迷宮映画館

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傷だらけの男たち

2007年07月09日 | か行 外国映画
時は2003年、クリスマス。香港にとって、最悪だったといわれる年。婦女暴行の連続犯を捕らえるために、警察が動く。ボスは、ヘイ。(トニー・レオンですよ。トニー。)その部下に、酒の苦手なポン(武ちゃんです。ナント、トニー・レオンと金城君を並べて見ることができるという贅沢さ!)

犯人を追い詰め、逮捕。犯人が行った暴行のあとを見て、ヘイは表情も変えずに犯人を半死半生の目にあわす。このときのトニーの一瞬の表情の変化にドキッとさせられる。彼の中に潜む憤怒がチラッと垣間見えるのだ。

家に帰ったポンは、恋人の悲惨な姿を見る。最近、うまく行っていないとこぼしたすぐあとのあまりに辛い別れ。そして、3年後、ポンは警察を辞め、酒びたりの私立探偵となっていた。飲みにくいものをあえて飲み、過去を捨てきれないでいるポン。(このタケちゃんもなかなか素敵です。)

一方、ヘイは香港でも指折り数える富豪の娘と婚約し、幸せそうな日々を過ごしていた。何の憂いもなさそうに・・・。しかし、ココから、彼の人生そのものを取り返すための、秘めに秘め、心に決めたシナリオが始まる。

あの「インファナル・アフェア」を撮って、香港映画の心意気を見せた後、どうにもしまらない映画が多く、もやもやした気分でいた。「頭文字D」はお遊びだし。しかし、ようやく・・・・・・。待ちに待ったアンドリュー・ラウ&アラン・マックらしい、絶対に見るものを裏切らない映画を待ち望んでいた。やはり裏切りませんでした。素敵です。

冒頭の、トニーと金城の酒をめぐるやりとりの渋い始まりから、高速道路の走り見せ方。俯瞰から、接近。道路の切り取り、対向車の事故もスルーして、あっちへ、こっちへ走り抜ける。まああこの見せ方のおしゃれなこと。ここの走りで、気持ちはぐいと惹きつけられた。

物語の始まりで、一人の男は奈落に突き落とされる。なかなかそこから這い上がれない。一方、順調にキャリアを積み上げてきたと思われたもう一人の男は、奈落から這い上がり、ずたずたに切り裂かれた自分を取り戻そうとしていた。

時折入る、フラッシュバックで振り返る過去が、効果的に複雑な心理を教えてくれるのだが、ざらついた画面が冗長でなく、見ている私たちに考える余裕を与えてくれるくらいの按配のうまさなのだ。

傷だらけの男たちを支えたのは女。ヘイが復讐のために近づいた女は、何よりいとおしく、いつしか自分の生きる道しるべになっていた。
もう女など、絶対に愛さないと思っていたポン。しかし、こよなく明るい彼女は、自分の中に灯りをともしていてくれた。うーん、素敵だ。

表情で、気持ちも感情も憎しみも愛も見えてくるトニーのやるせなさに、またまた見事にやられました。タケちゃんもなかなかいいです。

あれほどの映画をつくったあとなので、満足いくものができるだろうかと少々不安な気持ちで臨んだのだが、それは杞憂に過ぎなかった。素敵だ。見終えるのが悔しいほど。いつまでも浸っていたい世界だった。

◎◎◎◎○

『傷だらけの男たち』

監督 アンドリュー・ラウ アラン・マック
出演 トニー・レオン 金城武 スー・チー シュー・ジンレイ チャップマン・トウ

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18 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは! (由香)
2007-07-12 18:39:13
お邪魔します。
気に入られたようですね♪
私もなかなか切ない余韻に包まれました。
『インファナル~』ほどではなかったですが、トニーの哀愁漂う表情が素敵でした。

またまたレオがリメイクですね。どうなることやら・・・
>由香さま (sakurai)
2007-07-14 10:54:52
余韻の余韻に浸ってました。
もうちょっと見ていたい~と思うくらい。
トニー、、、いいですよ。最高。
「インファ・・3」でアンディ・ラウが一気に急上昇でしたが、やっぱトニー・レオン!いいです。

