迷宮映画館

開店休業状態になっており、誠にすいません。

デンデラ

2011年07月01日 | た行 日本映画
とある村。齢70になると、山に捨てられる。口減らしって奴だ。いままで身を粉にして働いてきた感謝の念はあれども、今目の前にいるこれからの人間の腹を満たさないといけない。邪魔なものは排除する。未来のない年よりには消えてもらう。なんて残酷なことを・・・などと思うだろうか。弱いものが淘汰されるというのは、世の常のはずだ。

捨てられたカユ。でも家はそれほど貧しいようには見えない。70になればお山に入るもの。そこで死ねば極楽浄土に行けるはずと、幼い頃から叩き込まれてきた。それが当たり前。あとはお迎えが来るだけ・・・、のはずが、気がついたとき、目に入ったものは現実の世界。

何年も前に山に入ったはずの先輩ばあさんたちが、元気に山の中で暮らしていた。小屋を建て、道具を作り、食料を貯蔵し、皆が助け合ってる。皆を率いてるのは百歳になったメイ。山に入ってすでに30年。生き抜いた彼女が作り上げた世界だった。

助けられたカユは、これ極楽浄土に行けなくなった・・と、生きていることを恥じるように嘯くが、それは本当のことか。助かって辛いか、死にたかったのか・・・・。自分と仲の良かったクラに再会して、気持ちが揺らぐ。あれほど極楽浄土に行きたがっていたクラが、死にたくない、ここで生きれて良かったという。

メイが目指していたのは、村への復讐。自分たちを捨てた男共に憎しみをぶつけ、自分たちを捨てたことを後悔させてやる。機は熟した。人数も増え、訓練も重ねた。しかし、このデンデラと名づけた共同体にいるのは、実力で復讐を遂げようと願っているものばかりでもない。

村の連中にひどい目にあったマサリは、誰よりも憎悪しているはずなのに、自分らが村よりも豊かになることこそが復讐だと主張する。武力で復讐に加わらないものを意気地なしと呼ぶ彼女らだが、排除しようとはしない。あくまでも自由意志。

カユも復讐組みに加わるが、行動を起こそうとした彼女らの前に大いなる敵が立ちはだかる。それは熊。。。そして雪崩。圧倒的な力の前に、なすすべなく斃れていくばばあたち。もともと捨てた命、未来もない。男もいない。あるのは今ある己の命を守ろうとする人間の本能のみ・・・・なのかな。。。

途中までは結構面白く、なかなか引き込まれて見ていたのだが、やはり年季の入ったばあ様たちの佇まいは違う。存在感と迫力の度数が違う。可能性0の世界から、どうやって新しい世界を構築していくんだろうか、未来に何か見えるんだろうか、女の敵は??と、勝手にいろんな可能性を想像していたのだが、後半、すっかり興ざめしてしまった自分がおりました。

いや、抗うことの出来ない圧倒的な力だったのでしょうが、あの熊は。。。でも、周到に村に復讐を練っていたわりには、熊に対して、ほとんど自殺行為のような対処の仕方。ここ30年、熊は出たことがない。。。というベンもあったけど、ちょっとなあぁ、どうもスッキリしません。スッキリする終わり方はないでしょうが、これが「楢山節考」の答えには見えませんでした。決定的に足りなかったのはエロかも。ばあ様にエロを求めるのは間違ってないと思いますわ。

なんだか、原発事故の処理に立ち向かう70過ぎの特攻隊の方々の姿とかぶるモンをどこかで感じましたが、彼女らが戦う思いの根っこに未来はない。結局、ただの復讐譚だったのでしょうか。

さて、撮影の場となったのは、「庄内映画村」。ものすごい雪。はてしない雪。どこまでもどこまでもの雪、雪、雪。こんなところ!と驚かれるようなとこに撮影所があります。行くまでもドンだけ大変だったかと想像に難くない。普通、雪が降ったら、あの辺まで行く物好きはいません。スキー場のそのまた奥にあるんすから。「座頭市」のときのあの集落に雪がかぶると、こんな風になりますよという感じです。あの降りしきる雪の中で、演じた女優さんたちのエナジーはすごいっす。そこに敬意を表します。

◎◎◎

「デンデラ」

監督 天願大介
出演 浅丘ルリ子 倍賞美津子 山本陽子 草笛光子

コメント (8)   トラックバック (4)   この記事についてブログを書く
« 阪急電車 片道15分の奇跡 | トップ | アンダルシア 女神の報復 »
最近の画像もっと見る

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ミッドナイト・蘭)
2011-07-07 21:07:32
この作品は、私の今年のナンバー1候補です^^
でも、新版「13人の刺客」でも感じたのですが、この作り手、途中から物語を破綻させますよね。
でも、それでも、インパクトのある作品でした。
あまり効果なく、作中現在に、デンデラ創成期の創業婆ちゃんの山を楽しむ姿がイメージ映像のようにカットインされるのが、なんか、テレンス・マリック的でした^^
確かに薄味…… (hori109)
2011-07-11 20:35:41
……なんだけど、熊を誘い込む罠がほとんど女陰だったり、
猥歌にテンション高くなるなどの、実は余計とも言える部分は
父親ゆずりでしょうか。

