黄昏時

昔懐かしの少年ジャンプで連載されていた某・漫画の自己満足度MAX二次的文章駄置き場です。

案内

2027-07-26 15:10:43 | 案内

二次的自己満文章案内



・嘗て週刊少年ジャンプにて連載されていた「魁!!男塾」の二次的文章置き場です。

・次世代である「暁!!男塾」も置いています。

・作品としては全体的に長文になっています。

・オリキャラが登場します。

・全年齢対象。

・アップ後も、書き直しを行う事が多々あります。



新作横にはが付いています。



魁編

弥月          10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

21 22 23 24 25 26 27


影        


氷咲          10 11 12 13 14 15 16 17 18


番外編

浮舟  

兄妹

約束 暴露 戻れ



激突  

馴染


魁編・短編

初対面 帰るか ごろ寝 入替り

突破口 打開案

激突後 上っ面

雪色





暁編

莉桜        

斎希      


番外編

月影 素質

冴蔵 専属 花冠 疑問

昔話



暁編・短編

お弁当 

案の定

 

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氷咲 18

2018-11-20 21:06:27 | 二次・氷咲

 

俺、あの技体得成功。

だよな、、、、

 

 

 

桃の奴が余りにもあっけらかんとしていて全く気に留めている様子も見られねえ中、俺だけがウジウジとそのことを悔やんでいても仕方がねえ。

桃があーいった形で程好く納めてくれたんだ、此処は奴のそれに感謝し、又甘えさせて貰うのが最善であると判断した。

 

さんきゅうな、桃。

後で特大メンチカツ奢ってやるから。

 

なんてな事を考えつつも、俺は三号生達が住まう棟へと向かっていた。

あの技を体得できたらしいこと、それを筆頭殿に報告しておいた方が良いよな。

そう思いながらも、歩みを進めていたその時だった。

 

「?!」

あれは、、、羅刹先輩じゃねえか。

 

 

珍しく、というべきであろうか、、、三号生達の住まうその地よりも少し手前に位置する雑木林の奥に、先輩のその後姿を発見した。

何というか、羅刹先輩は卍丸先輩と違った意味で後姿でも分かり易い。

 

いや、何となくではあるのだが。

羅刹先輩だなあ、、って思う。

 

うん。

 

ま、そんなことはどうでも良いとして、、羅刹先輩は何をしているのだろうか、、、?こんな所で。

そう思いながらも、その足を羅刹先輩の方へと向けて歩き出したその時だった。

 

「---------。」

空かさず振り返った羅刹先輩とその目が合った。

 

やべえ、忘れていた。

俺、その気配全然消していねえもんな、、あっという間にその気配を読まれるのはのは当たり前じゃねえか。

 

いや、消していたとしても目敏く反応されそうなんだが、、、

 

まあ、見付かっちまったもんは仕方がねえ、、そう思いながらもそのまま先輩のいる方へと向けて進んでいく。

「こんな所で何をしているんだ?羅刹先輩。」

「いや、、何でもない。」

羅刹先輩は俺のその問い掛けに対してそう返しつつ、それまで手にしていたそれを胸元の中へと仕舞いこんでいた。

 

「何だそれ、、定番のラブレターってえ奴だったりとかするのか?」

「馬鹿者、そんな訳などあるまい。」

「!!!、、、、、あ、分かった。同期である三号生のとある誰かからの「熱い」メッセージとかか、いやあ、さっすが先輩、年季が違いますなあ。」

「何の年季だ、何の、、、それとだがな、それを言うのなら「熱い」ではなく「厚い」ではないのか?それ以前に、、貴様、俺に喧嘩を売りに来たのか?!」

「いや、全然。」

 

羅刹先輩のその言葉に、俺はぷるぷるぷるぷるとその首を横に振った。

 

「、、、、まあ、良い。

で?!何用だ?」

「あ、あー、、、ちょっと、筆頭殿にお知らせしておいた方が良いかと思って来たんだけどな、、」

「筆頭殿に?!」

「あー、、、って、俺的には気になるんだけど、さっきのあれは本当に何なんだ??」

「貴様には関係ない。」

ごそっ、、、俺にそう返しつつも羅刹先輩がその背を向けると、胸元の奥に改めてそれを押しやった音が微かにこの耳に届いてきた。

 

「、、、、、、、、、、、羅刹せーんぱーーーーい。」

その音が、何となく気に掛かった。

 

というよりも、先程目にした先輩のその背中が、、とでもいうべきか。

その後姿から漂っていたその空気が、只ならぬものを放っていたように感じたのは俺の気のせいでは無い筈だ。

 

こんな誰も居ないようなこの場所で一人、この先輩は何をしていたというのだろうか。

聞けば三号生もこれから大きな「何か」に参加する、と赤石の奴が言っていた気がする。

そんな大事な時期に、幹部級の中でも最上級に位置する死天王のひとりでもある羅刹先輩がこんな場所で、、何をしているんだ?

