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ヤングケアラー「介護を担うこどもたち」 7割が小中学生という現実。

2020-11-11 08:53:37 | 日記

皆さんは、「介護をしている人」と聞くと、どんな人をイメージしますか?
多くの人は、40代~60代くらいの人を想像するのではないでしょうか。どんなに若くても30代くらいの人を思い浮かべるはずです。
ところが、世の中には何らかの事情により、未成年のうちから介護を担わざるを得ない子どもが存在するのです。そのような子どもを「ヤングケアラー」と呼びます。
本記事では、世間ではあまり知られていない「ヤングケアラー」の存在に着目し、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(厚生労働省委託調査)が2019年に公表した「ヤングケアラーの実態に関する調査研究の報告書」をもとに、現状や子どもが抱える問題、今後の課題などを解説していきます。
そもそも「ヤングケアラー」って?
ヤングケアラーとは、厚生労働省によると「年齢や成長の度合いに見合わない重い責任や負担を負って、本来、大人が担うような家族の介護や世話をすることで、自らの育ちや教育に影響を及ぼしている、18歳未満の子ども」を指すとしています。(※)
ヤングケアラー「小学生も約3割」
次に、ヤングケアラーたちの属性を詳しく見ていきます。
〈性別〉
男性:38.7%
女性:61.0%
「男性」よりも、「女性」の方が約22%多い結果となりました。
〈年齢(学年)〉
1位:中学生…43.2%
2位:小学生…33.2%
3位:高校生…15.6%
「中学生」が40%以上の結果となり、3位の「高校生」と比較すると27.6%もの差があることがわかりました。また、就学前(6歳以下)という幼さで介護を担う子どもも1.3%と、少なからず存在することが判明しました。
〈家族構成〉
1位:ひとり親と子ども 48.6%
2位:夫婦・パートナーと子ども 36.8%
3位:その他 13.1%
「ひとり親と子ども」が最も多く、きょうだいの有無に関しては、きょうだいがいる家庭が92.7%と大半を占めていることがわかりました。
また、介護を担っている子どもが、きょうだいの中で「1番目」「2番目」である割合が高く、長女や長男に負担がかかっていることが多いようです。
誰のケアをしているの?その理由は?
次に、ケアの対象者と、ケアを行うことになった理由をみていきます。
ケアの対象者
1位:きょうだい…72.6%
2位:母親…46.9%
3位:父親…12.5%
「きょうだい」のケアをしている子どもが圧倒的に多いことがわかりました。
しかし、家族構成でみてみると「ひとり親と子ども」の世帯では、ケアの対象者が「母親」である割合が高く、半数を超えています。「三世代」の世帯では、ケアの対象者が「父親」「祖母」である割合が高いようです。
ケアをすることになった理由
1位:年下のきょうだいがいるため…58.8%
2位:ひとり親家庭であるため…42.5%
3位:親が家事をしない状況のため…38.7%
「年下のきょうだいがいるため」が最も多く、2位の「ひとり親家庭であるため」や、「親が仕事で、家族のケアに充分に携われないため」(31.9%)と回答した人と合わせると、親の代わりとなってきょうだいや家族のケアをしていると考えられるでしょう。
また、「親が家事をしない状況のため」「親の病気・障がい・精神疾患や入院のため」という回答も多く、複雑な家庭環境に置かれている子どもが多いことも判明しました。
ヤングケアラーたちは、毎日どんなことをしているの?
では、ヤングケアラーたちが日頃行っている主なケアについてみていきます。
1位:きょうだいのケア…83.8%
2位:食事の世話…66.3%
  (買い物、食事作り、食事介助など)
3位:家の中の家事…58.8%
  (掃除、洗濯、細かい家事など)
ケア内容でもやはり、きょうだいに関することが多いとわかりました。「食事の世話」や「家の中の家事」など、大人が担うような内容をおこなっている子どもも多く、家族構成や家庭環境などが大きく関わっていると考えられます。
ヤングケアラーたちが抱える問題
つぎに、家族のケアをする役割を担う「ヤングケアラー」たちが抱える問題点を具体的にみていきます。
学校生活への影響
学校にあまり行けていない(休みがちなど):31.2%
学校等には行っているが、授業に集中できない、学力が振るわない:12.3%
学校に行けない子どもも多いなど、きょうだいや家族のケアが「ヤングケアラー」の生活や学力に大きく影響を及ぼしているという結果になりました。

