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中国のサラミ・スライス戦略、キャベツ戦術の脅威

2015年04月03日 00時00分00秒 | 政治・経済、報道一般

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43349 より

中国のサラミ・スライス戦略、キャベツ戦術の脅威

チッポケな岩礁を次々と手中に、米国はいつまで傍観するのか

2015.4.2(木

フィリピン船の接近を阻止する中国海警監視船(写真:WestPhilippineSeaFB)

 アメリカ連邦議会上院のジョン・マケイン(軍事委員会、共和党)、ジャック・リード(軍事委員会、民主党)、ボブ・コーカー(外交委員会、共和党)、ボブ・メンデネス(外交委員会、民主党)の4名の上院議員は、超党派書簡をアッシュ・カーター国防長官とジョン・ケリー国務長官に送りつけた。

「このまま中国の行動を見逃していると、アジアの同盟諸国の安全保障や、石油をはじめとする年額5兆ドルに上る物資の自由航行、それに南シナ海周辺諸国の間の平和的が交渉は危殆に瀕してしまう。・・・アメリカがダラダラしている間に、中国はいくつかの人工島まで建設してしまっている。アメリカはこのような中国の埋め立て作業を押しとどめるための具体的行動をとらなければならない」

 実際に中国は海洋戦力を背景に、南シナ海に対する“積極的”海洋政策に打って出ている。だがアメリカはそれに対しておざなりな外交的警告を発してはいるものの、具体的かつ効果的な反対行動はとっていない。オバマ政権は中国の拡張主義的海洋政策に対して何らの戦略も打ち立てていないのが現状だ。

 このような状況は、まさに中国共産党政府が過去20年近くにわたって実施してきた南シナ海を手中に収めるための“サラミ・スライス戦略”が目論見通りに功を奏してきたことを意味している。

そして、中国海洋戦力のますますの充実とアメリカ極東戦力の相対的低下を追い風にして、中国は人工島建設戦術や“キャベツ戦術”を使用し始めて、サラミ・スライス戦略の完成を加速させている

小さな攻撃を小出しにしていく「サラミ・スライス戦略」

 サラミ・スライス戦略とは敵側の大反撃を招かないような“小さな部分”に対する攻撃を小出しに積み重ねることにより、徐々に敵側の抵抗努力が功を奏さないような状況に持ち込んで、最終的には敵側を封圧したり征服したりしてしまう、という流れの方針を意味する。もともとは1940年代にハンガリー共産党が政敵を殲滅するために用いた戦術に名付けられたのが起源とされている。このような比較的スケールの小さな“戦術”レベルのみならず、現在中国が南シナ海“征服”のために用いている“戦略”レベルの方針にも用いられている(したがってサラミ戦術と呼ばれたりサラミ・スライス戦略と呼ばれたりしている)。

サラミソーセージを薄切りにするサラミ・スライサー

 中国が南シナ海の大半を“征服”するにあたって、最大の障害として立ちはだかるのがアメリカである。世界中の海洋における公海自由航行原則の維持を最高の国是の1つに掲げ続けてきた海洋国家アメリカにとって、南シナ海のほぼ全域が“中国の海”となることは絶対に看過できない(であろうと中国側は考えた)。したがって、中国としては、極力アメリカの干渉を避けるような手段によって南シナ海を手中に収めていかねばならないのである。

そこで中国共産党政府が用いているのがサラミ・スライス戦略である。すなわち、アメリカの一般世論、すなわち連邦議会の主流、が大きな関心を示さないような“取るに足らないチッポケな島嶼や環礁”に対する実効支配を少しずつ拡大していくのだ。

南シナ海でのサラミ・スライス戦略の進展

 まず手始めに1988年3月には、南シナ海南沙諸島のジョンソンサウス礁をめぐってベトナム海軍との間に軍事衝突を引き起こした。中国は、ベトナム戦争の苦い経験が身にしみているアメリカが、ベトナム救援のために介入する恐れはないと踏んだ。その目論見は的中し、アメリカから遠く離れた南シナ海に浮かぶ“チッポケな環礁”での中国海軍とベトナム海軍の戦闘に、アメリカが口出しすることはなかった。

