君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
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☆入室ありがとうございます☆ PN:真城灯火です。 『小説家になろう』で書いています。「なろう」で書いている小説も転載させていますが、ここはアニメ「地球へ…」の二次小説置き場です。本編の『君がいる幸せ』は終了しています。今は続編の『限りある永遠』を連載中です☆まずは、カテゴリーの「はじめに」と「目次」「年表」で(設定やR指定について等…)ご確認の上、お進み下さい。 ブログタイトルですが、これの「君」は自分自身、心の事で、「僕」は自分の身体の事です。 自分の心がそうであるなら、自分はそれに従う覚悟を意味しています。 だから、ジョミーや誰かが一方的に誰かに…って意味ではありません。(小説停滞中) 2021年に、他にあるブログを統合させたので、日常の駄文とゲームの話が混ざった状態になっています。

『君がいる幸せ』 Artemisia編 一章「夢の在り処」 二話「君と僕との関係」

2012-08-21 03:00:08 | 『君がいる幸せ』Artemisia編 夢の在り処
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
 <人物>
ジョミー キースの警護をしていたが今は教育ステーションに在学中 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
ソルジャーズ 人類が作ったブルーとジョミーのクローン(タイプブルー)
シド ミュウの優秀なパイロット シャングリラのキャプテン 今はジョミーの専属。

   『君がいる幸せ』 Artemisia編 一章「夢の在り処」二話「君と僕の関係」

 ミュウの戦艦ゼルで惑星アタラクシアの教育ステーション近くまで来たジョミーとシドはシャトルに乗り込みステーションに向かった。
 キースの指示でステーションの下部にジョミー専用の部屋が作られた。
 ここにはミュウのシドが常駐する事になる。
 秘密裏にシャトルは収容されて、この区画はトップシークレット扱いとなった。
 片耳に付けたヘッドホンで心拍等の情報は常時記録され、八時間置きの定時連絡が義務付けられた。
 これがキースの言う「自分の身体を一番に考える事」と「無茶をしない事」の条件の代わりだった。
「子供じゃないんだから…」
 と思っても、自分自身の行動の危うさは知っている。
 心配はかけないとの約束は気休めの口約束でしかない事も、彼の心配が過剰ではない事も自覚している。
 それは、こうして傍について来る為に医療関係の資格まで取ったシドも同じだった。
「僕はどうも信用されていないみたいだね」
「ええ、そうですね」
「即答なんだ…」
「ええ、当たり前でしょう?」
「そう?」
「何百年か何千年先に、いえ…もっとずっと先に起きる事象に自分を掛ける人なんていません。普通しません」
「……」
「あれ?今日は反論しないんですか?帰って来たから良いじゃないかって言わないんですか?」
「さすがに、口でシドに勝てると思っていないよ」
「ジョミーが大人しいと、ちょっと恐いですよ」
 とシドが笑った。
「失礼だな…お前…僕だって大人しい時くらいある」
 
 目前に迫るステーション1180
「緊張しているのですか?」
「…いや…」
「何か感じますか?」
「ううん。何も…僕はまだ予知は出来ない。シドは感じる?」
「何も…」
「そうか」
「気掛かりなのはキースですか?」
 気にしていた事の図星を指されてピクッと小さく身体が反応する。
「ん…実はノアを出る少し前に、離れて良いのか?と聞いたら怒られて…」
「そんな事を聞いたんですか?」
 今更何言っているのですか?って顔を隠さずそのまま向けてきた。
「ああ、聞いたよ」
「…あきれた。可哀そうにキース」
「え?何で可哀そうなんだ」
「言葉そのままですよ」
「…だって、教育ステーションに行きたいと行ったのはただの望みだったんだ。キースの傍に居たくなくなった訳じゃない。だけど…戻ってから…何故か彼が怖いんだ…」
「それは…きっと…」
「わかるの?何だと思う?」
「いえ、それを聞いた後、キースは何て言いましたか?」
「…嫌いになったんじゃないからって言ったら、俺を重荷に思う事はない。何年でも一人で考えて来いって…」
「ジョミー。やっぱり、彼が可哀そうですよ」
「そう…かな」
「ずっと待っていたのに、戻って一年足らずで離れられるのは辛いでしょ?」
「…そ…そう、やっぱり僕は酷い事をしてる…ね」
「彼はあなたより大人ですから」
「どうせ、僕はこんな子供ですよ」
「彼を怖いと思う理由はきっとそこにありますよ」
「キースが大人で。僕が子供だから?だけど、僕は大人だぞ」
「でも、多分。そこだと思いますよ」
「んー、…理解出来ないな…」
「彼も同じ事を思っているかもしれないですね」
「…でも、僕は…ここに来ないといけない気がするんだ」
「ジョミー…」
 手に取る程に近くなったステーションを見つめるジョミーの真剣な横顔にかつてのソルジャー・シンを見るシドだった。
「ジョミー。全力でサポートします。何でも言ってきて下さい」
「ああ、頼りにしているよ。シド」