ケアに費やす期間・時間が長い
<ケア期間>
1~3年未満:27.0%
3~5年未満:18.2%
※平均で3、4年
<ケアに費やす時間>
5時間以上:43.5%
3~4時間未満:15.9%
※平均で1日5.4時間、夜間のケアは平均2.6時間
ケアに費やす期間と時間が長いこともあり、学校生活を送ることが難しかったり、友人などと遊ぶ時間が取れなかったりと、周りの子どもたちと比較すると「ヤングケアラー」の生活が、本来あるべき子どもの姿とは大きくかけ離れていることがわかります。
今後の課題とは?
「ヤングケアラー」という概念の認知度を高める
<ヤングケアラーという概念の認識の有無>
* 認識している:27.6%
* 認識していない:72.1%
「ヤングケアラー」の概念を認識していない協議会(※)が圧倒的に多いという結果になりました。
そもそも、概念や存在を自治体や協議会が知らない・認識していないとなると、対策や支援をおこなうことは困難になります。
今後、「ヤングケアラー」という言葉とともに、どのような子どもたちを指すのかということや、問題点などをしっかり把握していくことが求められます。

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(※)要保護児童対策地域協議会(教育委員会、児童相談所、警察署、民生児童委員協議会、小学校、中学校などで構成)
取組みを強化する
<ヤングケアラーに対する取組みの実施状況>
* パンフレット作成、研修、講演会の開催など普及・啓発:2.2%
* 早期発見・早期対応のため、関係機関のネットワーク強化:12.7%
結果をみると、取組をしている自治体が非常に少ないことがわかりました。
取組みをおこなっている自治体は、マニュアルの作成や、情報共有を密にすること、学校との連携などが実施されているようですが、子どもの権利を守るためにも、対応策を共に考えていくシステムや、選択肢を広げるさらなる体制づくりが重要となります
「ヤングケアラー」たちを支援につなげるために
ここで、ヤングケアラーたちのサポートを行っている、主な支援団体をご紹介していきます。
① 精神疾患の親をもつ子どもの会 こどもぴあ
精神障がい者家族会の全国組織(公益社団法人 全国精神保健福祉連合会:みんなねっとhttps://seishinhoken.jp/)と連携した活動をおこなっているのが特徴です。
東京を本拠地とし、大阪、福岡、札幌にも広がっています。
東京では3か月に1度のペースで「つどい」という会を開催し、精神障がい者の親をもつ子どもの立場に限定し、5~6名の小グループの中で、自身の体験を語ります。

初めて親のことを話せたという子どもがほとんどであり、「つどい」の意義は大きいといえるでしょう。
②NPO法人ぷるすあるは
「精神障がいや心の不調などがある親をもつ子どものケア」をテーマに絵本やイラストブック、ウェブサイトでの情報を提供する間接支援を実施しています。
2017年からは、研究者と協働したチームで、学齢期の子どもへの支援を考えるための、養護教諭等を対象としたワークショップの開催、調査結果にもとづく情報発信をおこなっています。
③NPO法人しぶたね
病気や障がいのある子どものきょうだいへの直接的な支援として、ワークショップの開催などをしています。
ワークショップでは、普段大人のように振る舞っているきょうだいたちが、思い切り楽しめる場所を提供するとともに、同じ立場の仲間と交流したり、親子で触れ合う時間などを作ったりしています。
さいごに
「ヤングケアラー」は世間的にも知名度が低いうえ、自治体などの認知度も低いのが現状です。
そのため、障がいを持つ親やきょうだいへの介護・看護サービス等の支援はあっても、「ヤングケアラー」自体への支援体制は整っているとは言い難い状況にあります。
親やきょうだいのケアは学校生活などにも大きな影響を及ぼすため、早急な対応や支援が必要となります。まずは、皆さんに「ヤングケアラー」という言葉や存在を知っていただくきっかけとなればと思います。


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