 結局、中国はベトナムからジョンソンサウス礁、ファイアリークロス礁、ガベン礁、クアテロン礁、渚碧礁という“アメリカがさして関心を示さないチッポケな環礁”を奪取して、今日に至るまで実効支配を続けている。

 1992年に、アメリカ軍がフィリピンの南シナ海に面するスービック基地から撤収し、南シナ海方面に対するアメリカ軍の最前線拠点が沖縄まで後退した。すると94年、以前よりフィリピンと中国の間で争議が続いていたミスチーフ環礁を中国が占拠してしまった。その後、99年までには、“アメリカがさして興味を示さなかった環礁”であるミスチーフ環礁に永久建造物が設置されてしまい、中国による実効支配状態が今日も続いている。

2012年になると、アメリカにとっては“取るに足らないチッポケな環礁”にすぎないスカボロー環礁を中国漁船が占拠し、出動したフィリピン海軍と中国監視船の間で睨み合う状態が勃発した。アメリカは外交的和解を提案し両者の撤収を促したが、フィリピン側だけが撤収し、中国側は居座ってしまった。翌年には、中国によって多数のコンクリートブロックが設置された。フィリピンの同盟国であるアメリカは、しかしながら、何ら中国に対して強硬な姿勢を示していない。

 そして、その頃から南沙諸島での人工島建設計画が打ち立てられ、実際にいくつかの人工島の埋め立て建設が実施され始めた。本コラム(「着々と進む人工島の建設、いよいよ南シナ海を手に入れる中国」「人工島建設で南シナ海は中国の庭に」)でも取り上げたように、わずか数年の間にファイアリークロス礁、ジョンソンサウス礁、ヒューズ礁、ガベン礁、クアテロン礁などは、満潮時は波の下に隠れてしまうような環礁であったものが立派な島へと変貌を遂げつつあるのだ。

「キャベツ戦術」が登場

 2010年頃になると中国海洋戦力(海軍、空軍の一部)は質量共に極めて充実してきた。そのため海軍戦力とは呼べない程度のフィリピン海軍はもちろんのこと、戦力増強に努めているベトナム海軍も、中国海洋戦力に立ち向かうことは不可能となった。そして、中国海洋戦力は、アメリカ極東海洋戦力に対しても南シナ海海域においては決定的劣勢という状況ではなくなるに至った。このような軍事力を背景に、中国が南シナ海でのサラミ・スライス戦略を実施していくために用い始めたのが「キャベツ戦術」である。

 

この戦術は、奪い取ろうとする(中国に言わせれば不当に主権を主張する勢力を排除する)島嶼・環礁に対して、直接的な攻撃(ミサイル攻撃、爆撃それに引き続く上陸侵攻部隊の投入)はなさずに、それらの目標を、武装民兵が乗り込んだ漁船、海洋調査船、海警関係艦艇、それに海軍艦艇などで幾重にもびっしりと取り囲んでしまい、そのような状態を継続させることによって結果的に実効支配状況をつくり出してしまう、というものである。芯を葉が幾重にもビッシリと取り巻いているキャベツになぞらえてこのように呼ばれているわけだ。

この戦術が最初に用いられたのは、2012年のスカボロー環礁事件である。すなわち、中国が領有権を主張してきたスカボロー環礁を防衛するため、フィリピンが沿岸警備隊部隊を送り込んだところ、中国は多数の漁船や沿岸監視船などでスカボロー環礁を幾重にも取り囲んでしまった。結局、上記のように、フィリピン沿岸警備隊艦艇と中国側艦艇が睨み合う中、フィリピン側が撤収して、スカボロー環礁は中国側が占領するに至った。

 

翌2013年からは、セコンド・トーマス礁をめぐって中国はより露骨なキャベツ戦術を実施している。フィリピン沿岸から105海里(中国の海南島からはおよそ600海里)に位置するセコンド・トーマス礁には、領有権を確保するために環礁内に座礁させた第2次世界大戦時代の揚陸艇にフィリピン海兵隊小隊が交代で陣取っている。中国政府はフィリピン政府に対して「中国領内から座礁船を撤去せよ」との要求を突きつけた。そして、中国海軍はセコンド・トーマス礁周辺海域に艦艇を派遣して「中国の要求に従わないと、環礁への補給を遮断してしまう」と脅迫した。フィリピン政府は「最後の一兵になるとも環礁は死守する」との意思を示した。

