Learning Tomato (旧「eラーニングかもしれないBlog」)

大学教育を中心に不定期に書いています。

vol262."12 Wishes for Our LMS and LCMS(前編)"

2008年02月21日 | 海外情報
eラーニングコンサルタントのElliott Masie氏が配信している"Learning TRENDS"というメールマガジンが、先日創刊500号を突破しました。
http://www.masieweb.com/trends500

1997年から10年以上休まず配信しており、メールの登録者数は50,000人、世界93カ国に読者がいるそうです。私がMasie氏のメールマガジンを読み始めたのは98年か99年の頃だったと思います。本メルマガはMasie氏のメルマガにインスパイアされて開始したと言っても過言ではありません。Masie氏の見識や文章力には全く敵いませんが、海の向こうで頑張っているMasie氏は筆者にとって心のライバルです。

そんなMasie氏のLearning Trend最新号(April 10 and 11, 2008)は"12 Wishes for Our LMS and LCMS"(LMSとLCMSへの12のお願い)というタイトルでした。

これが中々おもしろい記事だったので、今週と来週で6つずつご紹介します。なお翻訳には相変わらず自信がありませんので、おや?と思ったら下記のサイトにある原文を参照願います。
http://www.masieweb.com/external/learning-trends.html

1. 学習者に焦点を当てる
多くのLearning Management System(LMS)が、導入する企業教育担当者の視点で設計されています。LMSを用いることで、企業の教育担当者は学習者の出席管理や、コースへの参画度合、履修の認定状況を把握することができます。 確かにそういった視点も重要なのですが、それだけでは十分とは言えません。学習システムはもっと学習者に焦点をあてなければいけません。どんなバックグラウンドをもった学習者が、どういう仕事の文脈の中で学習しているかを知る仕組みを学習システムは実装する必要があります。そうした情報を活用すれば、学習者により簡単で効率的で継続的な学びを積極的に提供できるからです。学習者の学びにとって真に役立つ学習システムを我々は求めているのです。

2.コンテンツ、コンテンツ、コンテンツ
LMSが最初に登場した時、その大部分はサードパーティー製で、システムの仕様は、eラーニングコースを買うための「自動販売機」のようでした。その後、企業でのコンテンツの内製化が進むにつれて、多くの企業がLearning Content Management Systems (LCMS) を購入し、コンテンツ開発
とコンテンツ管理の機能を拡張しました。
今後は、ポッドキャストから操作ガイドのFAQに至るまで、現場の社員が開発するコンテンツはますます膨大な数になってきます。学習システムはそれらを管理する方向に進む必要があるでしょう。

3. お願い評価を提示して
学習者は現在受講を検討している講座について、「今まで受講した従業員はどう評価をしているのか」を知りたがっています。学習者の属性や役割によって集計可能な評価結果を提示しましょう!そうすれば自分にとって最も価値のあるコースを選択できるようになると思いませんか?5点法等の評価尺度をつけることは簡単です。評価によって、よいコンテンツはすぐに評判になって職場で閲覧されるでしょう。一方、プアなコンテンツは改善するか募集を停止することができます。

4. より多くのコンテキストを
すべての集合研修は、インフォーマルなコンテキストとフォーマルなコンテンツが融合されています。ちょっとした講師の余談、受講者からの質問やコメント、休憩時間の雑談等がインフォーマルなコンテキストの代表格です。しかしオンライン学習ではこうしたインフォーマルなコンテキストは軽視されがちです。
現場の声をよりアクティブに学習体験に取り込むため、どうしたらオンライン学習者がコンテキストの情報を得られるかを考察する必要があります。そのためには、ディスカッションスペース、ウィキ、ブログ等の協調学習ツールを根本から設計し直す必要があると考えます。多くの状況において、コンテンツの質以上にコンテキストの品質がよりインパクトを持つにも関わらず、我々はまだContext Management Systemというものを知りません。

5. パフォーマンス・サポートツール
学習システムの多くは、学習のニーズや要求を想定して開発されます。これからの学習システムは、「新たに発生したその場の学習ニーズ」に対応するため、パフォーマンスを支援する仕組みを実装してほしいと願っています。理想を言うなら、質問や要求やトピックを送信することができる学習システムであるべきと考えます。
モジュールごとの学習が可能であることに加え、個人のニーズに即したリアルタイムパフォーマンス支援のツールを提供することが、未来の学習システムに向けての重要な課題です。我々の学習者はパフォーマンス支援システムを強く求めています。学習システムはその領域にステップアップしなければならないと考えます。

6. ソーシャルナレッジ
学習システムは、SNSの機能を持つ必要があります。最良かつ最重要な知識の多くは組織において人から人へと共有されるからです。学習者は「学習者/労働者」としての自分を助けてくれる経験者が組織のどこにいるかを知りたがっています。
LMSによりピンポイントな内容を学習するモジュール型のコース提供に加え、我々は関連する仕事の経験を豊富に持っていそうな同僚とリンクできる機能を欲しているのです。学習システムに対する新しいビジョンを確立することで、学習の社会的次元を耕し・促進することが期待されているのです。

いかがでしたか?
個人的には3番の「お願い、評価を提示して」というWishに心を引かれました。しかし、学習修了者が評価に協力してくれないと、システムだけあっても機能しないですね。それとどういう人がどんな学習ニーズで受講したかという情報(つまりWishリストの1番)がないと単に評価だけ表示されても意味がないかもしれません。
全般的に「現場の知」をいかに共有するかという点で各Wishには共通点があるように思いましたが、皆さんのWishとの隔たりはいかがでしたか。残りの6つのWishは次週お送りします。

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