元気な心と体めざし隊

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私ってどんな人間『25』

2008-07-02 | Weblog

皆さんこんにちは。

前回からの続きです。これから私はどんどん心の闇に入って行きます・・・。

それではどうぞお読み下さい。

≪主な登場人物≫

旧所長:(本田所長) 転勤して来た本田所長の同期(田代所長) 

私と駐在している上司(八田課長) 

支店にいる上司(吉本課長) その支店の支店長(亀田支店長)  

あの亀田支店長との面談以来、私は売上げの事だけを考えて働いた。結果が全て・・・。

しかし、中々結果が出ない。そんな苛立ちとジレンマを日々繰り返して行くうちに、

だんだんと自分に血が通っていない様な感覚に陥った。

 

俺は売上げを上げるだけのマシンなのか・・・。

しかし、マシンでもいいから今期は売上を上げないといけない。

強かった頃の自分を取り戻す為に・・・。

果してそれは本当の自分何だろうか・・・。

そう考えているとどんどん視野が狭くなり、周りが見えなくなって行った。

当時の私は周りが見えなくなっている事には気付いていませんが・・・。

何で俺はこの部署を選んでしまったのだろう。自分の決断に対する後悔。

前の部署に残る選択していたら、きっちり売上も伸ばして自分の思う様になってただろう・・・。

否、本当に思う様になっていたのだろうか?

あの頃の私はそう言い聞かせる事で、自分を何とか保とうとしていた。

”現実逃避、言い訳の正当化”

私の心はマイナスマイナスの方向へと向かって行った。

 

そんな時、得意先から『アンタ会社辞めるんか?』と突然聞かれた事があった。

ビックリした。何故この人は私の心の中が見えたのだろう。

『何故そう感じられたのですか?』と聞き返した。

『いやぁ、アンタの顔にそう書いてあるからな。』

その方は、私が1年かけて猛アタックして他社から全て切り替えて頂いた上得意先の社長。

『実は色々悩んでいまして・・・。でもお得様に解ってしまう様では営業マン失格ですわ。

 しかし、やっぱり社長するどいですね。』

『顔が勢いのあった頃と全然違うからね。私を説得しに来てた時は、

 どんなに断っても目を輝かせながら、自分と商品に自信を持ってやって来てたからね。』

確かにあの頃は、アポは取らせて頂けない。いつ帰って来られるかも教えて頂けない。

と言う状況の中で女を口説く様に?否ストーカーの様に?(苦笑)

とにかく、あの手この手を考えて社長に会える方法を考えた。

正直苦しかったけど今思えば、片思いの自分に酔いながら楽しんでいた様にも思える。

その思いが通じて両想いになれた時は、営業車に乗り込んで『よっしゃ~。ウォー。』と、

大声で何度も何度も叫んだ。その溢れる感情をどこにぶつけていいのか解らず、

車の天井を何回も何回も殴ったのを思い出す。

営業の喜びはこの瞬間しかない。でもこれがあるからまた頑張れる。

本田所長が言っていた、

『これからは、成功事例が多い人間しか生き残られへん。

 当然成功事例のない人間は、部下や後輩にも教える事も出来んからな。』

この言葉は今でも身に沁みているし、正にその通りだと思う。

自分が経験していない事は、人に伝える事は出来ない。

成功だけじゃなく、失敗もそう。失敗のない成功はないと思う。

しかし勝ち続けている人間は、失敗した時に立ち止まらない。

当然反省はするが、それよりも先に次はどうしたらいいのかと考えて即行動。

私もそこまで気持を持って行けた時は、必ず結果になって現れた。

 

やっぱり考えるより行動。頭の中でシュミレーションしても、その通りになる事は殆どない。

頭の中で恐れていても意味がない。確かに考える事は必要。

だからゆっくりでもいいので、前に進みながら考えて行こう。

いつもそう自分に言い聞かせていた。 

 

でも光り輝いていたのは過去の自分。

得意先だけじゃなく、とうとう後輩にまでこんな事を言われてしまった。

『先輩大丈夫ですか?何か人殺しそうな目してますよ。』笑いながらではあったが、

自分でもマシン化してしまってると感じた姿に、後輩も何かを察したのだろう。

 

そんな精神状態になってる時の私にとって、事務所は同じなのに周りの人達は

違う営業所の人間だと言うこの駐在と言う環境が苦しかった。

普通で考えれば、今まで一緒に働いていた営業所の人達なので関係ないと言えば関係ない。

しかし卑屈になってしまってる私にとって、隣の芝が青い事が腹立たしかった。

 

俺はお前らと違う・・・。もっと高いレベルで闘ってるんや・・・。と自己防衛。

 

そういう姿を見るに見かねてか、田代所長がたまに声をかけて来られた。

『調子はどうや?大変だとは思うけど、ちょっと周りが見えてない様な気がする。

 自分の事ばかり考えずに今までの後輩にもアドバイスしてやってくれよ。

 お前の事をみんな後輩は見てるんやからな。影響力がある事を自覚して行動せえよ。』

 

