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アンカツこと、安藤勝己騎手を応援するブログです。

凱旋門賞 ディープインパクト 3着

2006-10-02 20:05:32 | 競馬
触れないようにと思ったけど、やはり触れましょう。

凱旋門賞 ディープインパクト 3着
いやあ、なんとも残念だった。
とにかく不運が重なったと思う。


まずスタート、なんだか分からんが好スタートを切ってしまった。
普通の馬ならばOKの話だが、この馬に限ってはねえ。
菊花賞でも好スタートを切って思いっきり引っかかっていたし、
おかしな話だがゲートを普通に出ないほうが良いという馬。

これが日本ならなんとか下がれたんだろうが、さすがは欧州の競馬。
信じられないくらいのスローペースに落ちて、引くに引けない状態。
なんとか宥めて3番手に落ち着くことは出来たが、
これまでにやったことのない形のレースになってしまった。

この馬の最大の不運は、あまりに弱すぎる世代に生まれたこと。
自身は間違いなく日本の競馬史に名を残す実力を備えていながら、
その対戦相手たちは日本の競馬史に残るほどの弱い世代。
ディープ以外は、G1での勝ち負けが出来ないどころか、
そもそもG1へ出走すら出来ないというとんでもない世代だw
その為に、普通の馬が勝ち負けを繰り返しながら体験することを、
ほとんど体験できないままにここに至ってしまった。
ただ一度、ハーツクライに敗れたときがチャンスだったのだが、
その後の3戦はまた弱い馬との戦いに戻ってしまい、
(マイル~中距離ならば古馬に強い馬はそれなりにいるが、
長距離には古馬を含めてもいないこの時代の不運)
進化のチャンスを逸してしまった。


そんなわけで、まったくやったことのない先行競馬でレースが進行。
それでも、前にシロッコという当面の目標がいて、
この馬が前で伸びていれば、それを目標に良い脚を使ったことだろう。
ここでさらに不運。
目標になるべきシロッコがまるで走らなかった。
4角回って抜群の手応えで先頭を窺い、追い出すタイミングを計っていたが、
とにかく前の2頭がやたらと弱くて押し出されるように先頭に。
テレビ解説に呼ばれていた岡部が、
「まだだ。まだまだ」
と思わず声に出してしまったとき、ディープは先頭に立ってしまっていた。

豊としても、とにかく待ちたかったはずだ。
日頃からいつもいつも後ろからの競馬にこだわってきたのは、
最強クラスの戦いならば後ろの馬が有利という絶対的な信念であり、
いつの日かやってくる大レースでの為のはず。
それがこの日、凱旋門賞だったはずだ。
それがまさか、自身の理想を完全に裏切る展開に追い込まれ、
目標を失ったままに追い出しに入らなければならないとは・・・。

その心中を察しようにも、とても想像しきれない。
本当に、本当に後悔の念で一杯だろう。
それは昨日のレースについてではなく、きっとこれまでのレースのことで、
どこででも良いから、レースを捨てて実験をしておけばよかったと、
そう思ってるんじゃないかなあ。
だが、ディープにはそれが許さない特殊な状況が作られてしまっていた。

目標のない差し馬ほど脆いものはない。
最強クラスに限らず、条件戦でもよくある話
「抜けてから遊んでしまった」
差し馬が早く抜けてしまうと、この状態に陥ってしまう。
豊のレース後の表現としては「ギヤが変わらなかった」ということだが、
倒すべき敵が視界に入らない状況でディープに燃えろというのも苦しい話。

外からレイルリンクがやってきたとき、
抜け出されてから一瞬だけ、ディープは差し返そうという姿勢を見せた。
闘志に火がついたのだろう。
だが、形があまりにも悪すぎた。
これはどのクラスの戦いでもそうだが、外から並ばれると、並ばれたほうが苦しい。
内から差し返すなどは滅多になく、とにかく難しい事だ。
相手は未知の魅力を持ったレイルリンク。差し返せるほどに甘い相手ではなかった。

プライドに差されたのは、まあおまけみたいなもんだろう。
レイルリンクに先に出られて闘志を失ったディープが何に差されようとも、
それはもう勝負がついてからの話で、あまり意味がない。


ディープは先行したことが無い(環境による不運)
ディープは競り合いをしたことがない(環境による不運)
好スタートで先行出来てしまった(幸運に見える不運)
欧州特有の超スロー(必然)
この日のシロッコが超弱かった(不運)


まあ他にも細かいことがいろいろと重なって負けたのだと思う。
これまでのディープインパクトの馬生が、
「全てはこの日に負ける方向へと向かっていた」
としか思えない。

ディープインパクトは間違いなく強い馬だ。
俺は18年ほどの競馬人生だけど、最強の1頭だと声を張り上げて言える。
ただ、とにかくライバルに恵まれなかった。
あるべき成長を遂げることが出来なかったのだ、環境が悪すぎた。
ハーツクライとの一瞬の邂逅が、続けばよかったのだけれども。

あるいは、というかこれを強く思うのだが、
前年の王者キングカメハメハが現役でいたならば、
これと戦うことで接戦や敗戦を経て飛躍的な成長を遂げ、
まるで違った成績を残すことが出来たに違いない。
カメもさらに強くなって、2頭で世界を席巻できたのではないか。
それが残念でならない。今日ほどそれを悔しく思ったことは無かった。


何はともあれ、ディープインパクトは敗れた。
最強の座を目の前にしながら、掴み損ねた。
確か今年で引退という声が大きかったと思うが、このまま諦めてしまうのか?
凱旋門の経験は、来年欧州で戦うには素晴らしい経験になったと思う。
これまでの戦い全てを足しても叶わない、最高の財産のはずだ。
来年、もう一度世界へ挑んでみせてくれ。
今度はやれる。経験を積んだディープならばきっとやれる。
世界一の座を掴んでみせろ。
オグリ以来実に久々に日本中を巻き込んだものとして、
それくらいは成し遂げてくれ。
果てしない目標である世界一の座、それをあえて「それくらい」と言いたい。





もう一言。これが本音だが。

日本には帰って来るなw