フィリピン海兵隊が陣取る揚陸艇(写真:WestPhilippineSeaFB)

2014年3月になると、中国沿岸警備隊艦艇がセコンド・トーマス礁のフィリピン海兵隊員に補給物資を運搬する輸送船をブロックしてしまい、海兵隊員たちは危機的状況に陥った。フィリピン海軍はなんとかして補給を試みたものの中国側により阻止されてしまい、ようやく空中から補給物資を投下する方法が功を奏した。
 このように、同盟軍であるフィリピン海兵隊員たちがセコンド・トーマス礁防衛のための座礁船に閉じ込められてしまっても、オバマ政権は“形式的”な外交的警告は発したものの、フィリピン海兵隊の“兄貴分”として常日頃指導・共同訓練に励んでいるアメリカ海兵隊を投入して救出する気配すら見せなかった

 以上のように、アメリカからはるか遠方の“取るに足らないチッポケな環礁”での揉め事などには、アメリカの一般世論も連邦議会もほとんど関心を示さないことが、セコンド・トーマス礁事件でも実証されたのである。

中国がサラミ・スライス戦略で手中にしつつある南沙諸島

南シナ海の次は東シナ海

 南シナ海での状況とは異なり、中国による東シナ海でのサラミ・スライス戦略は、いまだに初期段階である。すなわち、東シナ海の大半を“中国の海”にするという戦略目標を達成する第一歩として、最大の障害であるアメリカにとっては“チッポケな岩礁”にすぎない尖閣諸島での揉め事を足がかりにしようというのである。

 これは何も尖閣諸島を占領してしまうというのではない。このようなことをすればアメリカが何らかの形で介入することは避けられず、サラミ・スライス戦略の鉄則に反することになる。そうではなく、アメリカをはじめ国際社会に「尖閣諸島を巡って日本と中国の間で領有権紛争が存在している」という“事実”が横たわっていることを知らしめることが第一歩なのだ。そしてその第一歩は成功したと見なさざるを得ない。

ただし日本の場合は、沖縄にアメリカ軍が陣取っているだけではなく、フィリピンやベトナムとは違い自前で強力な海洋戦力を保持している。当然、日本に対する中国のサラミ・スライス戦略は、南シナ海とは違った流れにならざるを得ない。しかしながら、アメリカに遠慮してサラミ・スライス戦略を実施したり、軍事力を用いるといってもせいぜいキャベツ戦術程度にとどめている、といった状況がいつまでも続くわけではない。

 中国海洋戦力の飛躍的な強化と、それに反比例してアメリカ極東戦力が相対的に弱体化することで、中国の南シナ海“征服”に引き続いて、東シナ海“征服”活動はますますスピードアップするものと考えられる。日本としては、東シナ海で中国が繰り出しつつある新手のサラミ・スライス戦略とキャベツ戦術への効果的な対抗策を打ち出さねばならない。






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2 コメント

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Unknown (泣き虫ウンモ)
2015-04-03 19:52:15
簡単に言えば、ナチスも使った部分戦略だと思うのですが、戦略を戦術に貶めるのに必要なのは、日米の動きであり日本の本気度かなぁ。

部分戦略というのは、静かに歩むということでしょうかね。
米国から見たら、静かということですW

これでピンとくる方もいると思いますが、善用もできれば悪用もできるということですかね。

実際には、経済界でも使われている戦略ですね。
Unknown (加藤)
2015-04-03 23:09:45
初めましてコメント失礼します

アメリカも財政難で市場経済も崩壊しつつあるのでしょう
経済力 市場価値に力をつけた中国に今後アメリカの力なぞ何ら脅威では無くなっていくのは、知識の無い私ごときにでも目に見えて明らか
日本はもはや中国の属国に成り下がるしか先は無いのでしょうか?
助けて下さい

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