迷宮映画館

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未来を生きる君たちへ

2011年10月07日 | ま行 外国映画
父親はアフリカの難民キャンプで医者をやり、様々な患者を看ているが妊婦を無残に切り裂く、「ビッグマン」なる男の仕業には愕然とする。彼の家族はデンマークで暮らしているが、妻とは別居。ちょっとひ弱な息子・エリアスは学校でいじめられている。父親が大好きなエリアスは、父親が帰ってくるのを心待ちにしていた。

そんなときに転校生がやってくる。母を亡くしたばかりのクリスチャン。どこか醒めた雰囲気をもった怜悧な少年。エリアスがいじめられているところに遭遇して、自分もあおりをくらうが、すぐさまきっちりと報復をする。やられたらやり返す。そうすることが必要だ!と信じている。

ガンで亡くなった母を、父は見殺しにしたんだと思いこんでいるクリスチャンは、父親に心を閉ざしている。エリアスとクリスチャンはつるむことになるが、どう見てもエリアスを利用しているクリスチャンだ。

あるとき、ブランコで遊んでいたエリアスの弟が同じような年頃の子供とけんかをしていた。そこに乗りこんできたのが一方的なオレ様の暴力的な父親。子供の言い分も聞かず、威圧的に暴力をふるう男に無抵抗のエリアスの父親。暴力に対し、暴力で答えるのは何にもならない。それは憎しみの連鎖を生むだけだというエリアスの父。でもクリスチャンは納得がいかない。

暴力的な男の住所を見つけ、ひそかに復讐を図ろうとする。。。。しかし、それは大きな悲劇を生んでしまう。

いつもながら人間の闇の部分のえぐられたくないところをこれでもかとあぶり出すスサンネ監督の手法は健在。と言うか、いつもよりそれはうぐい。子供の持つ残酷さが全面に出したのはこれが初めてではないだろうか。いやーー、いつにもまして重く、眉間にしわが寄ってくる。

それぞれが選択を迫られる。それこそ生きるか、死ぬか?もあれば、復讐するか、許すか?自分が許したとしても、相手はそれを許そうとはしない。残虐非道な救いようのない犯罪者を救うべきか、見殺しにするべきか???自分がよかれと思っても周りはそうはさせてくれない。人間は一人で生きているものではない。

それらの絡み合ったどうしようもない闇に一筋明かりが見えるとしたら、それは信頼と思いやり?それがあれば何とかやれる、どうにかなる。まだまだ大丈夫・・・・。そんな感じでしょうか。

いつもの救いのあるのか、ないのか?みるものに答えを投げつけるような作りではなく、ある程度の答えを用意していた。わかりやすいと言えばわかりやすく、その辺がアカデミー会員に受けたんではないかとうがって見るが、なんだか盛り込み過ぎな感じは受けた。結構万人向けの、教条的な作りにみえたのだった。それが悪いとは言わないが、もっと孤高を貫くような作りが見たいと思ったのはわがまま?かな。邦題がまたそれをあおっていたのかも。

国の名前はきちんとは出てこなかったが、多分舞台はデンマーク。エリアス親子らはスウェーデン人みたいに言われていた。同じ北欧でも移民に対する差別的なものはあるのだろう。その辺の事情も心情的に絡んでくるのだろうが、ちとわかりづらかった。

◎◎◎○

「未来を生きる君たちへ」

監督 スサンネ・ピア
出演 ミカエル・パーシュブラント トリーネ・ディアホルム ウルリク・トムセン

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6 コメント

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Unknown (KLY)
2011-10-08 21:04:48
否定しても厳然と存在する暴力。それに
どう対応するのか、できるのか。
その時その場の状況にもよるけれど子供
が考えるほどシンプルに物事は進まない。
解っちゃいるけどこの矛盾がしっかり描か
れていたように思いました。
本当は子供に見せて、キチンと教えてあ
げたいところです。
>KLYさま (sakurai)
2011-10-13 13:50:33
本当ならば見たくない、できれば避けて通りたい、そういうものをあえて抉り出してみせる・・・。一貫した彼女の姿勢には、本当に感服です。
ナンですが、なぜか今回はしっくり来なかったのですよねえ。
何でだったのか、じっくりゆっくり考えてます。
sakuraiさん♪ (mezzotint)
2011-10-15 10:24:40
こんにちは♪

新人とは思えない演技、特にクリスチャンを
演じた男の子、恐ろしいほど凄かったです。
それだけに子供があんな風に憎悪を示すという
のも、何だか怖いものを感じました。
おっしゃるように子供ですし、、、。
後味良くないですよね。

おぉ~次回はコメディ作品。いやあどんな
作品が出来るんでしょうね。
こんばんは。 (オリーブリー)
2011-10-16 02:14:06
sakuraiさん、お忙しいですかぁ~。
私もバタバタしています…娘の就活とか、、、って、腰の重いやつをその気にさせるのに一苦労な日々。。。(滝汗)

皆様の高評価に天邪鬼になってしまったんですが、これまでのスサンネ・ピアにしたら、ちょっと広げすぎた感じ?がして、いまひとつハマれませんでした。
親が子供に向ける姿勢って、簡単なことではないし、正解もないのでしょうが、何だか時々、違うだろう?と言う様な気がしてしまいました(汗)
>mezzotintさま (sakurai)
2011-10-17 16:30:18
そうなんですよねえ。
私はどうも子供がどうのという、いじめだったり、憎しみの塊のようだったり、血だらけとか、どうにも苦手で。
いくら演技なんだといっても、自分の中ですとんと落ちない。
これは演技なんだといっても、この子の人生になにか影響を及ぼすんじゃないか・・などと思ってしまったりするんですよね。
考えすぎでしょうが、子供がどうのというのは、どうにも納得いかなくなってしまいます。
こういうのを老婆心っていうんでしょうね。
>オリーブリーさま (sakurai)
2011-10-17 16:34:43
なんだか精神的に追い詰められてるように忙しかったのに、そこに身体的にも追い打ちかけられて、まったくもうです。
左手使えないのは痛い・・・。

おぉぉ、就活ですかあ!
いまのご時勢、マジに大変ですもんね。
うちの大学5年は晴れて卒業はしたのですが、何をするのやら~。
本人はバイトでもと軽く考えてるようですが、世の中ほんなもんじゃないんだって。

あ、映画です。
私もそう感じた。
ちょっとテーマを広げすぎて、落としどころがぴたっとこなかったみたいな。
いや、お説ごもっともなんですが、なんか中途半端な感じもぴたっとこなかったです。

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