黄昏時

昔懐かしの少年ジャンプで連載されていた某・漫画の自己満足度MAX二次的文章駄置き場です。

案内

2027-07-26 15:10:43 | 案内

二次的自己満文章案内



・嘗て週刊少年ジャンプにて連載されていた「魁!!男塾」の二次的文章置き場です。

・次世代である「暁!!男塾」も置いています。

・作品としては全体的に長文になっています。

・オリキャラが登場します。

・全年齢対象。

・アップ後も、書き直しを行う事が多々あります。



新作横にはが付いています。



魁編

弥月          10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

21 22 23 24 25 26 27


影          終焉 ー完結ー



氷咲          10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 
21

番外編

浮舟  

兄妹

約束 暴露 戻れ

 真 

激突  

馴染 雪色

始動 刹那

花咲



魁編・短編

初対面 帰るか ごろ寝 入替り

突破口 打開案

激突後 上っ面

  

迷い猫 化け狸

氷上花 片思い

その手 同級生

温もり 行く先 仕上げ

可能性

腕試し

 


暁編

莉桜          10 

斎希          10 

冴蔵  

一颯 

 



番外編

月影 素質

冴蔵 専属 花冠 疑問

昔話



暁編・短編

お弁当 

案の定 手痛い

お土産 おまけ 麗らか 

 

 

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氷咲 21

2019-02-03 16:19:26 | 二次・氷咲

 

おい、、、マジで、洒落にならん。

あれ、本物の雷じゃねえか。

 

邪鬼様のその身に落ちたそれを目にし、俺は茫然と立ち尽くしていた。

あれは、、幻術なんかじゃねえ、正真正銘、本物の、、雷だ。

 

そう思いつつもその身を乗り出し、邪鬼様のそれにその視線を向ける。

その身を見下ろしつつも、桃が構えをとっていた。

 

邪鬼様を倒し、歓喜の声に溢れ返っている一号生達のそれとは違い、実に、冷静な判断だ。

確かに、、邪鬼様はまだ潰えてはいない。

 

 

 

 

八蓮が終了してから幾日かの時が流れた、桃をはじめ八蓮の参加者達は療養の為に長期の休みを取っている。

そんな中、俺はとある思いの元久方振りに田村に今も残っていると思われる自室へと向かう為、歩いていた。

 

田村の門前に立つと、其処で番をしていた者がいち早く反応し駆け寄ってきたのだがいつの間に、、が、ここ最近の定番になりつつある赤石が俺のその背後に立っていたのを確認すると、一気にその身を正していた。

 

一文字流現・当主。

というのは、ここ、田村にあっても随分と知れ渡っている地位でもあるらしい。

 

あー、そういえば何時だったかやって来た田村のおっさんも、赤石には丁寧な態度をとっていた。

 

そう思いつつも、田村の敷地内にある建物の縁側を足早に移動していた。

途中、いつだったか手合わせをしたあのおっさんとすれ違う。

 

「、、、、。」

何も俺に対してその言葉を発することは無かったのだが、黙したままにその身を端に寄せ俺達に歩く場所を開けつつもその頭を垂れていた。

 

その前を、俺達は無言のままに通り過ぎる。

通り過ぎてから更に暫く歩いた奥まった位置の、角張ったその先にある突き当り。

其処にある小さな小さな物置小屋のような部屋、それが俺が此処田村にあって使用させてもらっている一室となっていた。

 

ひょっとして、もう既に荷物全て処分されていたりして、、、等と思いながらもその戸を開いた。

何のことは無い、此処を出る時と同じ状態のままにある俺の部屋の景色が其処にはあった。

 

嘗て、、俺には田村の一部の者から余りよろしくない感情を抱かれていた時期がある。

そういった関連からひょっとしたらここに置いたままになっていた荷物は荒らされているか、、若しくは片付けられているのではと思ったのだが、その危惧は無用であったようだ。

 

最も、、俺の荷物と言っても大した物を有している訳では無いのだがな、、、

但し、とある物を除いては、、、

 

そのまま進む俺達の後に続いてきたあのおっさんが、戸口に座し俺達の様子を黙って見ている。

それを横目に捉えつつ、俺はその足を室内へと進めるとそのまま奥にある部屋の壁へと辿り着いていた。

 

そして、その上の部屋の天窓へと視線を移す。

 

「?!天窓、、、、、この部屋には無かった筈なのだが、、」

そう戸口に座したままのおっさんが呟いているそこで、其処にあった筈の天窓が姿を消していた。

 

替わりに、其処に飾られている二振りの刀が姿を現わす。

 

