蒼空は水面に著し薄紅葉
あをぞらは みなもにしるし うすもみじ
<一言>
透けるような青空が池の面に映りこんで、穏やかな昼下がり。色づき始めた楓が紅葉前線の近ずいた事を告げている。この調子だと後一カ月ぐらいだろうか・・・
・季語は、薄紅葉’で、秋’です。
蒼空は水面に著し薄紅葉
あをぞらは みなもにしるし うすもみじ
<一言>
透けるような青空が池の面に映りこんで、穏やかな昼下がり。色づき始めた楓が紅葉前線の近ずいた事を告げている。この調子だと後一カ月ぐらいだろうか・・・
・季語は、薄紅葉’で、秋’です。
蒼ぞらにがまずみの紅まさりけり
あをぞらに がまずみのこう まさりけり
<一言>
いつの間にか秋らしい気候となり、高く澄んだ青空も、吹き来る風も心地よいものとなった。山では、紅葉にはまだ少し早いが莢蒾の実はもう真赤に色づき、青空と彩りを競ってでもいるかのようだ・・・
・季語は、莢蒾(がまずみ)’で、秋’です。
溝蕎麦や畦に薄日の耀ひて
みぞそばや あぜにうすびの かがよひて
<一言>
すっかり枯れ果てた蓮田の畦に溝蕎麦が小さな花を付けている。ややもすると見過ごしてしまいそうな花だが、立ち止まって見れば薄い木漏れ日もそこだけは耀いているように見える。
・季語は、溝蕎麦’で、秋’です。
弾みつつ野面行く風杜鵑草
はづみつつ のづらゆくかぜ ほととぎす
台風の後、いかにも秋らしい天気が戻ってきた。
色づき始めた桜を揺する風にも心地よいすがしさが有る。
昨年、鉢に移した杜鵑草も小さな花を開いている、
我が家の小さな秋・・・
・季語は、杜鵑草’で、秋’です。
達者でとのみの見送り実梔子
たっしゃでと のみのみおくり みくちなし
<一言>
久しぶりに駅まで見送りに。
想いが大きいほど言葉には出せないことがある。いろんな言葉を飲み込んで、達者で、との一言しか出せない。こんなことをいう私は、古い人間なんでござんしょうか・・・
て、これは鶴田浩二のセリフでしたか?
・季語は、実梔子’で、秋’です。
朝粥に曇れる玻璃や秋時雨
あさがゆに くもれるはりや あきしぐれ
<一言>
秋の長雨に辟易していたら、なんと今夜は台風だとか。それも二年ぶりの上陸とか、10年ぶりの強さだとか、テレビではなんとも空恐ろしい事を流している。
とりあえずテルテル坊主(常山木の実)でも・・・
・季語は、秋時雨’で、秋’です。
零れ日にもみづる桜黄泉を恋
こぼれびに もみづるさくら よみをこひ
<一言>
春には光りの雲と見まがうほどの艶やかさを見せた桜も、秋になれば他の木に先駆けて紅葉し、ひと足早く闇の世界へと帰って行く。
・季語は、桜紅葉’で、秋’です。
十六夜の狭き雲間や風早き
いざよひの せまきくもまや かぜはやき
<一言>
十六夜と書いて「いざよい」満月よりも少し遅れて出る事を、ためらうと見ての命名らしいが、昔より日本人の月に対する思いが顕われている言葉だと思う。この一週間はずっと雨催いなのが残念だが、雲の切れ間を待ってやっと見つける月もこれもまた良しとしよう。
・季語は、十六夜’で、秋’です。