Learning Tomato (旧「eラーニングかもしれないBlog」)

大学教育を中心に不定期に書いています。

vol152:ラーナーセントリックな人体実験「考えをまとめて書く」

2005年06月11日 | Learner Centricな人体実験
本コーナーでは、2005年春から筆者が入学した桜美林大学大学院の大学アドミニ ストレーション専攻通信教育課程での奮戦記をお送りしています。

  さて、5月末締め切りの第一リポート(4000字×3種類)がやっとこさ終わり、一 息ついたのもつかの間、第二リポート締め切りまでとあと1ヶ月。それ以外にも研 究指導での発表、「大学e-learning戦略論」という授業のリポート(2000字×3) と、相変わらずレポート漬けの毎日をすごしております。今回はこの「考えをまと めて書く」ということについてお話したいと思います。

ディスカッションVSリポート  
 現在、私は通信制の課程に在籍していますが、「大学e-learning戦略論」という 通学のコースへの出席と研究指導のため、週1回のペースで大学院に通っていま す。ここでは、先生の講義を黙って聞くという事は全くなく、基本的には生徒の発 表とディスカッションが中心の場となっています。正直な感想としては、これ は「楽しい」です。大した事を議論している訳ではないのですが、やはり同じ分野 で働く者同士のディスカッションは非常に共感性を持って聞くことができますし、 逆に共感を持って話を聞いてくれるので、知的充足感に溢れた空間が形成されま す。
  一方、メインの通信教育の方はというと、ひたすら本を読む。参考文献をチェッ クする。要旨をまとめる。自分の考えをまとめる。自分の仕事への適用を考える。 最後にリポートに記述する。という地味で孤独な学習活動が続きます。みなさん だったらどっちの学習がいいですか?

書くことの意義
  ほとんどの人が、ディスカッションを選択するはずです。しかしディスカッショ ンの前提として、1)最低限の知識を理解し、2)それを自分の言葉や考えで話せること が必要になってきます。まず1)が分かっていないと話についていけなくなります。ま た、1)をクリアし、知識として理解していても、それを話すだけでは「単なる物知り のいやな奴」にしかなれません。2)をクリアし「こーいう知識があるんだけれど、俺 はこう考える」というスタンスでディスカッションに臨む事が大事です。そのため には事前に「書いてまとめる」という訓練がとても有効です。

まとめる=捨てる  
 実は、私はこの「書く」という行為について、少々自信を持っていました。毎週 メルマガを書き、学内での稟議書の起案数も多く、パワポのスライド作成スピード は講演時間よりも短いという特技を持っているので、「まあなんとかなるだろう」 と高を括ってました。  確かに書ける。4000字ぐらいであれば1日あれば書く自信はあるのですが、それ は単にWordファイルに字が埋まっているだけの状態です。そこからが苦闘が始まり ます。書いたものを削除し、また新たな文書を付け加え、調整し、さらに削除す る。4000字のレポートを書くために、だいた8000~10000字ぐらい書いているような 気がします。きちんと考えをまとめてから書けばこういう事にならないのではと思 うのですが、私の場合、書いたものを見直すと削除箇所だらけで、当初の文書構成 はどんどん変容していきます。一応削除した文章も「没原稿」として別ファイルに とってあるのですが、まあ二度と日の目を見ることはなさそうです

 WebディスカッションVSリポート  
であれば、Webでのディスカッションボード等で議論すれば、「書くこと」と「議 論すること」が一石二鳥でできていいではないか?と思われるかもしれません。し かしリポートで書く文書と、Webディスカッションでの文書は本質的に異なるものだ と私は思っています。たとえ非同期で考える時間があったとしても、Webでのディス カッションでの文書は「文書としての熟成度」よりも「話の流れの中でのタイミン グ」が重視されるように思えるからです。また、Webでのディスカッションでの文書 ではロジカルに書く部分だけでなく、エモーショナルな部分での気遣いも必須なわ けで、その意味でも異なるものと言えそうです。

書くe-learning
 我々産能大のものもそうなのですが「書く」e-learningって少ないですよね。ほ とんどが客観式Webテストを回答するものばかりです。おそらく通信教育の良さっ て、この「書く」部分なのではないかと考えています。学内でも「記述式リポート への回帰」ということが最近よく議論されるようになってきました。書くというこ とにより学習の負荷は相当高くなりますが、それによって得られる理解の深さや達 成感はまた格別のものがあるからです。などと偉そうな事を書きつつ、添削された リポートは今月末ぐらいに届くとのこと。この待ち時間も「人が見てくれているん だなあ」という感じにさせてくれるので、個人的には好きです。


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