おんぼらと山陰流 ~わしやちのこだわり~

山陰でおんぼらと(ゆったりと穏やかに)、志した活動に励む人を紹介し応援する「おんぼらと山陰流 わしやちのこだわり」

カレーの街・鳥取の風味をご賞味あれ 鳥取カレー研究所 池本百代さん

2020-08-25 11:00:00 | 日記
鳥取市が、全国でも指折りのカレー好きの街であることはご存知ですか?

鳥取市の一世帯あたりのカレールーの購入金額は年間1856円、量も同1821グラムと全国一。※総務省家計調査2017~19年平均より

そんなカレー王国・鳥取を盛り上げるのが「株式会社鳥取カレー研究所」(鳥取市新)の社長、池本百代さんです。


「株式会社鳥取カレー研究所」社長の池本百代さん

池本さんは2003年、鳥取商工会議所青年部の仲間とカレーに注目した観光マップを作成。「もっと何かできそう」と05年に市民団体「鳥取カレー倶楽部(くらぶ)」を立ち上げ、情報を発信しイベントを開催。09年には、オリジナルのカレールーを販売するために、会社をつくり代表になりました。

完成した「鳥取カレーの素」は鳥取県産の食材をたっぷり盛り込み、「安心して食べてもらえるように」と化学調味料は未使用とのこと。

更に、スーパーやコンビニと一緒にカレーパンやカレーおにぎりを開発したり、カレーピラフやパスタなどのキットを売り出したりしたと精力的に活動を行っています。


また今年1月には、城下町とっとり交流館「高砂屋」(同市元大工町)とコラボし、スパイス食堂「ブーケガルニ」をオープンしました。

ブーケガルニのある高砂屋は明治時代の商家を利用した施設

今回は、そんな鳥取カレーを広めるべく活動をされている池本さんに、鳥取カレーの魅力を語っていただきました。


カレーキットを手に取る池本さん

(池本百代さん)
私にとってのカレーって、家で食べるものなんですよね。
季節のお野菜をぐつぐつ煮て、家庭それぞれの隠し味を入れて。食卓でみんな笑顔になる。

これ入れちゃダメってないじゃないですか。ゆるいんだけどそれがいい。


夏野菜のキーマカレーも人気

でも無農薬で育てた野菜を使っても、最後のルーに添加物が入ってたら、だいなし。

だから、少し値段は張っても安心して食べられるルーが欲しかったんです。


ブーケガルニのカレーはトッピングが楽しい

カレーは誰と話しても盛り上がるんですよ。
みんな絶対食べてるから。

子供に「好き?」って聞いたら「好き!」って元気に返ってくる。
コミュニケーションの入り口になりますよね。

カレーをたくさん食べていることを「手抜きみたいで恥ずかしい」っていう人もいるんです。でも違うと思う。

カレーの素でつくった野菜たっぷりのカレー
(鳥取カレー研究所フェイスブックより)


イベントで、イギリスの陶芸家バーナード・リーチのカレーを再現しました。リーチさんが1935(昭和10)年に鳥取に来た時、地元の女性にカレーを教えた記録があって。

もしかしたら、そこからカレー好きが始まったのかもしれないよね。
そんな文化的な側面もあるんだって知って、すごくうれしかった。後ろに応援団がついてくれたようで、自信が持てたかな。

リーチさんのカレーもトッピングが多かったそうです。
うちのカレーもその流れをくみました。ぜひ食べに来てくださいね。


開発したカレールー「鳥取カレーの素」を手にする池本さん
オリジナル(黄色)とスパイシーなプレミアム(緑色)がある


最新作のレトルトカレーには鳥取県産のムカゴや、丸ごとのどんこ椎茸が。
レトルトも食堂のカレーも、県在住の料理研究家カノウユミコさんが監修。体に優しいルーにカノウさんが賛同し、とんとん拍子で新商品が出来上がりました。

手掛けた商品は数多く、「人との出会いで生まれることがほとんど。他にないもの、そしていいものを心がけています」と、池本さんは語ってくれました。

新商品のレトルトカレーは鳥取の風景をパッケージに

▼鳥取カレー研究所 ホームページ
http://tottoricurry.jp/

山陰中央新報のホームページでは、池本百代さんの記事を始め、島根・鳥取両県のさまざまな情報を配信しています。
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島根に伝わる伝統芸能「石見神楽」、神楽面コレクター竹内惟臣さん

2020-08-21 11:00:00 | 日記
「石見神楽(いわみかぐら)」は、島根県西部の浜田市など人々の暮らしに根差した伝統芸能。
「塵輪(じんりん)」「鍾馗(しょうき)」「大蛇(おろち)」など、定番の演目の囃子(はやし)が聞こえると、血が騒ぐという人も少なくありません。

