迷宮映画館

開店休業状態になっており、誠にすいません。

ベンダ・ビリリ! ~もう一つのキンシャサの奇跡

2010年11月25日 | は行 外国映画
コンゴの大都会、キンシャサで、ストリート・ミュージシャンのグループを追ったドキュメント。
こう聞くと、貧しいところながら、才能あるミュージシャンはどこにでもいるだろう・・・。などと思ってはいけない。この男たちは、車いすでしか動くことのできない身体障害者たち。

幼いころにポリオを患ったようで、足がマヒしている人たちなのだ。国はとことん貧しい。街にはストリート・チルドレンがうじゃうじゃ。家もなく、段ボールに寝泊まりしているのだが、そのぼろぼろの段ボールすら奪われる。

見るからに眉を顰めたくなるような状況の中で、独特の節回し、ギターとドラムとボーカルで、どん底を歌い飛ばす。それがベンダ・ビリリ!だ。

映画は、フランス人の監督が彼らを見つけ、なんとかしてアルバムを制作し、世界中に売り出そうという野望(?)を、5年がかりで追ったもんだ。

途中で何度も挫折し、資金不足で断念。アルバム録音中にシェルターが火事になったりと、行く手には、何度も何度も大きな壁が立ちはだかる。
それでも、ベンダ・ビリリのメンバーに暗い顔はない。自分たちの思いのたけを音にし、寝泊まりしている動物園で、朗々と歌い上げる。

最終的に、アルバム作りは成功し、彼らは車いすを駆使して、ヨーロッパツアーもやってのける。どうやら最近は日本にも来ていたそうな・・・。知らなんだ!!

自分たちが演奏した音を、録音したそばで聞いている彼らが、思わず体を動かしてしまう姿がなんとも言えずにいい。何より音楽を愛して、その音楽を楽しんでいる。歌詞は段ボールに寝泊まりしている自分たちを自虐的に歌ったり、子供にポリオの注射を受けさせてくれ!と訴えたり、ストレートに愛してる~ジュテーム~と、切々と歌い上げる。

先日見た「ペルシャ猫を誰も知らない」がよぎる。彼らは結構な楽器を持っていた。制限されているとはいえ、いろんな音楽を聴くことが出来、自分でCDをつくり、牛を相手にしながらも、電気を存分に使って、見事な音を奏でていた。

しかし、その音はうまいが苦しそう。自由はない。技術的にも、金銭的にもある程度余裕のある演奏ながら、その音を世の中に出すことを許されない。

キンシャサの街角で、車いすに乗り、木箱のようなドラムをたたき、空き缶と弦で作った楽器を奏でる彼らのなんとうれしそうなことか。のびのびとしていることか。同じ音楽を奏でる二つの世界の違いに、愕然としてしまった。

二つに共通していることは、自分たちが歌うことによって、この現状をなんとか変えようとしていること。小さな力だが、音楽が何かを変える力があるはずだと歌い続けている。まるで見えない何かから与えれたギフトのように・・・。


先日、TVを見ていたとき、さまざまな新ギネス記録を紹介していた。その中に四足歩行を行い、それで100m走の新記録を樹立した!というのがあった。その人にこの映画をぜひ見せたい。本当にそうせざるを得ない人々の姿を見るべきだ。

◎◎◎◎

「ベンダ・ビリリ! ~もう一つのキンシャサの奇跡」

監督 ルノー・バレ フローラン・ドラテュライ

コメント (2)   この記事についてブログを書く
« 行きずりの街 | トップ | 鋼の錬金術師 完結 »
最近の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
すごかったです。 (slver)
2010-11-27 23:37:32
こんばんは。
彼らの境遇抜きで歌詞もわからずに聴いたら、身体が勝手に動き出す、ホントに楽しい音楽でしたよね。
映画が好きでなかったら出会わなかったであろう彼らと、彼らの音楽。
映画が好きで良かった~と思いました。
>slverさま (sakurai)
2010-11-28 08:51:41
普通だったらお目にかかれない、いや聴くことのできない音楽を聴けて、本当によかったです。
まさに、つい体が動き出す!という音楽でしたね!

コメントを投稿

は行 外国映画」カテゴリの最新記事