 

しかも、この羅刹先輩だぞ。

卍丸先輩ではない。

 

その性格には、大きな違いがある。

そういった大事な時期に、こうもあっさりと単独行動というか、怪しい素振りを安易にというか、、そんな間抜けともとれる行動を、こうして俺なんぞにも分かるように見せちうまうものなのだろうか。

 

いや、それは、、ないだろう、通常の場合であるのならばそういった行動には出ないだろう。

決して卍丸先輩を馬鹿にしている訳ではない、あの人の場合は何事かが起きたのなら俺にその姿を発見されるよりも早く、さっさと走り出してしまうイメージがある。

 

だが、、この先輩はそんな事はしないだろう。

実際にこうしてこの場でもって、何事かを思案していた風でもある。

 

俺は、そのように考えた。

 

ので、、、間が抜けたような声音でもって羅刹先輩のその名を口にしつつもちょいとふざけた風を装いながら、敵意は無いことをアピールしておいて更に先輩のその身に近付いてみた。

 

「、、、、、、、、、、。」

暫しの時が流れたその後になって、諦めたのか羅刹先輩が大きく息を吐きだしていた。

 

溜息、、ってえやつだな、これは。

 

「まったく、間の悪い。

このような場面をお前に見られてしまうとはな。」

「で?!」

「??」

「誰からのラブレターなんですか?」

と改めて尋ねたところ、羅刹先輩はその胸元に隠したとあるものを取り出すと、こう告げてきた。

 

「最も、、、有難くないタイプのそれだ。」

 

最も有難くないタイプ、、、

俺は、口の中で羅刹先輩の先の言葉を繰り返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「氷咲、お前、、頼まれてはくれぬか?、、、なに、強制ではないのだがな、、」

「喜んで引き受けますよ、羅刹先輩には色々と目を掛けて頂いていますし。」

「掛けたか?」

「いや、、先輩、改めて突っ込みいれるの、やめて下さい。」

「そうだな。」

俺の申し出に対し、羅刹先輩はあっさりと引き下がってくれていた。

 

「頼みというのは他でもない、此処よりも少し離れた遠方の地になるのだが、、お前、〇〇〇という地を知っているか?」

「〇〇〇ですか?!えー、、知っています。」

「今から向かえるか?」

「今からですか?!足でとなると時間が掛かりますが、、」

「それでも構わぬ、その地にある高校に通う「とある人物」の身の安全を確認してきて貰いたいのだが、可能だろうか。」

「構いませんよ、俺、特に決まった予定はないんで、、、」

 

名前までは分からぬのだが、、よろしく頼む。

そう言って手渡されたそれは数枚の写真だった。

制服を着た一人の女の子の姿が映し出されている。

日常の風景を隠し撮りしたものであろうか、彼女自身はそのことに気付くことなく通常のやりとりをしている様が見てとれた。

 

その中に登下校をする際のそれに映し出されているそれでもって、校名を確認することも出来た。

 

「あ、此処なら俺、良く知っています。

行けます、いや、、行ってきます。」

「、、、、、すまぬな、頼むぞ。」

 

との言葉に見送られ、俺は早々にその場を立ち去っていた。

そんな俺を、羅刹先輩は何時までも見送り続けていた。

 

「頼むぞ、、、彼女の「無事さえ」確認してくれればそれで良い。」

そう語る羅刹先輩の手には一枚の手紙らしきものが持たれていた、それを手にする先輩のその手に力が籠る。

 

『無様な姿を晒せ。』

 

書面の中央には意図的にであろうか、、乱暴に書き記されたと思われる筆跡でもって大きくそう書かれていた。

 

「俺の無様程度で済むのなら、そんなもの、いくらでも晒してやるのだがな、、、」

その言葉と共に踵を返すと、羅刹先輩は三号生の棟へと向けて歩き出していた。

 

それを木の上からさり気なく盗み見ていたのは、卍丸先輩であった。

 

「、、、、、卍丸。」

「何だ。」

 

棟へと向けて歩き出していた羅刹先輩がその足を止めると、その名を口にしていた。

そしてそれに対して何ら躊躇することもなく、卍丸先輩が返事を返す。

 

「お前、余計なことは言うなよ。」

「言わねえよ、必要なことしか、、、な。」

「、、、、食えぬ奴よ。」

そう告げると羅刹先輩はそのまま二度と立ち止まることもなく、歩き出していた。

 

 

そして、、、、、

 

「こいつ、八連で無様晒すそうだ。」

「!!!!!!!!!!!」

卍丸先輩にものの見事に堂々とチクられ、言葉を失いながらも心の中では思い切り良く「何か」を叫んでいそうな羅刹先輩の姿がそこにはあった。

 

「うむ、分かった。」

「だ、そうです。邪鬼様。」

それに頷くセンクウ先輩、空かさず更に筆頭殿に追加で進言する影慶先輩の姿もそこにはあった。

 

「その点においては了承しよう、気に病むことは無い、思うがままに戦え。」

「も、、、申し訳ありません、邪鬼様。」

 

恐縮しながらもその頭を深く垂れる羅刹先輩の横腹に、卍丸先輩が面白そうにしながらもぐりぐりと握り拳をねじ込んで遊んでいた。

ジロリ、、、貴様、後で覚えていろよ。

とでも言いたそうにして睨み付ける先輩のソレを、卍丸先輩は軽く往なしていた。

 

 

 

 

 「、、、、、、、。」

とある山肌のそこから、写真に写っていた少女と思われる子の姿を見送った。

 

彼女の在籍する高校の場所や映っていた写真の内容から想定し、彼女の帰り道等をそれとなく先回りしながらも見守っていた。

見たところ、彼女の周囲においては特段に変わった様子はないようでもある。

羅刹先輩の心配は杞憂に終わったと判断しても問題は無かろう、彼女が無事家路につき自宅と思われるそれに入るその時までを見送ったその後で、俺は男塾へと向けて帰ることにした。

 

 

誰だ?!お前。

って、前にもあったような気がする。

気がするんだが、、、今回の奴は前回の奴とは違った種類の空気をその身に纏っている。

 

この空気、、、、

『仲間じゃないか、、』

その昔、そう言葉を吐きながらも俺に近付いてきた男のソレを思い出す。

 

嫌な、、空気だ。

そんな空気を伴った男が、俺がこれから通過する予定であった山間にある大きな吊り橋の中程に立っていた。

 

 

 

 

 

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雪色

2018-11-19 17:54:12 | 魁編・番外

 

これは、、目の錯覚であろうか、、、?!

