き下ろし長編となった本作は、首相暗殺の濡れ衣を着せられた主人公が知恵と勇気を振り絞り、かつての仲間たちの助けも借りて大きな陰謀からの脱出を図るという、これまでの伊坂作品とは一味違った壮大なスケールの話となっています。

しかしながら、決して大味な作りになってしまうことはなく、登場人物たちの洒脱な会話や、絶望的な状況下でも奇妙な明るさをたたえた登場人物たちのキャラクター造形は、紛れもなく伊坂作品のテイストそのものです。何よりも、作中にさりげなく散りばめられた伏線が物語のクライマックスで見事に収斂していくストーリーテリングの巧みさは、まさに伊坂氏の本領発揮と言えましょう。「あー、これがここで出てくるのか!」と思わず悔しくなる(?)ような巧みな構成は、まさしく上質なマジックを観ているかのような快感です。

『ラッシュライフ』や『チルドレン』に親しまれた方は、本作でもその名人芸に酔いしれることが出来るでしょう。さらにはこの物語の構成テクニックはe-Learningや通信研修の教材設計にも役立てられるのではないかと思った次第です。(年初めなので一応e-learningにこじつけてみました...強引でした)

ところで私の過去5年のマイベスト小説(日本人作家)を挙げてみますと、

2003年 『アヒルと鴨のコインロッカー』
2004年 『チルドレン』
2005年 『半島を出よ』(セカンドベストが『魔王』)
2006年 『終末のフール』
2007年 『ゴールデンスランバー』

と気がつけば伊坂幸太郎氏の著作が5作中4作を占めております。単なる読書傾向の偏りかもしれませんが、2008年、次回作が今年のうちに出るのかどうか気になって仕方ありません。それでは今年も良い本に巡りあえることを願いつつ、本コーナーの投稿も頑張ってまいります。それでは本年も「eラーニングに関係ないかもしれない1冊」をご愛読のほどよろしくお願い申し上げます。(文責:ナカダ)

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