迷宮映画館

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13デイズ

2000年12月15日 | さ行 外国映画
1962年10月12日に始まった「キューバ危機」を忠実に描いた映画である。登場人物はもちろん、JFK。「ダブル・ジョパディ」や「英雄の条件」などで、いかにも裏のありそうな人物を演じているブルース・グリーンウッドがなかなか好演している。世界中が知っている人物であり、世代の違う人々まで浸透している人物を演じるのは難しいと思うが、また誇りでもあろう。

弟、ロバートが絶品。化けて出てきたかと思うほどであった。そして、その二人を支えていたといわれる、大統領特別補佐官のケネス・オドネルをケビン・コスナーが演じる。あまりに前出の二人が似すぎてたために、あの世から登場してて、ケビンだけが今の人みたいなアンバランスさえ感じてしまった。

アメリカからわずか140kmしか離れていない距離にアメリカの大嫌いな共産主義の国が誕生してしまったのが1959年。アメリカはそのカストロ政権に対して亡命キューバ人を使って侵攻したのが話の中で何度も出てきた『ビックス湾事件』である。これが失敗してしまったことにアメリカは無用に脅威を感じていた。そんな中、アメリカ自体が自信を失いかけてた頃に大統領に就任したのがかのJFKである。

アメリカでエリートの条件といわれるのがWASP。白人でアングロ・サクソン系のプロテスタント。この伝統に初めて外れて大統領になったのがこのJFKだ。アイルランド系のカトリック。はなっから、嫌われているのは当然で、敵だらけだったのだ。彼にあるのは信念。

キューバ内に建設されていた核配備ミサイル基地を発見したアメリカは色めき立つ。先制攻撃で完成する前にたたくべきだという軍部の案と、あくまでも平和的に解決しようという政府案で割れる。ここの描き方で軍部は完全な悪者になってしまっている。悪者は共産主義者のはずなのに。

事実は小説より奇なり、というが、次々と起こる出来事は本当にあったのと思わせることなのだが、本当なんですよね。はらはらどきどきの出来事が完結したのか、そのあとはどうなったのという消化不良的な描き方にちょっと不満が残った。

結局、結論はどうなったのか、その後のJFKの末路まで、我々は知っている。そのことを忘れさせてくれる緊迫感は見ものだ。ずーっと緊張しっぱなしだったけど、当時は13日間、もっと緊張しっぱなしだったんだろうな。これをオリバー・ストーンが描いたらどうなるだろうなと欲を出してしまった。

JFKがすごい偉大な大統領として描かれたようなイメージだが、大統領が決まらず、大統領の権威にかげりが見えたアメリカにとって、これもやはり古き良き(?)時代なのかもしれない。

今も現役バリバリのロバート・マクナマラ長官がちょっと似てなかったかな?

「13デイズ」

原題「THIRTEEN DAYS」 
監督 ロジャー・ドナルドソン 2000年
出演 ケビン・コスナー ブルース・グリーンウッド スティーブン・カルプ アメリカ作品


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