 

前を歩くその子の髪に視線を移したその時、奇妙な違和感を感じた。

 

本来であるのなら、この子の髪色は「黒」である筈なのだが、、、

この子とは赤子のその時より接触をしている、その髪色をこの俺が見間違う筈は無い。

 

無いのだが、、、

その髪色に違和感を感じたのは事実であった。

 

「深家に、、確認をしてみるか。」

独り言のようにしてそう小さく呟いたその後で、前を歩く小さな子のそれを目にしつつも気掛かりであるその事柄に心当たりがあり、訪ねてみることにした。

 

時折此方の動きを確認するかの様にして振り返るその子の瞳のその色も、それ迄と違った色味を帯びているかのように思えてならなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「あー、、、、これは。」

彼女はその子を目の前にし如何にもといった風情でもって 一人、納得をしているのかそう呟きながらも幾度かの頷きを繰り返していた。

 

「この程度の軽いモノでは、、簡単に弾き返してしまうまでになってきたか、、、」

「?!」

その言葉に部屋の片隅に座していた我が身がピクリ、、と反応を示した。

 

「と、、仰りますと、、、」

「ま、天性ってえ奴だ。生まれながらに強いモノを持っていると感じてはいたのだが、、致し方有るまい、このままこいつには私が「それ」を学ばせる。」

「それ、、とは?!」

 

俺のその問いに対し彼女、、深家の女将(にょしょう)殿はその口元にゆったりとした笑みを浮かべた後にこう告げてきた。

 

「この子のそれには緩くだがとあるモノを掛けておいた、それと同種のモノ、それを「軽く」体得させる。」

と、、、、、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「当主殿ーーーー、、、、」

「?!」

それから、幾ばくかの時が流れた。

 

この頃になると既にその髪、そして瞳のそれに対する色への違和感は払拭されていた。

黒い髪、そして黒い瞳。

それが、俺の目に映るこの子の姿である。

 

「どうした。」

片膝をつき、駆け寄って来るその子の目線に近付けてそう問いを投げ掛けた。

 

「あのですね、、、」

 

ちょっと、困っていることがあるんです。

先の言葉に続けてこの子にしては珍しく、、そう告げながらもその眉を顰めていた。

 

「お願いされてしまったのですが、、私ではどうすれば良いのか分かりません。」

「お願い?!」

「そうです。」

 

そのされてしまった「お願い」とやらは、俺に対してというよりは寧ろ「深家」に確認をとる必要のあるそれであった。

 

 

 

 

 

 

 

蝶が、、舞っていた。

 

雪が降り積もる中を。

 

「これは、、何だ?」

濡れ縁に立ち、その様を視界に収めながらも問い掛けた。

 

「幻です。私のこの髪と、、そして瞳の色、、、それと、同じ様に。」

 

そう告げる彼女の周囲を舞う蝶が、雪に溶け込むかのようにして徐々にその姿を消していた。

本物と区別がつかぬ程、如実にその姿を現している蝶の群れ。

悠々と舞っていたそれ等の姿が、、今はない。

 

「また、、行かれるのですか?!」

チラチラと雪が舞う中、、彼女はその歩みをコチラへと向けながらもそう問うてきた。

 

「うむ。」

 

問われたそれに答えつつも白く覆われた地の上に佇む彼女のその姿に、、いつであったか、目の錯覚と感じた時の髪色を今頃になってふと思い出す。

僅かながらも色を表していたそれ、、その色は、まるで今 音も無く降り続いているこの雪と似ていたのではないか、、

 

「、、、、、、。」

それと、同じ髪色をした男の姿が俺のその脳裏に過ぎる。

 

深家と一文字。

 

その理由は分からぬが、一文字に白髪の者が生まれれば、深家にも生まれると聞く。

男であるのならそれは武に尊ぶ者の証として喜ばれ、女であってもそれは同じであり才覚の表れとして喜ばれる。

その色は、両家にとって吉兆の証でもあるとされている。

 

その者が、、両家に二人。

ともなると、何かと厄介かも知れぬ。

 

彼女の先代、母の代の中にも一人、、、存在したと聞く。

深家当主殿で無いことは確実である筈なのだが、、もしもを仮定するのならその実、有り得ることであるのかも知れぬ、、だが、流石にそれは無かろう。

俺の視界に映るあの方のそれは、その色ではない。そして、この時は深家のみに表れたとのこと。

その場合はその意味合いも僅かながらも違ってくる時が間々ある、、とも。

 

不思議なことに深家にその者が先に現れた場合、それは一文字には現れぬと耳にした気もする。

 そして彼女は一文字にその者が生まれた時よりも後に、誕生している。

その謂れの通り女人であろうとも全く不自由さを感じさせることも無く、彼女は次々と俺が教えた事柄を余すことなく体得してきた。

 

そして、、、先程の「あれ」。

あの幻はあの短期間において得たものであろうか、、だとしたのなら、彼女のその能力は俺の想像よりも遥かに優秀であるのかも知れぬ。

 

 

 

「深月。」

「はい。」

 

雪の中に尚も立ち続けていた彼女のその名を口にすると、直ぐ様に返事が返ってきた。

 

「お前、男塾に入塾する気はあるか?!」

「男塾、、、ですか?」

 