二振り共に打刀ではあるのだが、一振りの刀身の方が長い。

どちらのそれも、一般的なものよりもやや細く、長い。

 

これが、、俺の有する本来の武器となる。

 

「、、、、、。」

俺は幻術によって天窓とし、隠しておいたその場から新たに現れたそれに手を伸ばすと、二振り共にその手に取った。

 

「ほお、、それが、貴様本来の武器か。」

「普段、手にすることは無いのだがな、、今回は念の為とはいえ、いつでも使えるように手元に置いておくのが良いんじゃねえかと思い至った。」

「なるほど。」

言いながらも部屋を後にする俺に向けてそう放ちつつも、赤石も俺の部屋を後にしていた。

 

「この部屋の残りの荷物、邪魔なら好きに処分してくれ。」

「そ、、、そうはいきませぬ、田村家次期当主候補でもある貴方様のお荷物、勝手に処分などもっての他、、、実は、、氷咲殿を敵視していた者達とは既に鞘香様が話をつけ、田村内においてその一件は片が付いているのであります。」

 

氷咲、、、殿、って言ったぞ、このおっさん。

俺に向かって、殿とは、、どういった風の吹き回しだ?!

 

なんか、このおっさんの俺に対する態度がやけに恭しいというか、、それは俺の後ろに赤石がいるからそうしているだけだと判断をしていたのだが。

以前のこのおっさんのそれとは打って変わっている原因は、俺が正式に時期当主候補としてその名を連ねることとなったからなのか?!、、いや、待て、このおっさん、、以前に会ったその時も他の連中に比べればその役割を除けば、それ程俺に対して攻撃的な意思を有していた訳ではねえ、か。

 

まあ、所々厭味ったらしく告げていたそれは、このおっさんの性分であったのだろう。

 

それにしても、随分とあっさり片が付くものだ、、もっと厄介で手間の掛かる持久戦を俺は覚悟していたのだが。

それよりも俺は、おっさんが口にしたその名が気になった。

 

「鞘香、、、と言ったか?!あいつ、復帰しているのか?」

「は、、はい。その者達の処分を言い渡された後、御自身も処分対象とし己のその身を田村より脱し、今は分家のとある流派においてその身を研鑽されておられるとか、、、」

「鞘香は、田村を出たのか??」

 

俺のその問い掛けに、あのおっさんがその場に座しながらも返事を返してきた。

 

「その後どうするか、、それは田村の今後の在り方を見つつ判断するとも、、、」

「、、、、何だ、鞘香の奴、本気で抜けちまったのか、、、俺だって好き好んで田村の当主候補となる道を選んだ訳では無いのだが、、なあ、俺もその候補ってえ奴、辞退することは、、、」

「可能ですが、、氷咲殿は鞘香様より候補者の権利を承った身でもある手前、その候補を降りるとなると、、、」

「あーーーーーーーーーーーっっ!!!ちっくしょーーーー、破門か!!」

 

忘れてた!!と叫びつつ、俺はその頭を抱えてジタバタとしていた。

 

「なら、破門を受け入れれば良いではないか。」

「?!」

「??」

 

それを耳にしていた赤石の奴が、そんな言葉を告げていた。

 

お前、今、、、俺に破門を受け入れろ、、そう、言ったのか?!

そう尋ねたところ、奴はその顔色を変えることも無く「そうだ。」と、返してきた。

 

「田村を抜け、一文字に属せば良い。」

続く赤石のその言葉に、俺は二の句も告げずにいた。

 

おっさんも、赤石のその言葉を受け茫然としていた。

だよなあ、俺も言葉がねえ。

 

何だよ、田村の当主候補を否が応でも受け入れざるを得ない状況になったかと思ったら、今度は一文字に入れだと??

訳が分からんし、何よりも、、面倒癖え。

 

「分からずとも良い、どうするかは手前自身で決めろ、その後は此方で処理する。」

、、、、処理する、、って、一体なんだってこんな話になっちまっているんだよ。

 

俺、一文字を改めて修行し直す気はねえぞ、この二振りを携えた剣、、それを気に入っている。

そう告げた所赤石は「それでも構わん」と返してきた。

 

「、、、、暫く、考えさせてくれ。」

俺達はおっさんをそのままに、廊下を進むと田村を出ていた。

 

 その場を去る俺達に向け、おっさんは尚も座したままにその頭を垂れていた。

 

 

 

はあ、、、ったく、何だってそんな話になっちまうんだよ。

鞘香が復活したのは俺としては嬉しいが、手前自身にも処分を科して分家で見習いからやり直しているとは思いもしなかったぞ。

 

俺も、、新しくいちからやり直した方が良いのかねえ。

男塾の寮に戻り、俺は湯船に浸かりながらもそんなことを考えていた。

 

ま、仕方ねえのかなあ?!、、さて、そろそろ出るとするか。

そう思い、湯船からその身を浮かしたそこで俺自身の体のとある変化に、今頃になって気が付いた。

 

ん?!何か、、見下ろしたそこのそれが、いつもと違う気がする。

 

これって気のせいではない、、よな?そう思いながらも、その部分を改めて確認してみた。

そういえば、体を洗っているその最中も妙な違和感を覚えていた。

 

これ、、、不味くないか?!