もうリメイクのことはスルーしたいと思いますです。
Unknown (風情♪)
2007-07-15 13:07:14
こんにちは♪

決して悪い出来ではないと思うんですが
もう少し2人の間に駆け引きや殴り合いの
ひとつでもあれば、熱いものを感じられ
たんじゃねぇかなと思ってます。
楽しめなかった最大の理由はもしかしたら
チャイニーズ・マフィアの抗争劇じゃなか
ったってぇのもあるかも知れません…r(^^;)
>風情♪さま (sakurai)
2007-07-15 22:59:37
どうもです。
復讐がメインでしょうから、物足りなさは否めませんでしたが、トニーに免じて許して。トニーの非情さは素敵でしたわ。
チャイニーズ・マフィアの抗争!見たいですね。
また作ってもらいますか。
傷城 (any)
2007-07-17 22:09:31
sakuraiさん、こんばんは♪
原題に込められた思いは、2003年の香港に繋がるんですね。(深いなぁ~)
そういった意味では、ヘイの最期は切なかったけれど、
ポンの希望を感じるラストは良かったと思います。
主演の2人は、見事に傷ついた男を演じてましたね~
実際にトニーを敬愛していた金城君とボスを敬うポンが重なって見えました。
男の友愛ってカッコイイ...

エンドロールが流れて 余韻に浸りたかったのに、残念ながら...
あぁ~最後の最後で勿体無い!
>anyさま (sakurai)
2007-07-18 20:49:37
SARSやら、レスリーの悲劇やら、とにかくボロボロの香港でしたもんね。
あのときは衝撃でした。
ヘイのラストは、やっぱアレでしょうね。アレしかないです。そして沁みました。
あ~あ、やるせない男させたら右に出る奴ぁ、いませんからね。うーー、ジュル、よだれがぁ。
堪能させてもらいました。
エンディング (mariyon)
2007-07-18 22:24:58
よかったですよね~~。

>ようやく・・・・・・。待ちに待ったアンドリュー・ラウ&アラン・マックらしい、
「デイジー」はアンドリュー監督一人だからまあ、置いておくとして、「頭文字D」のあとに、監督コンビが日本で撮った作品があるんですが、これ、公開されそうもない。残念ですよーー。香港でかなり評判良かったのに。まあ、これも、お遊びっぽけど(笑)

広東語の映画を劇場で観ひさしぶり。(まあ、香港映画の公開そのものが少ない)
久々に聞いた広東語が耳に心地よかった。
ただ、エンディングの曲は、もともとがこの浜崎あゆみ、それはわかっているんですが。。
なんだか、日本語は合わない気がしました。


>mariyonさま (sakurai)
2007-07-19 14:14:54
よかったですねえ。
トニーにはやられっぱなしです。
生トニーに会ったらどうなるだろう。
最近では、あたし的にアンディ急上昇なのですが、こうやってまたトニーにお会いすると、やっぱええですわ。
広東語の響きっていいですよね。軽いけど、なんか哀愁がある。トニーがしゃべってるからだろうか・・。

もともとが日本だったのですか。なんか、一人で余韻に浸ってて、どんな歌かも覚えてない。
泣きながらにまにましてたような気がします。
金城武が・・・ (はっち)
2007-07-19 21:23:08
コメントどうもでした~♪
金城武って好きな俳優さんなんだけど、期待以上の演技してましたねぇ~♪
逆にトニー・レオンは、普通のできだったかなぁ・・・あの哀愁を帯びた目の演技を期待してたんだけどねぇ・・・
コメントありがとうございました☆ (rikocchin)
2007-07-20 00:00:27
sakuraiさん、こんばんわ~

sakuraiさんは、トニーファンでいらっしゃるのですね☆
劇場でトニーを見つめるsakuraiさんの姿が目に浮かぶようです~♪
愛情よりも復讐心が優っていたと思いこんでいたラストの自分の心の中は実は妻への愛情のほうが優っていたと気がついた時には遅かった・・・
その時のトニー演じるヘイの切なさがしみました・・・
金城さんも凄く良かったです☆

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