俺のその問いに、彼女は少しその小首を傾げながらも返してきた。

 

「そうですね、、」

と言葉を続けたその後で、暫し考えを巡らせていたようでもある。

 

「深家に伺いをたててから、決めようと思います。」

「そうか、、、承知した。入塾が決定したその時は、、敢えて加減もせぬ故、その心積もりで来るが良い。」

「承知しました。」

「うむ。」

 

そう答えを返すと、俺はその場を後にした。

彼女、深月はシンシンと雪が降り積もる中、俺のその姿が見えなくなるその時迄その視線を此方へと向けているつもりであるのだろう。

 

ならば、、早々に去らねばな、あ奴のその身を何時までもこの寒空の下に晒させる訳にもいくまい。

そう思いながらも、進むその足の歩調をこれまでよりも少し早める事にした。

 

 

 

 

 

ドンガラガッシャーーーーーーン!!!!!

 

俺のその背後で轟音が轟いたのは、その直後の事であった。

振り返るともうもうと煙が立ち込めているその場所は、濡れ縁を終え別棟へと続く渡り廊下にあたり丁度地面に面していた部分でもある。

 

其処に大きな穴が、出来ていた。

 

「、、、、、、、、、、、読まれたか。」

「何だ?!何を読まれたのだ?!俺に分かり易く今起きた事柄の説明をしてみよ。」

「いや、流石は当主殿だなあ、、と、思って。」

「思って、、、ではない、俺は今、お前に何をしたのかと聞いているのだ。」

 

ぐりぐりぐりぐりぐりぐりくり、、、(ぎりぎりぎり、、ではない)深月の頭をその掌の中にすっぽりと納め、その上で力尽くでの抑え込みを試みた。

 

いたずら、、失敗しちゃった。

えへ♪♪♪

といった素振りよりも「何だ。(つまらん)」的にガッカリしているその姿の方が、何処か腹立たしく思えるのは俺の気のせいであろうか。

 

お前、、先程のアレ、外れていなかったのならどの程度の破壊力をもった「何」であったのか、、この俺でも良く分かるよう、徹底的に詳しい解説をする迄はこの手、離す気はないぞ。

 

ぐーり、ぐり、、、

掌の中に収まるその頭に向かって、ついつい力が更に籠ってしまっていたようだ。

 

「やべっ、御当主殿、握力凄え。」

「ほう、、っっっ、、、、中々余裕ではないか。」

 

ぐりぐりぐりぐり、、、、

 

「いやいや、、滅相もない、そんな事は、、、」

はっはっは、、、といった高笑いでも出来そうな程の余裕を持っておりながら何を言うか。

 

「いや、本当に、、これ以上力増すの、止めてください。(死にます)」

「言った筈だ、お前のその態度のどこに危機を感ずべき要素が含まれているというのだ?」

「いや、全力で言ってますが、、、痛い♪、、って。」

「余裕以外の何物でもないな。」

 

俺は掴んでいた深月の頭を離し、別のモノを発動させることを決意した。

 

「真空殲風衝!!」

放つその手に合わせて、彼女のその手も動く。

 

「っと、、、、っぶねえ、骨になっちまうじゃないですか!!」

「いや、今のは全て消し去るつもりで、、、」

「って、、何をアッサリと言い放っているんですか、危ないじゃないですか!!」

「何を言う、お前こそ先程の「あれ」は何だ、言ってみよ。」

「可愛い茶目っ気を出しただけじゃないですか。」

「なるほど、、そこは気が合うな、俺もだ。」

 

にやり、、

と、同時にその口元には笑みが浮かんでいた。

 

かくして、俺達の軽やかな手合わせが始まっていた。

ここ最近これといって体を十分に動かす機会が無かったからな、程良く体を馴らすには程良い相手でもある。

 

 

うむ、実に見事な成長振りである。

それでこそ、この俺も彼女をここ迄育てた甲斐があった、、と、いうものよ。

 

ふふふ、、、、、

この者との組合いは、実に面白い。

 

気が付くと我等の周囲に積もっていた筈の雪が、いつの間にかその姿を消していた。

 

「おや、このような光景を目にするとは、、」

「久し振りですなあ、、、」

「御当主殿が戻られたのも久方振りですしな、、」

「そうですなあ、、、」

 

ほっほっほっほっほ、、、、

それらを目にした大豪院の長老達が呑気にそんな会話を繰り返しながらも、濡れ縁をゆっくりと歩き去っていた。

 

 

 

 

魁編・番外「雪色」ー完ー

 

 

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昔話

2018-11-09 20:59:42 | 暁編・番外

 

その日、黒塗りの高級車が園の近くに停車していた。

そしてその車の周囲には、とっても怖そうな方々が辺りを警戒しているのか、鋭い視線を放っていた。

 

「あ、、安東 弘明くん、、、ですか?!」

「あー、そうだ。」

「あ、、あの、失礼ですが貴方は、、、」

 

恐る恐る質問をしてくるのはこの園の園長を務める女性なのだが、他の手の空いている保育士達はその周囲に集まり事の成り行きを見守っていた。

 

「伊達 臣人。その子の、、叔父だ。」

「そ、、、そうですか。」

 

あの、、所で、つかぬ事をお伺い致しますが。

 

「何故、、、うちの園を御希望されるのですか?!」

と至極当然の質問をされる。

 

「とある男から、この園の話を耳にしたのでな。」

 

 

 

 

 

 

 

黒塗りの高級車から元気良く飛び出してきた男の子が、一目散に園庭内へと駆け出していた。

 