そう思いながらも、慌てて風呂場を出た。

 

 

「赤石!!」

風呂を出、服を着たところでその名を口にしながらも脱衣所の戸を開けた。

 

「?!」

居たな、赤石。

 

そう思いながらも窓際に腰を下ろしていた赤石に向けて、その歩みを進めた。

 

「ちょいと、俺的には「大変」な事態に陥っているのだが、、、」

「?!」

俺のその呼び掛けに、赤石が微かな反応を示していた。

 

俺の胸が、、、これまでよりも何故か知らんが成長をしている。

以前にも言ったとは思うが、俺の胸に女を感じさせる膨らみは一切無い。

 

これでもかと言える程に、俺のそれはまっ平だった。

 

 

 

「此処なのか?!」

俺の問い掛けに、赤石が小さく反応を示して答えを返してきた。

 

そうか。

俺は口の中で小さく呟くと、早速行動に移すことにした。

 

此処は、、、鞘香がその身を置いているというとある分家。

の、塀の外側になる。

 

其処から一気に塀の上に飛び乗り、敷地内をぐるりと見渡す。

何処だ、何処にいる?!鞘香。

 

 と、その時、、、

 

「何をしているの?」

「?!」

聞き覚えのある声にその視線を向けると、其処には塀の上にしゃがみ込みながらも此方の様子を眺めている鞘香のその姿があった。

 

「、、、、、。」

「、、、、何、しているの??」

そして塀の外側に立つ赤石の姿にも気が付いたらしい鞘香が、そんな風に話し掛けていた。

 

結局俺達はその家の裏口より、鞘香の部屋へとこっそり通して貰うことを許して貰えていた。

 

 

うおう、、、流石女の子。

 

いや、華美な装飾がある訳ではないのだが、、、女の子だなあ。

と、思われるような室内である。

 

そういえば大豪院宅の此奴の部屋も、こんな感じだった気がする。

 

「で?!どうしたの、二人揃ってこんな時間帯に。」

俺達を前に、鞘香がそう尋ねてきた。

 

「実は、やばいことになった。」

「やばい??」

 

俺のその言葉に、鞘香が不思議そうにして聞き返してきた。

 

 

「あら、、、」

俺のそれに触れた鞘香が、小さくそうつぶやいた。

 

それを後ろで見ていた赤石が、何故か無言で固まっている。

それに、さり気なくその視線を逸してもいた。

 

「確かに、、、胸、膨らんできているわね、、これってもう少し大きくなるのかしら、、、」

あてていたその手を外しながらも、鞘香がそんなことを口にしながら考え込む素振りを見せていた。

 

「だよなあ、、其処が、分からなくて、、な。俺、これまではそういった心配が皆無だったんでこの後どうすれば良いのか、皆目見当がつかねえ。

赤石は男なんで論外だし、鞘香なら分かるんじゃねえかと思って来てみたんだが、、、」

「そう、、、ねえ。このままだともう少し成長するかも知れないから、様子を見てみたら?それまでは軽くさらしで巻いて押さえて凌ぐしかないかも、、きちんと膨らみ切った後でないと下着、次々と新調しないとならなくなるだろうし、、でも、良いの?男塾でも男として暮らしているのよね?普通に女の子の下着、着ける訳にはいかないと思うのだけれど、、、」

「!!」

 

鞘香のその言葉に、俺、固まる。

そ、、、そうだった。

 

仕方ねえ、、どうせ元々大した膨らみもねえんだ、女物の下着を装着するのは後にするか、で、それまではさらしで押さえておくことにする。

ってなことで、、、赤石、さらしをくれ。

 

「氷咲。」

その言葉に鞘香が鋭く反応し、俺のその名を口にしていた。

 

「さらしなら、、私が新しい物を上げるから、おにいから奪い取ろうとするのは止めなさい。」

「いや、奪う気はねえんだが、、、」

「寄越せって言っていたじゃない、今。」

「言っていた。」

 

