歌庭 -utaniwa-

“ハナウタのように:ささやかで、もっと身近な・気楽な庭を。” ~『野口造園』の、徒然日記。

蓬みたいな雨だ

2012年06月19日 | 徒然 -tzure-zure-
六月十九日。
台風接近中につき。

ちょっと早めに帰路に就きました。
本気の風がやってくる前に。




自転車で、レインコートで。

「あー、、この雨の感じ、、、懐かしいなあ、。」

と、想いながら。






しっとり やわらかくてあたたかかくて甘い、ふっくら大きな、

雨の粒を、浴びながら。





あーこれは、なんだか、



よもぎみたいな雨だ。
と、

ふと想った。


雨に濡れたら より甘く強く香る
道ばたの蓬(ヨモギ)の、
ふわふわの、若いやわらかい銀の葉に、すと、手を伸べて、

その香りを、指先に重ねたりしながら。



美味しい香り。甘い、ふっくらした、やわらかい香り。






   (smoke tree:スモークツリー)




そして、
いつもの通り道の、公園。





その時 風はまだ 和らいでいて、

ちょっとのんびりめに、自転車を漕いでいました。

最近の異様なる多忙の中、
唐突にもらった、珍しい時間。

降って湧いたような、ご褒美のような、
貴重な時間。

ちょっと嬉しい、「まだじゅうぶんに明るい帰り道」に、
ほっこり。


せっかくだからと、
濡れても大丈夫(なはず)のケータイで、写真をちょこちょこ撮りながら。



   (Hypericum:金糸梅)


この恵みの雨で、
この前植えたばかりの樹々の苗たちも、しっかり根付いてくれるだろうかな。

と、

雨の風景の中を、のろのろ、ぼんやりと、眺めながら。









   (緑の風に揺られる桜の葉)


この公園は、空が広く、
樹の種類が多く、
何モノも あふれすぎず、

とても、ちょうど良い。

樹の手入れは、雑な街路樹みたいな「丸坊主刈りの残酷な伐採」ではなくて、
ちゃんと丁寧な剪定で。と同時に、適度に放任されていて。
でも、すっきりしていて。

とても、程良い。

通り抜けるだけでも 楽しい。



    (雨のサルスベリの濡れた肌。)




    (紫陽花と傘。)



    (紫陽花の、絶妙な青の混沌。清浄。)





と そこで、
ふと 目にして、

「あっ!」

と、

立ち止まらずに居られなかったのは




飴玉のような雨玉のしずく

 、のような。





全身に たわわに 丸いつぶのような
可愛いつぼみをいっぱいに実らせた、

銀梅花(ギンバイカ)。




いつの間にか。だ。
うっかり見逃してた。


こんなにも、いっせいのせで、溢れんばかりに、いっぱいに。






あーー、懐かしい。

甘い南の味の、雨だ。


久しぶりに のんびり、うっとりしながら、

まだ風のやわらかいうちの、やわらかい雨の中。




   合歓(ネム)の花。

この花を見つけると、六月だ!と思う。




家に着くと、

アガパンサスのつぼみが、



爆発寸前だった。

もう咲く。

明日の朝嵐が去って、雨が上がって、次の光を浴びたら、
もう咲く。




6月19日。
台風の迫り来る、新月直前の夜。

明日は、新月。

明後日は、
もう、夏至。










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