園庭内を駆け抜け、そこに居る担当保育士の所に辿り着いたと同時に黒塗りの高級車はゆっくりと走り出している。

走り出した車の中で担当保育士がコチラに向けて会釈をしたのを確認し、その視線を前方へと戻す。

 

「行け。」

その言葉を受け、それ迄ゆっくりと移動をしていた車がそのスピードを早めていた。

 

 

 

 

 

 

「おい、お前。」

「?!」

その場に蹲りひとり遊びをしている近くにいたその子に向け、弘明が声を掛ける。

 

「俺の荷物、置いてこい。」

背負っていた園専用のリュックをそちらに向け、当然という顔付き、口調で訴えたのだがそれに応じては貰えなかった。

 

何事もなかったかの様にして再びひとり遊びを開始したその背中を視界に捉えながらも、自分のリュックを手にしたまま弘明は固まった状態で暫しの時間を過ごすしかなかった。

 

 

「おいこら!!聞いているのか?!」

差し出した手を引くに引けず、そのまま大きな声で威嚇を試みた。

 

「は?!」

何を言っているのか分からないんだけれど、、とでも言いたそうな視線でもってそう短い言葉を発してきたのは女の子だった。

それまで其処に蹲っていたのだが不意に立ち上がると、近くにあった雨避けの為に設置されている屋根を支える鉄製の柱に向けてガツンと蹴りを入れていた。

そしてそこに蹴りをくらわしたままのポーズで腕組までしているその子に、弘明は逆に威嚇返しをされてしまっていた。

 

「、、、、、、、、。」

「ら、、羅々ちゃん、取り敢えず、、足、下ろしましょうねえ。」

想像もしていなかったその「反撃」に差し出したリュックを手にしたまま又も固まっていると、近くに居た保育士がそそっ、と寄ってきて優しく女の子の足に手を添え、鉄柱に掛けられている小さな足を下ろしていた。

 

下ろされているその最中も女の子は腕組みを解くことなく、目の前にいる弘明の姿を見続けていた。

 

ジロリ、、、、

両足を地に着けたその時に改めて無言のまま睨まれ、何も言えずに縮こまる結果となった弘明である。

 

「楠 羅々です。」

新しいおともだち「弘明」が加わったので、元々在籍していた園児達がことり組さんで自己紹介をしていた。

先程威嚇返しをして来た女の子、羅々と弘明とは同じことり組さんであったことが分かり羅々のその姿を目にした弘明が、半べそをかきながら担当保育士の足にしがみついていた。

 

「羅々ちゃん、安東 弘明君です。仲良くしてね。」

「うん。」

その身を屈め話し掛けて来る保育士に、羅々はその視線を向けることも無くそう返事をした。

 

こちらに向けて視線を移すことは無いが、了承は得られたようだ。

保育士にしがみついたままの弘明はそのやり取りを目にし「えええええっ?!」という驚きの顔でもって保育士の顔を見上げていた。

 

弘明にとっては楽しいどころか恐怖の保育園生活と化した事に衝撃を受け、その日一日は担当保育士の傍から離れられずにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「せんせえ、さようならー、、」

「さようなら、、また明日ね。」

迎えに来た親と共に、次々と保育園児達が家路についていた。

 

迎えを待つ園児達も少なくなってきている。

「、、、、、、。」

やがて外が薄暗くなってきた頃、残った園児達は室内で遊びながら迎えを待つ。

 

その中に羅々の姿も残っている事に気が付き、弘明は部屋の隅にその体を縮こまらせ座り込んでいた。

 

「すいません、迎えに来ました。」

そんな声と共に、ガラッと部屋の外窓が開いた。

 

「!!」

その野太い声に自分の迎えが来たのかと思い、俯いていたその顔を弘明がパッと上げる。

 

が、そこに居たのは予想外の人物だった。

ジロリ、、、

ガラリと開けたドアにその手を置いたまま、コチラを睨みつけるかのようにしてその視線を送ってきたその男の容貌に、弘明は又もその身を竦ませていた。

 

「何だ、今日はおじちゃんかあ。」

残念そうにしてそう発しながらもこれといって驚いた素振りを見せることもなく、帰りの準備を始めたのはあの羅々だった。

 

「帰るよ、雷羅。」

そして迎えの男が立つ窓のすぐ近くにまでやってきたその時、その足を止めると室内に向けてそう言い放っていた。

 

「?!?!?!」

その言葉に動揺し、あたふたと辺りを見回すと近くに居た小さな体が動き、立ち上がっていた。

 

「、、、、、、。」

その小さな男の子と目が合う。

 

弘明とは同じくらいかそれよりも小さいと思われる男の子は、その手に持っていた絵本を黙って本棚に戻すと部屋の片隅に置いてある自分の荷物を手にしていた。

 

この保育園は四歳から就学前の六歳迄が混合で振り分けられている。

弘明はこの時四歳。

羅々は、、最年長。

就学を翌年に控えた身である。

 

よりにもよって弘明は、自分よりも年上の羅々に向かって命令を下していたことになる。

とはいえ、羅々のその体は弘明のそれと大して変わらなかった。

そして雷羅と呼ばれたこの男の子は弘明達と同じ園児服は着ておらず、私服。

と、言う事は、、別の建物で保育されている三歳以下の園児である様だ。

 

スタスタスタスタ、、、無言を貫いたまま、そして余り変化を見せないその表情に何故かある種の迫力を備えた三歳児は、弘明のそれを気にすることも無く荷物を手に出入口へと向かっていた。

 