わたしは、ことここに至ってまで浅丘ルリ子が
浅丘ルリ子のまんまであることにびっくし。好きですこの映画。
>ミッドナイト・蘭さま (sakurai)
2011-07-12 20:26:59
うーん・・・、「13人・・」とは、ちょっと違う空気を感じました。
この破綻のさせ方は、どうにも納得いかなかったですわ。
抗いがたい力と言うのもわかるのですが、もっと違った敵で話を進めて欲しかったです。
>hori109さま (sakurai)
2011-07-12 20:57:57
あぁ、でも熊はメスなんですよね。その辺はどのように解釈すべきでしょうか。
別に熊の性別は関係なく、女の最大の武器を使った!と言うことでしょうか。
浅丘さんは、最近一層浅丘度を増したような気もします。
あの中でも化粧バリバリでしたが。。
「ジーン・ワルツ」ってのが、危機迫ってました・・・。恐ろしい。
こんにちは♪ (maki)
2012-02-14 12:43:18
女優たちの共演は素晴らしい事と思います
浅丘ルリ子さんもほぼノーメイクで挑んでいてもお肌ツルツルで美しい(若干美しすぎるところが違和感覚えますが…しわとかなかったですもんね)。
老婆たちとはいえ共同体デンデラでの生活は活き活きしているところをみるに、女性って逞しいと改めて思います

デンデラを襲ったのは雌熊、村を襲ったのは雄熊。なんだか多大なる犠牲を払ってめぐりめぐってデンデラの悲願が叶ったような気もしちゃいますね
残った老婆たちはどうなったのだろうか
また花を愛で、木をかじり、どんぐり饅頭を作り生きながらえていくのでしょうか
>makiさま (sakurai)
2012-02-14 14:10:03
まあねえ、若い人が見ても、さっぱり価値は感じないと思いますが、あそこまで揃われると凄いです。
山本陽子はぜんぜんわかんなかった。

そうそう、男なら無理でしょうね。ってわかんないけど。強いのは魔女の軍団ですよ。

うーん、あのあとどうなったのか?大いなる目的であり村への復讐がどういう形で成し遂げられたか・・ということが大事だと思うので、せめて姥捨てがなくなったと思いたいです。
Unknown (Ageha)
2015-02-05 10:57:28
実際見てないんでなんともなコメントなんですが
どうせなら、彼女たちを捨てた村人が命からがら逃げてきた場所でみたものは
自分たちが捨てた老女たちがつくった
幸せの国だった~くらいにしてほしかったな~と。
どうせならクマと戦うというより
魔女ならクマ操って村襲わせるとか。
・・・・ってなんかジブリの世界でも見てるような創作かな。

・・・にしても出てる女優さんがそうそうたるもんだったのですね。(;´∀`)
過酷なロケ地でこんなメンバーが体張って演技してただけでもすごいよなと思いました。
・・・って、sakuraiさんのレビューだけで見た気になってるAgehaさんでした。(爆)
>Agehaさま (sakurai)
2015-02-10 13:50:46
読んでいただき、恐縮です。
そうなんす。
こっちはこっちで、幸せにやってますよ~ってのが、真の復讐?みたいに思うのですが、結局クマに全部やられちゃう・・みたいな。
なんだった?って感じでした。
なもんで、まずは中身がどうのってことより、このばあさんたちが、あの寒い仲、神経痛と戦いながら雪にまみれて奮闘!!ってのが、一番の価値の映画だと思います。

コメントを投稿

た行 日本映画」カテゴリの最新記事

関連するみんなの記事

4 トラックバック

■映画『デンデラ』 (Viva La Vida! <ライターCheese の映画やもろもろ>)
70オーバーの超熟女たちが50人集合し、自分たちを捨てた村人や、野生の熊に戦いを挑むという映画『デンデラ』。 若い女性はほとんど出演しておらず、迫力たっぷりの“かつて日本を代表していた”美女たちが、ぼろぼろの薄汚れた衣服に、煤けたメイクで登場しているこの...
[必見! 映画『デンデラ』を観た(超短信でスマン)] (『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭)
☆これは、もはや、その設定で勝利したようなものだ。  寒村で姥捨が行なわれていた時代・・・、姥捨山の裏山では、捨てられた老女どもが生き永らえ、生活共同体<デンデレ>を形成し、村への復讐・皆殺しを、古参のババァの念願30年を経た末に計画していた。  この...
庄内映画事情その19~「デンデラ」(2011 東映) (事務職員へのこの1冊)
その18~「デンデラ」スタートはこちら。 アラサーだのアラフォーだの、小さな差異
デンデラ (いやいやえん)
大女優たちが結集。なんかそれだけでも凄い。 この「デンデラ」というのは、姥捨てされた後に老婆たちが作った「共同生活体」で、その底には開設者メイの村民たちへの復讐心がある。1人の老婆の怨讐が、山奥にコミュニティを作らせた。ちょうど主人公カユで50人目...