迷宮映画館

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2046

2004年10月27日 | な行 外国映画
愛を失ってしまった男。小説家の男は、自分の分身に愛を探させる。生身の自分は自分自身を許せない。本当の愛に手が届きそうになっても、自らその手を振り解いてしまう。なくした愛の大きさは計り知れなかった・・・。

王家衛の独特の世界は、万人に受け入れられるものではないと思う。あんまり好みではなかったのだが、前作の「花様年華」は好きだった。一貫したアンニュイなムードは主役の二人にぴったりマッチ。トニー・レオンに惚れない女はいても、マギー・チャンに惚れない男はいないだろうと思えるほどの完璧な女だった。その女との究極の愛をなくした男が、それに代わる愛を見つけられるはずがない。何とかしてもがいてる。その苦しみを描きたかったのかもしれないが、それは単に、ただのぼやきだ。愛の探求者でもなんでもない。愛を弄んでいる姿など見たくない。

じゃー、見なければいいのだが、見てしまった。有名どころの女性陣を縦横無尽に配して、彼のエゴの映画を見せ付けられてしまったような気がして、しようがなかった。それはそれでいいし、それが好きな人もいるだろう。今回の映画をとてもいいと思った人もいるかもしれない。

でも、見たすべての人が満足し、納得し、理解したかと言うと、決してそうではないと思う。キムタクが出演したのも大きな話題となった。いままでウォン・カーウァイの名をまったく知らない人も見たかとも思う。そういうことも考えての配役だったと思うのに、はっきり言って不親切な映画である。見る者を切り捨てる映画に思えた。

『2046』

監督 ウォン・カーウァイ 
撮影 クリストファー・ドイル
出演 トニー・レオン 木村拓哉 フェイ・ウォン 2004年 中国(香港)作品


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