何てなやり取りを、赤石の奴が無言で見ていた。

 

ふう、、、こんなもんか。

結局鞘香に貰ったさらしを別室に移動して、胸に巻くことにした。

 

巻き終わったそこで、一息。

何か、慣れねえなあ。

 

そう思いながらも、鞘香の部屋とを仕切っている襖を開けた。

 

「?!」

「??、、、、あー、わりい、、何か大事な話でもしていたのか?」

 

何も言わずに開けたからか、鞘香が慌てたようにして此方を振り返っていた。

赤石は、、いつもと変わらない素振りで其処に座しているだけだ。

 

「う、、、ううん、大丈夫、、もう、終わったから。」

「、、、、そうか。」


俺は敢えてその事を追及する気は無いので、鞘香のその言葉を気に掛けることも無くそのまま流しておいた。

 

 

 

 

 

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再アップ

2019-02-02 21:49:19 | お知らせ

 

ブログ村に記事のアップデータが反映されにくくなっているようなので、改めて午前中にアップしたものを再アップさせて頂きました。

これも反映されなかったら、もう諦めるか、時が過ぎて反映されるのを待つか、、ですね。

 

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仕上げ

2019-02-02 21:47:17 | 魁編・短編

 

私と桃がその膝を突き合わせているその間に、それは置かれていた。

 

「、、、、、、、、、、これ、、は?!」

問う私に、桃はその口元に困ったようにしながらも笑みを漏らしていた。

 

「見ての通り、、です。」

その眉を軽く潜めつつ、桃がその言葉を吐き出している。

 

「、、、、、、、。」

桃の言葉に、私は改めてその膝先に置かれているそれに目を落とした。

 

其処には、、一振りの刀が置かれている。

その刀が、数㎝程中途半端に抜かれた状態にあった。

 

何故に、この状態なのだ?!

 

そう問うと「急にこの状態になり、、戻らなくなってしまいました。抜刀することも、納めることも出来ません。」頬に冷や汗をたらりと少し垂らしつつ、私に向けて説明をしながらも畳の上に置いておいたそれに手を伸ばすと、桃はその柄と鞘とを両手でもって持ち、それらを抜刀する素振りを見せた。

 

が、なるほど、、、確かに、桃のその言葉の通り、その刀は中途半端な抜き身になった状態のまま、それ以上動かすことが出来ぬようでもある。

 

「何故に、そうなった?!」

との私の問いに、桃がその言葉を詰まらせていた。

 

「また、、思い付きで何かをやらかしていたのか?!」

言いながらも、桃が手にしていたそれを受け取ってみた。

 

すっ、、、、、

ち、、、、っん、、、、、、、、、、

 

「、、、、、、、、、、、、、。」

「、、、、、、、、、、、、、。」

 

桃に代わり私がそれを手にした途端、何故かそれまでピクともしなかったそれが滑らかに動くと、何事も無かったかのようにして中途半端な抜刀状態からすんなりと鞘の中へと納まっていた。

 

「鞘の中に、納まったぞ。」

「そうですね。」

私のその言葉に、桃が頬の冷や汗を増やしつつ返してきた。

 

ぐっ、、、、!!

鞘に収まったそれを抜刀すべく、桃がその手に力を籠める。

 

「抜けません。」

「、、、、、、。」

 

お前、、、、まさかとは思うが、自分で漢魂刀を作っていました、とか、言うのではあるまいな。

 

との私の問い掛けに「不味かったでしょうか?」さらりとした口調ながらも、その頭に冷や汗たらりしつつ返してきた桃である。

やはり、、か。

 

と、いうよりも、、良く自分で作ろうと思い至ったな、漢魂刀。

 

「王虎寺にあるそれを手にした時、、、俺も作ってみたいという衝動が発生しまして、、」

「で、試しに作ってみた、、と。」

「えー、、、」

「試しでそうそう簡単に作れるものではないそれを、あっさりと作り上げるお前が私は凄いと思うのだが、、、」

「でも、抜けなくなってしまいました。」

 

私との言葉のやり取りを終え、桃がその肩をがっくりと落とし、溜息をついている。

お前、随分と贅沢な悩みを、、、と、いうよりも、制作者である筈のお前を拒否するとは、中々に腹の座った漢魂刀だな。

 

「俺が悪いんじゃないですよ、姉さんが最後の仕上げにおかしなことをするからこうなったんです。」

「おい、待て、何だその言い草は、、私が悪いかのような物言いをするのは止めろ、と、いうより、抜ければ良いのだろうが、抜ければ、、、」

「抜ければ、、、ですが。」

 