浜田市大辻町在住の竹内惟臣(ただしげ)さん(80)は、自宅の敷地内に設けた「神楽殿」を持つ、「石見神楽面」の収集家。

そんな、竹内惟臣さんに石見神楽面の魅力などを伺いました。


私設の神楽殿に立つ竹内惟臣さん。石見神楽面のコレクションが壁一面に並ぶ


収集を始めたのは1970年。
大阪万博を訪れた際にお土産を買いそびれ、帰りに浜田市在住の神楽面職人・岩本竹山氏(故人)の工房に立ち寄って般若の面を買ったのが始まり。

50年間で集めた面は500点以上。
神楽殿では、照明器具がない中で舞った昔の雰囲気を再現するため、蛍光灯ではなく裸電球を使うなど、面の見せ方にこだわっています。


日本遺産に認定された石見神楽の定番演目「大蛇」(石見の舞い『神降臨祭』特別公演より)


(竹内惟臣さん)
子どものころから石見神楽が好きで、近所で公演があると舞台にかぶりつくようにして見入っていました。
かっこよく舞う大人たちの姿に憧れ、石見神楽を誇りに思ったものです。


竹内さんが収集を始めるきっかけになった岩本竹山氏作の般若面(中央)


当初は一枚数千円の面を集めていました。多い年で20枚ほど買いました。自宅の廊下に飾っていましたが、並べきれない面は重ねて置くしかありません。

そうすると傷がついてしまう。面がかわいそうだった。
それで神楽殿を設けました。

多彩な表情の石見神楽面が並ぶ神楽殿の一角




今は原材料である石州和紙の価格高騰もあり、面の価格も上がっています。
1枚2万5千円から、高いもので30万円ぐらいしますかね。

仕事に区切りをつけたこともあり、昔ほど気軽に買い足せませんが、最近では3万5千円の般若面を買いました。新人の作家が手掛けたもので「どれくらいの技術を持っているんだろう」と気になり、欲しくなりました。


神楽殿を訪れた人が記帳した名簿を懐かしそうに眺める竹内さん。多くの人に石見神楽の魅力を伝えてきた


神楽殿に来られた方は皆さん、面の数の多さに驚かれます。「日本一のコレクション」と言ってくださる方もいますよ。
私の活動を知り、寄贈してくれる方もいます。本当にありがたいことです。


竹内さんの活動を知った人から寄贈された面


面だけではなく、石見神楽の演目を再現した模型も特注で制作し、神楽殿に展示しています。模型の下に敷いている畳も、本物の畳をケースのサイズに合わせて発注しました。

私はそれぐらい妥協を許せない、常軌を逸した石見神楽面好きです。


石見神楽の演目を再現した模型。下に敷かれた畳は特注した


だからこそ、愛する石見神楽が今後も正しい形で受け継がれることを心から願っています。
「汚れが気になるから」という理由で色付きのはかまをはいたり、たたきやすさを重視して太鼓の向きを斜めにしたりと、伝統を軽視する傾向が気がかりです。


華やかで迫力がある鬼舞「塵倫」(石見の舞い『神降臨祭』特別公演より)


少子化で舞い手が少なくなり、若い舞い手がかわいいのは理解できますが、厳しく指導しないのはよくない。歴史を学び直し、日本遺産にふさわしい「本物」の石見神楽を残してほしいです。


病魔を司る鬼を退治する演目「鍾馗」(石見の舞い『神降臨祭』特別公演より)


2019年5月に日本遺産に認定された石見神楽。

土地柄を反映し、神楽殿にはこれまでに約1300人が来場。そのなかには県外から足を運ぶ愛好者もいました。

「石見神楽を身近に感じ、歴史を知ってもらえる場にしたい」と、
思いを面に託し、竹内さんは魅力を次代に伝えてゆきます。

※神楽殿の見学は事前予約制。
問い合わせは竹内さん、電話0855(22)7532。

石見神楽の魅力をもっと知りたい方はコチラへ
▼石見神楽公式サイト
http://iwamikagura.jp/

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松江城でおもてなし、いざ出陣 まつえ若武者隊 本間亀二郎さん

2020-08-14 11:00:00 | 日記
山陰でおんぼらと(ゆったりと穏やかに)、志した活動に励む人を紹介し 、応援する「おんぼらと山陰流 わしやちのこだわり」

今回登場する山陰人は、まつえ若武者隊の本間亀二郎隊長。
まつえ若武者隊は島根が誇る国宝「松江城」の観光PR隊として活躍しているグループで、今や松江城には欠かせない存在なのです!

まつえ若武者隊の発足は2011年。
当初は期間限定のPR隊ということで結成されましたが、観光客や市民から惜しむ声を受け復活。
更に2015年7月には松江城天守が国宝に指定され、今年で5年。
節目を迎え、ますますの活躍が期待されます!