「津丸は?!」

「はっはっは、、アイツは留守番だ。

出入口のそこにある靴を履きながらそう尋ねると、羅々を迎えに来た男は豪快に笑いながらもそう答えていた。

 

「また変な修行させて喧嘩したの?」

「いや、、」

 

丸坊主にしようとしただけであいつ、いっちょ前に反抗してきやがった、、で、その後お前の迎えを頼まれていたんで声を掛けたんだが返事もしやがらねえ。

あのガキ、たったそれだけのことで不貞腐れやがって。

 

羅々の質問に首を振ったその後で、男はそう付け足していた。

 

「何で丸坊主なの?」

「俺の修行時はそうだった。それに比べればあいつは遅いくらいだ。」

「修行だと丸坊主なの?おじちゃん今はモヒカンだけど。」

「これは謂わば「証」だからな。」

「ふーん、じゃあ津丸もモヒカンになるの?」

「今の所その予定はない。」

「じゃあ、なんで丸坊主、、」

「だから、修行、、、、、」

 

と、果てることの無い問答を繰り返しているその近くで、雷羅が自分の靴を履き終えていた。

 

「さよならー。」

「はい、さようなら。」

、、、、、、、。

保育士に向けて挨拶の言葉を口にするとさっさと歩きだしている羅々、後ろで黙しながらも手を振る雷羅にも保育士はその手を振り返しつつ見送っている。

 

「こいつ等が何かやらかしたその時は早急に父親の方に連絡をして欲しい。」

「そんな事は無いですよお、羅々ちゃんも雷羅君も、何時もお利口さんです。」

 

モヒカン、卍丸にそう告げられるも見送りに出た保育士はにこやかにそう返してきた。

 

「、、、、、あのガキは?!」

「弘明君ですか?あの子は今日が初めてなんですけれどお迎えが遅くて、、」

「序でだ、連れて帰る。」

 

ドガーーーーン!!

卍丸のその言葉に、部屋の片隅に蹲っていた弘明が大きな衝撃を受けていた。

 

今朝の出来事に引き続き、衝撃、その二となる。

 

ジャリ、、

「?!」

その時、弘明にとっては救いの天使が舞い降りてきた。

 

「すいません、遅くなりました。」

やって来たのは何処からどう見ても、、な方。

叔父である伊達の部下の一人だった。

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜、、、、、!!」

弘明は声にならない声と共に駆け出し、裸足で庭に出てその足にしがみついていた。

 

見上げるその顔は、涙と鼻水でぐしょぐしょになっている。

 

「、、、迎えが待ち遠しかったんだろうよ。」

とは、卍丸。

 

「すいません、遅くなりまして。」

本来なら片膝若しくは両膝をついてその目線を下げ、対応したい所なのだろうがその足に弘明が纏わりついているのでそれが出来ぬままに声を掛けた。

 

ぐじぐじぐじ、、、

弘明は更に涙と鼻水とを噴射させ、声も出ないままにその顔を見上げていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「、、、と、いうのをあんたの顔を久し振りに見て思い出したんだけど。」

「〜〜〜〜、、、、、。」

ファーストフードの店内にあるテーブルを挟んだ向こうにいる少女にそう告げられるも、何も言えずにいる弘明、、現在の安東の姿がそこにはあった。

 

「で?!」

「?!」

「どうしたの?その髪。染めた?」

テーブルに片肘をついたポーズでそう尋ねられる。

 

「う、、、五月蝿えな。他に何がある。」

椅子の背もたれに肘を掛け、粋がって答えるもその声は震えていた。

 

「ふーん、、随分と伸ばしたねえ、その髪。手入れが大変そう。」

ズズズ、、、そう話しながらも手元にあるシェイクをストローから口にする。

 

「、、、、、そういうお前はずっと同じ髪型だな。」

苦し紛れにそう言い返すと、以外にも暫しの間が開いた。

 

「?!」

不思議に思いそちらに目を移すと、目の前にいる彼女は黙したままに俯き加減でもって片方の手でシェイクの器を支え、残る手でもってゆっくりとストローを回していた。

 

やべえ、、俺、このまま消されるかも知れねえ。

踏んではならないモノを踏んでしまっていたことに今更ながらに気が付いたのだが、時既に遅し、、、なのだろう。

冷や汗を全身に搔きながらもどうやってこの窮地を抜け出すか思いを巡らせていたその時、、くすり、と、彼女がその口元に笑みを浮かべていた。

 

「ま、、良いや。」

それだけを口にすると、彼女は飲み掛けのそれを手に立ち上がっていた。

 

「此処出たら左の方に行ってみな、面白いものが見られるから。」

ストローを口もとに近付けつつもそう言い残すと、彼女はさっさとこの場を後にしていた。

 

「チッ、何なんだよアイツは、、、」

口のなかでそう不満を垂れつつも、店を出たその体は彼女が口にしていたその方向へと向かう事となっていた。

 

 

 

 

「かかれえーー!!」

掛け声と共にバリカンを手にした一団が周囲にいる茶髪のお兄ちゃん達を手当り次第に捕まえると、手にしていたそれで容赦無く刈っている様を安藤は目の当たりにしたのだった。

そして間もなく己自身もその被害を受けることとなる。

 

 

 

暁編・番外「昔話」ー完ー

 

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素質

2018-11-08 15:20:35 | 暁編・番外

 

・・・・・・・・・・・。

はて?!確か、、、ここに、、、、、

 

テーブルの皿の上に「特製団子」を置いておいた気がするのだが、、

そう思い、室内を見渡した。

 

「?!、、、、瑠菜?いつの間にやってきたのだ?」

いつの間にやってきたのか、、娘の瑠菜が息抜きの時等に外の景色を眺める為、常時置いたままにしてある窓際の椅子の上に腰を下ろしていた。

そして「何か」が載っている皿を手に持ち自分専用のフォークでもって突き刺すと、嬉しそうにして頬張っている。

 

「瑠菜、、どうしたのだ、それは、、、、、、」

!!!!!!!!!!!

