鮫島礼子「占いの館」

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恐い話スペシャル・2 『憑依する坂道』

2018年06月14日 13時58分42秒 | 占い著書(主に自書)


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 ◇前書きにかえて

 あの女は誰なんだろう。

 最初に見たのは確かテレビ画面の中だった。
 毎週録画しているテレビドラマのクライマックスシーンに俳優が3名、ソファーに腰かけて会話していていた。

 内容よりも、ある俳優の背中側にある一部が透けたガラスのような扉に「その女の顔」があった。
 3名の俳優の内、1名は扉に背を向けて座っているし、残りの2名はいずれも男性で、決して女ではない。髪型も輪郭も全く違う。
 何度見て確かめてもやはり扉に浮かんでいるきりりとした瞳で、目の真ん中に光がある「女の顔」がある。

 どうしてだろう。まさかスタッフの誰か? ドラマなのに手違いで映っちゃったとか。

 その日から私はツイッターやネットで、
 ドラマの題名とか、幽霊とかオバケとか、心霊現象などと検索ワードをいくつも変えては検索をかけ続けた。

 けれど一向に、そのドラマでの心霊騒ぎは起こらなかったし呟いている人は皆無だった。
 しばらくしてドラマが終わってしまい、やっぱり何もわからないまま、ただ「あの女の瞳」の残像だけがひどく印象に残った。


 半年後に、今度はドラマのロケ地と重なるような旅番組を偶然目にした。
 昼食のために偶然入った飲食店でついていたテレビだった。女優2人が、ドラマで見た海辺の街を散策しているシーンだった。
 よくある土産物店やうどん屋、地元の簡易織物教室でのシーン、和やかなムードで他愛ないおしゃべりとナレーション。

 ところが途中のこげ茶色の木目ベースの喫茶店でコーヒーを飲んでいるシーンで、またしても「その女の顔」が浮かんでいた。
 女は心なし微笑むように女優達を見つめている。
 木製の太い柱に、まるで木彫りで薄く刻み込まれたように「女の顔」が調和している。


 あの女は、芸能関係者の幽霊なんだろうか。
 それともあの土地を彷徨う地縛霊のような存在なんだろうか。

 またしても私は検索を開始した。
 けれど何日経っても「女の顔」について発言するツイッターはなく、まとめサイトも見当たらず、結局何も見つけらずに終わった。


 スーパー・ブルー・ブラッドムーンの夜。

 私はガラス越しに月が満ちてゆく様子を写真におさめた。体調が悪いため外に出て撮影するのを諦めていた。
 何度かシャッターを押す内に、何かが被さっている気がした。細面で短めに髪型、間違いなく「あの女の顔」だった。

 一番良く見える度の強いメガネにかけなおして、ガラス越しに月を見上げてみたが「あの女の顔」は映らない。
 今度はデジタルカメラの画面越しにみていると月にぼんやり何かが被っている。
 再びシャッターを切る。撮影モードを変えて何枚か撮る。


 急いで線を繋ぎパソコンにデータを転送する。
 画面上にハッキリと映ったのは、月の手前に被るように微笑む「女の顔」だ。
 こんなに鮮やかな心霊写真を撮影したのは初めてで、私は少しばかり興奮していた。

 やはり女は存在していた!

 だが、皆さんにお見せすることは出来ない。

 翌朝、パソコンデータは吹き飛んで無くなっていたし、デジタルカメラは故障で動かなくなってしまいデータも消えていた。
 あの夜の満月と同じように、私は長い夢か幻を見ていたのかもしれない。
 光る目を持つ「あの女」は、また違う誰かに微笑んでいるのだろうか。

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