松江城から元気を発信するまつえ若武者隊、その隊長である本間亀二郎さんに、松江城に対する想いや魅力を語ってもらいました。
 


(本間亀二郎さん)
若武者隊の募集に「これぞ天職」と応募したものの、正直その頃のわしは、松江城についてよう知らなんだ。
 
 
しかし勉強すればするほど、この城は奥深い。
たとえば姫路城や名古屋城は大きくて優美である。

観光客のリクエストで記念撮影に応じる本間隊長

しかし松江城は、どっしり、いぶし銀とでも言おうか、戦国時代の姿をほぼ残す全国でも貴重な城じゃ。
 

 石垣の見所を熱く語る本間隊長

城を建てたわが主・堀尾吉晴殿は信長、秀吉、家康と戦国三英傑に仕えた戦いのプロ。
とことん実戦型の城なのだな。
鉄砲狭間(ざま)や石落としなど、一見わかりづらい仕掛けが多いのじゃ。
 

 石垣の見所を熱く語る本間隊長

細かなところにまで戦おうという意思が見えるのが魅力的なのだな。



松江城観光に欠かせない存在になった隊員たち(公式ブログより)

武者をやめようと思うたこともあるが、仲間の支えと、お客さまとのふれあいに力をもろうた。



松江城の桜の下で、自作の紙芝居「天下一やさしい歴史講座」を観光客に披露(公式ブログより)

楽しんでくださる方、知識比べを挑まれる方。お客さまから学ぶことも多くある。

 笑顔で観光客の質問に答える本間隊長

笑ってくださるのはうれしいが、世界観を崩さぬようには気をつけておりまする。


観光客にオリジナルステッカーを渡してもてなす本間隊長

存続が危ぶまれた時も、仲間の「お城には侍がいるのがいい」という言葉に、続けることになり申した。
この空間には武者がぴたりとはまる。
 

 
われわれとふれあい、楽しく過ごしてくだされ。
ぜひ松江城でお会い致しましょうぞ。
 

外出自粛が続く中で、それでも松江城の魅力を届けるためにブログやSNSでの活動を続けるまつえ若武者隊。
どんな状況であっても忘れない「おもてなしの心」を胸に秘め、松江城の侍は今日も出陣する!

まつえ若武者隊公式ホームページ
 


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島根の高校球児を支える匠の技! マツウラスポーツ松浦康之さん

2020-08-07 11:03:04 | 日記

新型コロナウイルスの影響で中止となった今春の選抜高校野球大会。
出場予定だった32校は、2020年8月に阪神甲子園球場で交流戦を行います。

その交流戦に参加する島根県立平田高等学校を陰で支える、
出雲市平田町にある野球用品店「マツウラスポーツ」松浦康之さん(48)にお話しを伺いました。



松浦康之さんはかつて甲子園を目指した元球児。
高校卒業後、元プロ野球選手の父が営む店を将来的に継ぐために、大手スポーツ用品メーカーで修業、プロ野球選手用のグラブの製作に携わり、腕を磨きました。

同店の強みは修理の技術。
革の裁断から縫製、組み上げといったグラブの製造工程のすべてを一人で行える技術を生かし、連日の練習で破れたグラブや、つま先に傷みの出たスパイクをよみがえらせます。

▼マツウラスポーツ(Instagram)




(松浦康之さん)
マツウラスポーツ最大の強みとも言えるのが、野球道具の修理や加工の技術です。

グラブに使用する革の裁断から、
革を縫い合わせる縫製などの全工程を店舗で行うのは、全国的にも珍しいそうです。


今は他の業務が忙しい関係でなかなか作れていませんが、
数年前まではマツウラスポーツオリジナルのオーダーグラブも製作していました。


松浦さんが作るオリジナルグラブ。革の裁断から組み上げまでの全工程を一人で行う


最近は修理だけではなく、グラブの「カスタム」依頼も増えています。

「刺しゅうを入れたい」「縫い糸の色を変えたい」など、
グラブ好きの方々から、こだわりの詰まった依頼を数多くいただいています。

希望する加工内容を伝える依頼書。野球好きたちのこだわりに確かな技術で応える


私自身が一からグラブを作れるため、
一度グラブを解体し、他店ではできない部分の加工や修理もできる。

そういった技術を評価してくださり、複数回依頼してくれるお客さまが県内外にいます。


解体されたグラブ。組み上げの技術があるからこそ、細かい部分まで修理ができる


刺しゅうを入れる機械も店内に導入しています。
加工業者に外注しないため、納期も早くできるし、価格も抑えられる。
「間に合って助かった」と言ってもらえることも少なくありません。


ユニホームなどの刺しゅうに用いるミシン。自店で加工し低価格、短納期につなげる


小さな店なので品ぞろえは大型店にかないませんが、
野球道具を長く愛用するための修理や、自分だけの特別な一品を作る加工の技術には自信を持っています。


担当する島根県内のチームのユニホームが飾られた店内


平田高校の甲子園出場を祝う横断幕が掲げられたマツウラスポーツ


平田高校の阪神甲子園球場での交流戦は大会2日目の8月11日の予定。相手は長崎県の創成館となります。
「忙しいけど、やっぱりうれしい」と松浦さんも急ピッチで準備に取り掛かります。 

『マツウラスポーツと一緒に甲子園に行きたい』と思ってくれたらうれしい、と松浦さんはこれからも球児の上達や甲子園出場を後押ししてゆきます。



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