ど、、どうしたも何もない、今、娘が嬉しそうにして頬張っている「それ」こそが、俺が今探していた「モノ」なのではないのか?!

 

そのことに気が付き、俺は全身から一気に血の気が引いていた。

 

「お父さん、これ、、美味しくない。」

フォークに刺された食べ掛けのそれを此方へと突き出し、瑠菜が不服そうにしてその頬をぷうっと膨らませていた。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・なる程、父親に負けず劣らずで「毒に対する」耐性が驚く程に高いのが良く分かるな。」

俺の方へとその顔を向け、羅刹の奴がそう告げてきた。

 

奴のその向こうでは瑠菜が口にしたものと同種のソレを食してもらったところ、見る間にその顔色を変化させている元・鎮守直廊の番人衆三人の姿があった。

 

もぐ、、、

「お父さん、、これ、やっぱり美味しくないよ。」

その近くで奴等が残した「毒入り」の団子を手掴みで口にした瑠菜は、それを口の中でもごもごとさせながらも又もやそう俺に向かって訴えてきた。

 

「吐き出しなさい。」

「いや、それよりも先にこいつ等に解毒剤をくれてやったらどうだ?!」

真顔で瑠菜にそう話し掛ける俺に向け、呆れた様にして羅刹の奴がそう呟いていた。

 

「あー、気にするな、大した毒性はない。」

「いや、のたうち回っているぞ、、こいつ等、、、」

「・・・・・・・・・・・調合を間違えたか?」

「ならば尚のこと、さっさと解毒してやれ。」

 

 

 

 

「お父さんお団子失敗したの、瑠菜が全部食べてあげようか?」

勿体ないよ?!と言いたそうにしながら瑠菜が俺のその顔を見上げてくる。

 

「いや、、あれは究極の失敗作であったのかも知れん。」

瑠菜を抱きかかえ、そう伝える俺の背後で羅刹に解毒剤を貰った三人が一気にそれを飲み干していた。

 

「幼い子供がいるというのに、そういった凶器を安易に作り上げるな。

結果として瑠菜には究極の耐性が備わっているせいか、何事も無かったようだが次も何事も起きぬとは限らんではないか。」

「すまん。」

 

椅子を突き合わせ、腕を組みつつ苦虫を噛み潰したかのような表情でもって羅刹の奴の説教を受ける羽目となってしまった。

俺が悪いのは確かである。

元・男塾死天王の将ではあるのだが、その体をシュン、、と縮こまらせながらも俺は奴のその説教を真摯に受け止めるしかなかった。

 

その傍らでは羅刹が新たに用意をした「ちゃんとした」おやつセットを囲み、娘瑠菜と直廊の三人衆とが和気あいあいとした雰囲気でそれらを堪能していた。

 

「んーーー、、瑠菜ちゃんっていうのかあ、おじさんは独眼鉄だよ~・・・・・・・・・」

(気持ちは分からなくはないが)でれっでれの表情で瑠菜に言い寄るんじゃない、独眼鉄。

 

「愛らしいお嬢さんですね、では、、あいさつ代わりに私のとっておきのマジックを披露致しましょう。」

ディーノ、それはゾリゲンカードではないか、、、物騒なものを娘に披露するな。

 

「よし、では俺の蝙蝠でもって空中散歩でも楽しむか?」

とは、蝙翔鬼。

「!!、、、蝙蝠さんに乗れるの?お散歩??凄い、行くーーーーーーーーーーーっ!!」

 

・・・・・・・・・おい、俺の娘を勝手に外に連れ出すな。

 

「では早速私もお供致しましょう。」

「貴様等は乗せぬぞ、特に独眼鉄。」

「わ、、分かっている。」

 

ぞろぞろぞろ、、、等といった会話を交わしつつ、何を勝手に俺の娘を外に連れ出そうとしているのだ?

おい、、瑠菜「知らない人について行ってはいけません」とお母さんに教わらなかったか?!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・しまった、、あいつ等は今の瑠菜にとっては知らない人では無かった!!!!!

 

おい、瑠、、、菜。

と言い掛けたところで、羅刹の奴が真正面からジロリと俺を睨んできている事に気が付いた。

 

「貴様、俺の話を聞いているのか?!」

腕を組み戦闘態勢にでも入るつもりなのかと言いたくなる程に張り詰めた空気を放ちつつ、俺に対して羅刹の奴がその怒りを増幅させている。

 

「いや、、そうではなくて、瑠菜がな、、、、」

「瑠菜?!」

「そうだ、瑠菜だ。」

「・・・・・・・・・・。」

 

俺のその言葉にハッと我に返ったのか、羅刹の奴が腕組をした状態のまま首だけでもって瑠菜達が先程まで居たテーブルの方へと視線を移していた。

 

----------------っっっ!!!!!!!

