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罪の手ざわり

2014年09月04日 | た行 外国映画
太古の昔から人間は、人間を殺めてきた。何も驚くことでもない。しかし、そこに蚊ほどの気持ちでいいから、躊躇ってもんがあるんじゃないかと思う。せめてあって欲しい・・・・という自己満足の救いかもしれない。人を殺めるまえに、ちょっとはビビって欲しい。それが人間なんじゃないかと。

しかし、そこに躊躇はない。いきなりのズドン。。。人が人の命を奪うことに、何の感情もないのだろうか。

いろんな犯罪を犯した者が出てくるのだが、家族に内緒で出稼ぎに行っていた男。しかし、その男は強盗を行い、人を殺してきていた。その表情には一切の感情が無い。とにかく恐ろしかった。背筋に何かが走った。そんな人間になってしまった何かがあるのだろうか。いや、きっとない。何もない。何の感情もないのではないか。それこそに恐怖を感じた。

村の共有だったはずの炭鉱を利益を独占した!と憤る男。手に入れたのは村で一緒に育った男だ。でも、どうしてもそれが許せない。村には巨額の利益をもたらしてくれたはず。でも、それ以上にあいつは私服を肥やしたはずだ。怒りが収まらない男は村の人々を撃ちまくる。さっきまで隣にいて、一緒に育ち、幼馴染が友人を撃つ。そんなことが起こる世の中。

ほかにも、ほんのちょっとの行き違いや、自分のエゴを通してしまったというだけで起こってしまう事件の数々。血なまぐさい事件に、気持ちが萎えてくる。いやーーなざらざらとした気分がまとわりつく。見終わってからも気分は萎えたまんまだった。何の救いもなかった。こんなことでいいんだろうか・・・?と、下を向いて歩いて帰った。

そんな気分のままでいたら、そこにもっと後ろから殴られたような気分になってしまった。いや、納得行ってしまった自分がいやだ。何も知らずに見た作品だったのだが、映画で表された事件は、実際に起こったことに着想を得た・・・・ということだと。

この話を脚本として、無から練り上げたものではない!という微妙な安堵感と、本当にこんなことをしてしまう人間の真の怖さ。そしてそれを描き、それを見る自分。自己嫌悪に陥りながら、映画の力も感じた。

一気に突き進んでしまった中国の今の姿だ、ともいえるのだろうが、どこか普遍な物語にも感じる空恐ろしさ。そこをあますことなくえぐる映画って、怖い。

◎◎◎○

「罪の手ざわり」

監督 ジャ・ジャンクー
出演 チャオ・タオ チアン・ウー ワン・バオチャン ルオ・ランシャン チャン・ジャーイー

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4 コメント

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こんにちは! (スパイクロッド)
2015-02-22 17:27:07
ダーハイの義憤は、
途中からなんか恍惚に変わっていたような気がしますね。
ありえないことをしている自分の姿に酔っているというか。

対してチョウの虚無感は空恐ろしかったですね。
なんの感情もありませんから。
>スパイクロッドさま (sakurai)
2015-02-24 21:39:54
だれがどうだったのかは、忘れてしまいましたが、わかります。
殺してると言うより、自分がひたすら可愛かったヤツ!
いろんな人がいましたが、やっぱやんでますよね。
でも、これも普遍的なのかな・・・・。
こんにちは (maki)
2015-03-16 08:16:42
絶望や憤怒と言った感情が、
爆発というよりは突然のりうつったかのように
暴力に訴える人々の図…
現代日本でも通じる所はありますが、
やはり、中国で公開してほしかったですね
中国は思想を弾圧とかしてますけど、人々はそれに扇動されていて、なにも思わないんだろうか
やはり怖い国です
>makiさま (sakurai)
2015-03-19 10:23:45
まだ、絶望とか、憤怒というのがあったら、救われる気がするのですよ。
それすらなくて、何の思いもなく人の命を奪うことができるって、一体何なんだろう・・・って頭抱えてしまいます。
あんだけ大きくて、あれだけの歴史を持つ国ですが、小っちゃいですね。

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