私のその言葉を受け、返事を返してはいるのだが、、桃はその頬に新たな冷や汗をうっすらと浮かべていた。

 

全く、、思い付きとはいえ、自身でこうもあっさりと漢魂刀を作り上げてしまうとはな、、、

そう思いつつも、私は去り行く桃のそれを黙って見送っていた。

 

 

魁編・短編「仕上げ」-完-

 

 

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2019-02-01 06:18:34 | 魁編・短編

 

あの時、、、あいつは、何故に私を「見逃した」のだろう。

 

時折、、その時の事を思い出してはそんな事を考える。

考えた所で分かる訳でもないのだが、、ふとした瞬間に思い出すことがある。

 

 

 

今、、、鼻で、、笑われた。

のか?!それと思われるのを耳にした気がしたのは討伐の為、遠征の地に赴いていた時の事であった。

 

 「何をしている。」

鼻で笑ったであろう主がいると思われる方向へとその視線を向けたのだが、それよりも早く近くに居た赤石の奴が私のその視界を遮っていた。

 

「ふ、、ん、ちょっとした、見物、、、だ。

だが、、、当てが外れた。」

 

赤石の視線の先にいるであろう人物の声が、先の問い掛けに答えて返されていた。

そうしながらも、その声が遠のいて行くのが分かった。

 

「当てが外れた。」

その外れた「当て」というのは恐らくではあるのだが、私の事を告げていたようでもある。

 

奴のその姿を、私は目にする事が出来ていない。

出来てはいないが、赤石のその態度からするにそいつが何者であるのか、大方の察しはついていた。

 

いつの日であったか、、奴は私の生家に直接赴いて来たとも聞く。

御苦労なことだ、、私としてはそいつと対する事に何等抵抗を抱く事はないのだが、何故かやたらと周囲が過剰に反応を示し、そいつと私とが相見える事を徹底的に阻止することを念頭に動いているようだ。

 

私としてはそいつと相見えること、、此処にいる赤石とのそれよりも「楽しく」それを行えるのではないかという気がする。

 

奴はある意味、、赤石よりも「思い切り」が良い。

そんなタイプなのではないのか、、と、勝手に想像してもいる。

 

私が女であろうともそういった事など関係無しに「素」で真正面から対峙する。

 

その事を、心より願う男。

面白そうではないか、、、

 

そう、思ってもいたのだが、、実際に見た私のそれは奴のお眼鏡に叶うものではなかったようだ。

 

 

「身長2m超えの怪力豪腕女と聞いていたが、、何処にでもいる普通の女じゃねえか。」

そんな台詞も吐いていたような気もする。

 

2mとは何だ、2mとは、、、まさかとは思うが、それは身長の事を言っているのか?!

2m?!、、、、、有り得ないだろ、幾ら何でも。

 

いや、、、待て、まさかとは思うのだがその話の元は私の実母であったりするのであろうか?!

 

我が実母は180cmに近い長身な上に、ここだけの話になるのだが若かりし頃はとある事情から激怒し、一度塾長を頭突きで撃沈させたことがあると聞く。

 

「あれは、、平八も認めてはおったが奴自身に否がある。

が、、、「あの技」を実際にその身に受け、体感出来たこと、それは実に貴重であると笑いつつ、そのまま奴は数日程地に転がっておった。」

当時を思い出し、王 大人が語っていたのを思い出す。

 

豪腕と聞くとまあ、ちょいと違いは有るかも知れぬが、この時聞かされた話を思い出す。

 

私の実母自身が語り草となるような事柄を起こし、とんでもない噂の元となる要素をこれでもかと言う程に持ち合わせているのも確か。

そして、まあ、、あれだ、一応は血の繋がりある私のそれへと勝手に派生してきたのかも知れん。

 

それにしても、、、2mというのは幾ら何でも無理がある。

そんな事を思いながらも奴を見送り終えた赤石がその身を返し、歩き出したのに合わせて私も歩みを進める事にした。

 

この時、振り返って確認したところで奴の姿は既に無い。

 

まあ、真剣きってその噂を信じた上で奴が動いたとは思えぬのだが、、、可能であるのなら、、私としては一度奴と手合わせをしてみたいと考えてはいる。

それが行えるかどうかは兎も角として、奴に関する話を聞く限りは面白そうな男である事に変わりはないようなのだ。

 

そう思いながらもその視線を上げたその先で、桜の花弁がはらはらと舞い落ちていた。

 

 

桜、、か。

 

綺麗だな。

 

 

 

 

 魁編・短編「噂」-完-

 

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