「瑠菜ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

 

其処にあった筈の瑠菜の姿が無くなっていることに気が付いた羅刹が、信じられぬ程の勢いでもって大絶叫を放っていた。

 

「?!」

 その声が、、どうやら外に居た瑠菜の耳に届いたようだ。

 

ばっさばさばさ、、、

 

「はあい。」

何やらどでかい羽音と共に、娘の声が聞こえてきた。

 

「?!瑠菜、、、、?」

その声に導かれるようにして窓の方へと駆け寄ると、その向こうにバカでかい蝙蝠の背に乗った瑠菜が窓越しに此方を覗き込んでいる姿が見えた。

 

「何を、、しているのだ?!」

「蝙蝠さんに乗ってる。」

「そうか、、、」

 

窓を開け、宙にいる瑠菜に向けてそう問い掛けると、何事も無かったかのようにしてサラリと返事を返された。

 

「お、、俺の蝙蝠。」

気が付くと何やら片隅に蹲り膝を抱えて落ち込んでいる蝙翔鬼の背を撫でつつ慰めている独眼鉄と、ゾリゲンカードを捌きつつ「ほほほ、、」と、髭先を引っ張り何やら楽しそうにして此方を見ているディーノの姿がそこにはあった。

 

 

 

「ほっほっほ、、これはまた将来が楽しみなお嬢様です。」

「度胸も良いようだ。」

「おい、、その言葉、どういう意味だ?!」

 

巨大蝙蝠には撤収願い、取り敢えずは全員に室内に戻るよう促すと皆が皆、素直にそれに従っていた。

瑠菜の奴が何の違和感を抱くこともなく独眼鉄に抱きかかえられて室内へと戻ってきたのだが、奴のそのどでかい体の位置から眺める景色が面白いのか、楽しそうにしている。

 

 

「ばいばーい。」

奴等三人には態々ここまで来てもらった上に、毒物を賞味して貰ったので労いの意味も込めて飯を馳走した(但し、腕を振るったのは羅刹)。

 

久々に、、というよりはこの場所には初めて招いた三人に馳走をすると、連中はご機嫌でほろ酔いを味わいつつも帰っていった。

それを瑠菜も含む俺達三人でもって見送った。

 

「・・・・・・・・。」

見送りつつも、瑠菜は何処か寂しそうでもあった。

 

「夜も更けてきた、瑠菜もそろそろ眠る準備をしような。」

「うん。」

抱き上げた状態のまま瑠菜に向かってそう声を掛けると、少し閉じかけてきた瞼を必死に開けつつも素直に頷きを返してきた。

 

「瑠菜、おじしゃんとお風呂に入る!!」

・・・・・。

 

そんな瑠菜が、それまで眠そうにして閉じかけていたその目をパッと見開いていた。

その視線の先にある羅刹のその姿が飛び込んできたが為に、それまで支配していた眠気さえも何処かへと吹き飛んでしまったらしい。

 

きゃっきゃきゃっきゃ、、、、、!!

はしゃぐ娘のその声が、浴室外にいる俺の耳にも程良く届いてくる。

 

 「くう、、、、、」

風呂からあがった瑠菜は、脱衣所から出て来た時点で既に爆睡状態になっており、羅刹のその腕の中でスヤスヤと安らかな寝息を立てていた。

 

 ん?!何故に毒入りの団子などを作っていたのか、、だと?!

 

いや、、、自分に耐性のないとある新種のそれを見付けてな、、少しずつ己のその体に適合するかどうか、それを確かめていたのだ。

そういった代物なので当然のことながら「味」に関しては無頓着であった。

 

が、、、「美味しくないよ。」娘に言われたあの言葉が脳裏に蘇る。

いっそのこと、餡でも載せて食すなりしたのなら多少は上手くなるのかも知れん。

 

独り言のようにしてブツブツとそう呟いてしまっていたところ、その呟きを耳にした羅刹が心底呆れた表情でもって黙したままにコチラを見ていた。

 

お前の勤勉さには頭が下がるが、、

と前置きをしたその後で、羅刹の奴がこう切り出してきた。

 

「瑠菜の傍にあっては、毒に関する事は禁止できぬのか?あの子の素質の高さは認めよう、、だがな、相手はまだまだ幼い子供だぞ?!」

「、、、、、そうだな。」

 

どうやら俺はつまらぬ事の方に没頭し過ぎたが故に、大事な者に対する気配りが足りていなかったようだ。

今更ながらに、反省させられる。

 

「すまんな、お前の子なのは重々承知してはいるのだが、、どうも気になってしまってな。」

「いや、俺も考えが浅はかであった、、お前には今日一日随分と世話になった。

感謝する。」

「ふ、何をらしくない、、今更ではないか。」

 

瑠菜の規則正しい寝息が扉の向こうから聞こえてくるのを確認しつつ、奴と並々と注がれたコップを軽く合わせた。

 

夜の闇が、、その深さを増してきていた。

 

 

 

「ところで、、、」

互いに酒を酌み交わしつつ、俺はふと思い出した事があり話を切り出した。

 

「羅刹、貴様、、家に帰らなくて良いのか?!確かお前の所は二人目が出来たのだったよな??

奥方は臨月を迎えていたのではなかったか?」

 

ぶふぉっっっっっっ!!!!!

 

俺のその言葉を耳にした羅刹が、勢い良く飲み掛けていた酒を吹き出していた。

、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、!!

「す、、すまん、影慶、用事を思い出した!!!」

何も言わぬままにスックと立ち上がった奴が、そう叫ぶと同時に一目散に我が家を飛び出していた。

 

「、、、、、、。」

あっという間に走り去ってしまった羅刹をそのままの体勢で見送ったその後で、俺は皿の上に無造作に置かれたツマミをひとつ、口の中へと放り込んだ。

向こうの部屋からは娘、瑠菜の小さな寝息が静かに響いている。

 

 

 

 

暁編・番外「素質」-完-

 

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