そんな事は解っている。でも今の俺は息をするのも苦しいくらいの状態なんや。

俺の気持ちも解らんくせに言わんといてくれ。と言う気持ちから出た言葉は、

『私は違う部署の人間ですから、アドバイスする訳にはいきません。』だった。

本当はそんな事言いたくなかったはずなのに・・・。

『何を言ってるんや。同じ仲間やないかっ!今日は内の飲み会あるからお前も行くぞっ!』

一生懸命言って頂いている田代所長の言葉は、私の耳には届かなかった。

表面的な愛情としか感じられなかった。当然の事ながら飲み会は断った。

その後も再三飲み会の誘いを頂くが全て断り、歓送迎会だけ参加した。

根本的な苦しみを取り除けない限り、飲み会に行っても苦しいだけ。

どうしても弱みを見せれないこのプライドがずっと邪魔をしていた。

当然そんな状態では、誰も私の苦しみに気付く事はなかったので、

助けてもらえる事もなかった。

 

田代所長もいくら直属の部下ではないとは言え、そんな私の態度が面白い訳がない。

応接室に呼び出され、少し興奮気味に檄を飛ばされた。

『お前なぁ大概にせなあかんぞ。何が違う部署ですからやっ。もっと周りを見て行動しろっ!』

その言葉に私は納得がいかず、

『周りを見ろ周りを見ろって言われますが、田代所長は出血多量で死に掛かっている人を

 何故見殺しにしようとされてるんですか?』

『どう言う事やっ?』

『私は誰にも相談できず、苦しくて苦しくて今まさに死に掛かってるんですよ。

 田代所長なら、私が苦しんでいるのは解ってたはずです。

 それなのに何故助けようとされなかったのですか?』

『う~ん。それははっきり言うと、お前は俺の部下じゃないからや。

 俺はお前の上司が違う部署の上司からアドバイスされてると、いい気持ちじゃないだろうなと

 思うから何も言わん様にしてるんや。隣に八田課長も居られるしな。』

私は意味が解らなかった。苦しんでるのは私なのに、気を遣ってる相手は私の上司。

『そうですかっ。私は目の前で出血多量で死に掛かってる人を見たら、

 どんな状況でも助けますけどね。だから、中途半端な優しさはもう止めて下さい。

 私は田代所長の部下じゃないんですから。』

『もういい。好きにしろっ。』田代所長と私の間に大きな溝が出来てしまったのは言うまでもない。

しかし私は間違った事を言ったとは思ってなかった。

この矛盾したサラリーマンの縮図がどうしても理解出来なかった。

隣に居られる八田課長はあの件依頼、良い人だと思える様にはなった。

でも、毎日一緒にいる部下の苦しみに気付く事はない。

それどころか後で聞いた話によると、支店に居られる吉本課長に、

『売上げも上向きになって来てますし、アイツは問題ないですよ。』と報告していたらしい。

それだけを聞くと褒めて頂いている訳ですから、非常に嬉しい話ではあるが、

そこだけをクローズアップされてしまうと、月に一度会うか会わない様な吉本課長には、

私の心の叫びなど届くはずもない。

 

いったい目の前にいる3人の偉いさん達は誰に気を遣っているのだろう。

苦しんでいるのは私なのに・・・。

 

こんな会社辞めてやる。絶対に昨年のダウン分を上乗せして、売上げ伸ばして辞めてやる。

私の目標はそれだけだった。今考えるとせっかくこの世に生まれて来たのに、

何と小さな目標を抱えていたのかとは思う。

しかし、今のサラリーマンは大なり小なり、同じ様な悩みを抱えながら生きていると思う。

その時の私にとっては、非常に大きな目標であったし

とにかく強かった頃の自分を取り戻して会社を辞めたかった。

負け犬にはなりたくなかったから・・・。

 

そんな中、売上げは少しづつ回復して来てはいたが、

大幅な伸びを出すまではまだまだといった状況だった。何とかしなければならない。

 

私は今日飛び込み営業をして、納得するまで絶対帰らん。と決心して会社を出た日があった。

そう簡単に飛び込みで手ごたえを感じれる業界ではなかったが、決めたからにはやるしかない。

 

私は、前から訪問しようとリストアップしていた会社に飛び込んだ。

その会社は黒塗りの自社ビルで中が見えず、一見するとそっち系の事務所かと

思ってしまう程迫力があった。

受付に出て来られた方に、『社長は居られますか?』と尋ねた。

『社長はあいにく外出しておりまして。』私はいつもの断られ文句だと思い、

怯むことなく、『会長は居られますか?』と尋ねた。

その会社に、会長が居られるかどうかも解っていなかったが必死だった。

受付の方が『会長は・・・』と言いかけたその時、トイレから1人の男性が現れた。

『何かようか。』名刺を頂くとその会社の会長だった。

『私はこう言う者でして、御社に当社商品をご採用頂きたく参りました。』

『まぁ、座って。』

それから5分程たっただろうか、会長が『解った。今その商品を決定するのを一任して

いる者がおるから、後日もう一度説明してやってくれ。私からも伝えておくから。』

そう言われて席を立たれた。

私は何かよく解らなかったが、いつもと違う手ごたえを感じたので帰社する事にした。

                                              つづく

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