迷宮映画館

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ロスト・メモリーズ

2004年06月14日 | ら行 外国映画
2009年、ソウルは東京、大阪に次ぐ日本第三の大都市。朝鮮半島は日本の支配下にあり、その支配に対する反対派のテロが繰り返されていた。ゆがんだ歴史の始まりは1909年に暗殺されたはずの伊藤博文が殺されていなかったこと。その結果、日韓併合は続き、日本は第二次世界大戦の際、アメリカと同盟を結び、連合国側につく。朝鮮半島は日本の支配を受けて100年、それが歴史だった。

朝鮮総督になった伊藤を引き継いだ井上某という人物が持つ財宝展がテロ集団に狙われる。そこに鎮圧に行った西郷と朝鮮系の坂本の刑事。警官隊の活躍によってテロ集団は制圧されるが、彼らの不可解な行動がどうにも気になる。彼らが狙っていたものは何なのか。どうやらそこには、このゆがんだ歴史の原因となる鍵があるようだ。

彼ら不令鮮人を探るうちに、坂本は真実を知る。そしてそれは無二の親友、西郷との対決を意味していた。

と、まあ、こんなお話でしょうが、久々にすごい映画を見てしまいました。さすがコリアンパワーー。あたしはどちらかと言うと韓国映画は好きなのですが、たまにすごいの出会います。いい意味でも悪い意味でも。その思い込みの強さ?妙にねちっこくしたどろどろパワー?完全に空回りして周りを削って、自分も削ってしまうほどのパッション。すごさに唖然。で、コレは韓国の右翼が、どこかにコンプレックスを感じながら、コンプレックスなどない!と肩に力入り過ぎて作ったような感じがしましたです、はい。

まず、伊藤博文が殺されなかったらどうなったか。多分、日韓併合はもう少し遅れたと思います。なかなか併合の決定的な決め手がなかったときに降って沸いたような元勲の暗殺。日本はそのことを逆手にとって、責任を追い詰め、併合を推し進めてしまったわけ。で、この伊藤君はあまり頭のいい御仁ではありませんでした。なので、彼が生きていたとなると、もっととんでもない世の中になっていたかも。その伊藤暗殺を阻止した井上某とやらが、後の世界を熟知していたため、日本の都合のいいように政治を牛耳って行ったとか。だったら、併合によって、半島が期待ほど大きな市場にならず、日本に経済的な利点をもたらさなかった事を知ってるはずでございます。

ところどころに小さな事件が起きたりするのですが、その結末もどこかに置いてきぼりで、中途半端な作り。妙にストップモーション多用で、いらんとこを引っ張る。2009年に日本人は袷の着物に羽織を引っ掛け、純和風の家に住んで、花火を見ると。若いお母さんの着物の地味なこと、この上ない。いまどきアメリカ映画でもそんな変な日本人は出てきませんが、あえて確信犯的に登場させております。朝鮮系の人たちは、近代的なかっこいい家に住んでおります。なんかすごい。

どうにも大根役者の仲村君では締まらないのですが、このくらいの大根さんじゃないとつたない日本語をしゃべる坂本(チャン・ドンゴン)とつりあいとれなかったのかなあ、などと変に勘ぐったり。とにかくある意味すごい映画でした。

伊藤を暗殺した安重根という人は日本の侵略活動に反対をしていた義兵運動の義士の一人。彼らはこの活動の証として、中指を詰めていたのですが、最初のシーンに一瞬ですがキチンと描いてました。あたしが感心したのはこれくらいかな。豊臣秀吉の銅像にどひゃーん。日本のどこにも秀吉像はねーわな。

『ロスト・メモリーズ』

原題「2009 Lost Memories」 
監督・脚本 イ・シミョン 
出演 チャン・ドンゴン 仲村トオル 今村昌平 ソ・ジノ  2001年 日=韓作品


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