 シャトルはステーションの下部Cブロック格納庫に滑り込んで行った。
「ところで、ここで彼らの位置は把握出来る?」
「彼らが隠していない限り、出来ます」
「ここの生徒全員のデータは?」
「教職員まで全て入ってます」
「わかった」
「入学式で再教育される事はありませんから安心して行ってきて下さい」
「シド。それ笑えないよ」
 モニターを見たまま緊張を解かないジョミーにシドが冗談を言った。
 笑えないといいつつ、少しだけジョミーは笑った。
 こうして見ると、学生達がとても可愛く見える。
 僕は見た目が十四歳くらいだけど、中身はもういいおじさんなのだから仕方がない。
「一緒に入学するのが、自分の子供くらいの年だもんなぁ…」
「そうですねぇ」
「…そういえば、シドっていくつなの?」
「いくつに見えます?」
「見た目は三十くらいだよね?実際は僕より上で…」
「ジョミーより少し上くらいに思っておいて下さい。まだまだ若いつもりですから」
「…そういう発言が余計に年を感じさせる…」
「酷いなぁ」
「あはは。シドも可愛いって」
「可愛いんですか?」
「うん」
「せめて、カッコいいになりませんか?」
「あー、うん。カッコいいね」
「ありがとうございます。棒読みでも、嬉しいですよ」
 僕を形成していたミュウのソルジャー・シンの枠を外したら、僕達は一歩前進したようだった。
 僕にはその関係はとても心地がよかった。
 僕達はお互いに自分の中に相手を作り上げてそれを「本人」だと認識し、それに相手を合わせようとしていた事に気が付いたのだった。
 その時、その時が「彼」であり、「僕」で、情報も何も変動してゆく。
 お互いが打てば響くような、そんなセッションをするような感じが楽しかった。
 格納庫を出てゆく僕をシドが見送っていた。

 このステーションの制服は青で黄色のラインのある服だった。
 人類の軍服みたいのは窮屈な気がして着る気になれなかったので、これはなかなか良かった。
 入学したての生徒に混じって説明を受けるジョミー。
 今後のスケジュールと部屋割りの説明が終わり、解散になった時に僕はシドに通信をいれた。
「ところで、どうですか?」
 とシドが聞いてきた。
「体調ならいいよ」
「違いますよ。可愛い女の子は居ましたか?って聞いたんですよ」
「え、ああ、シド。君も入学すればよかったのにね」
「なんでそうなるんです?」
「可愛い子がいっぱいいるからさ」
「ええーーー!」
「あっはは。僕からしたら、ここに居る全員が可愛い子に見えるんだって。さっき、そう言ったじゃないか…」
「ソルジャー・シン」
「ん?」
「僕も早く教員資格取ってそっちに行きたいですよ」
「人類の船の操縦資格と通信やらのは取ったんだよね?後は何?」
「積載物の関係です。取り扱い燃料とかの危険物のが時間がかかってしまって」
「半年しか時間が無かったからね。シャトルの医療機器の扱いもあったし…」
「それは、優先して取りましたよ。ジョミーの命の為ですからね。僕は役に立てるのが嬉しいので、気にしないように…」
「ああ、わかっているよ。ありがとう。シド」
「いいえ。それよりジョミー。そろそろ時間が…彼らが待っていますよ」
「うん。じゃ、行ってくる」
 彼らとは、もちろん、僕が会いたがった。
 クローンのジョミーとブルー。
 ソルジャーズの二人の事だ。
 僕が居ない間に、人類側での教育を望みここに入学していた。
 彼らはダールトン姓を名乗っていた。
 ジョミー・ダールトンとブルー・ダールトン。
 ダールトンの双子と呼ばれていた。
 彼らは成績も優秀で人気があった。
 僕は待ち合わせのセンターへと急いだ。
 途中、知らない女子から声をかけられた。
「ジョミー?」
 制服は上級生のグレー、襟についたピンの色は緑、三年生だ。
「……」
 彼女は僕を見て、
「ああ、君は彼の弟さんね。ごめんなさい。本当にそっくりで見間違えちゃった」
「いえ、兄の同級生の方ですか?」
「ええ、そうよ。ミアと言うの。これからよろしくね。それじゃ」
 廊下を行く彼女を見送った。
 その背後で、
「ジョミー」と、
 聞き覚えのある声がした。
「…ああ、お久しぶり、ブルー」
 僕はゆっくりと振り返った。
 そこには、僕のクローンのジョミーと、ブルーのクローンの彼がいた。
 ノアで再会してからもう一年振りになるだろうか…。


  続く