新型コロナウイルスの影響で中止となった今春の選抜高校野球大会。
出場予定だった32校は、2020年8月に阪神甲子園球場で交流戦を行います。
その交流戦に参加する島根県立平田高等学校を陰で支える、
出雲市平田町にある野球用品店「マツウラスポーツ」松浦康之さん(48)にお話しを伺いました。
松浦康之さんはかつて甲子園を目指した元球児。
高校卒業後、元プロ野球選手の父が営む店を将来的に継ぐために、大手スポーツ用品メーカーで修業、プロ野球選手用のグラブの製作に携わり、腕を磨きました。
同店の強みは修理の技術。
革の裁断から縫製、組み上げといったグラブの製造工程のすべてを一人で行える技術を生かし、連日の練習で破れたグラブや、つま先に傷みの出たスパイクをよみがえらせます。
▼マツウラスポーツ(Instagram)
(松浦康之さん)
マツウラスポーツ最大の強みとも言えるのが、野球道具の修理や加工の技術です。
マツウラスポーツ最大の強みとも言えるのが、野球道具の修理や加工の技術です。
グラブに使用する革の裁断から、
革を縫い合わせる縫製などの全工程を店舗で行うのは、全国的にも珍しいそうです。
今は他の業務が忙しい関係でなかなか作れていませんが、
数年前まではマツウラスポーツオリジナルのオーダーグラブも製作していました。
松浦さんが作るオリジナルグラブ。革の裁断から組み上げまでの全工程を一人で行う
最近は修理だけではなく、グラブの「カスタム」依頼も増えています。
「刺しゅうを入れたい」「縫い糸の色を変えたい」など、
グラブ好きの方々から、こだわりの詰まった依頼を数多くいただいています。
希望する加工内容を伝える依頼書。野球好きたちのこだわりに確かな技術で応える
私自身が一からグラブを作れるため、
一度グラブを解体し、他店ではできない部分の加工や修理もできる。
そういった技術を評価してくださり、複数回依頼してくれるお客さまが県内外にいます。
解体されたグラブ。組み上げの技術があるからこそ、細かい部分まで修理ができる
刺しゅうを入れる機械も店内に導入しています。
加工業者に外注しないため、納期も早くできるし、価格も抑えられる。
「間に合って助かった」と言ってもらえることも少なくありません。
ユニホームなどの刺しゅうに用いるミシン。自店で加工し低価格、短納期につなげる
ユニホームなどの刺しゅうに用いるミシン。自店で加工し低価格、短納期につなげる
小さな店なので品ぞろえは大型店にかないませんが、
野球道具を長く愛用するための修理や、自分だけの特別な一品を作る加工の技術には自信を持っています。
担当する島根県内のチームのユニホームが飾られた店内
平田高校の甲子園出場を祝う横断幕が掲げられたマツウラスポーツ
平田高校の阪神甲子園球場での交流戦は大会2日目の8月11日の予定。相手は長崎県の創成館となります。
「忙しいけど、やっぱりうれしい」と松浦さんも急ピッチで準備に取り掛かります。
『マツウラスポーツと一緒に甲子園に行きたい』と思ってくれたらうれしい、と松浦さんはこれからも球児の上達や甲子園出場を後押ししてゆきます。
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