迷宮映画館

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戦場でワルツを

2010年03月04日 | さ行 外国映画
中東の紛争は、本当に複雑で、どこがどう絡んでいるのか、地図と宗教分布と、民族分布を脇に置いてじゃないと、専門家でなければ本当にわけがわからない。

根っこを掘り下げていくと、答えはおのずと見つかるのだが、そう簡単でもない。イスラエルでも、パレスティナでも、今銃を握って戦っている人、爆弾を体に巻きつけている人も、なんでこうなったんだろう・・??と思いながら、戦ってはいないと思う。

そう、理由を考えてはいられない。そんなことを考える兵士ははっきり言っていらない。司令官が欲しいのは、何も考えず、ただひたすら相手をぶちのめし、たたかう兵士だ。

そうやって戦った兵士、一人一人のその後のケアなどまでかまってられるわけがない。後始末は自分でつけろ・・・と。

悲惨でない戦争などない。どれも悲惨で、残酷で、人間性のかけらもなく、見たくもない。でも、そのどうしようもなくとんでもないことを、人間は飽くことなくやっている。そして、二度とこんなことを起こしてはいない・・・と、叫びながら、またぞろ始めている。

これはもう、人間のサガのようなもんではないかと思うしかないが、なぜにとんでもないことをまた出来るのかというと、忘れることができるから・・・。都合のいいことを忘れ、思い出したくないことを便利に忘れるように出来ている人間。

都合がよすぎるが、人間なんてそんなもんだ。しかし、それでは哀しすぎる。自分がやってきたことに、目をそむけてはならない・・・と感じた、監督の贖罪のような映画に見えた。

戦争を体験してきた人物の独白の映画は、たくさん見てきた。去年の当地で行われたドキュメンタリー映画祭にもあった。顔をそのまま映すと、報復が怖い・・と、終始仮面で撮った映画もあった。ということで、結構こういう映画は慣れてる・・・というと語弊があるが、山のように見てきた。

なもんで、内容的には、衝撃!!というものではなかったが、見せ方は斬新。ドキュメンタリーの物理的にどうしてもない映像をこうやって見せる方法があったかあ!と、目から鱗だったが、やはり作りものに見えてしまう。力がなくはないのだが、はっきり言って、眠かった。

迫害され続けてきたユダヤ人。第二次世界大戦を命からがら潜り抜け、何とか生き延びた彼らこそ、命の重さと戦争のむなしさをいやというほどわかってるのではないか。しかし、戦争から逃れられない人間の愚かさが見える。

◎◎◎

「戦場でワルツを」

脚本・監督・製作 アリ・フォルマン
出演 ボアズ・レイン=バスキーラ オーリ・シヴァン ロニー・ダヤグ カルミ・クナアン シュムエル・フレンケル ロン・ベン=イシャイ ドロール・ハラジ ソロモン博士

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8 コメント

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正直言って (KLY)
2010-03-05 21:45:35
アニメーションの手法にはあまり感心しないと
いうか、私にとっては説得力を失わせるだけだ
ったように感じています。
この映画の価値は、この事実を知らなかった私
にそれを教えてくれたことに尽きます。また一
つ勉強させてもらいました。
>KLYさま (sakurai)
2010-03-07 20:47:38
アニメにはいまどきの人は、結構目が肥えてますからね。
アニメにしたメリットがもっと押し出されてあって欲しかったです。
この辺の近代史は、本当に入り組んでますからね。
もう30年くらい経つと、冷静にだれか歴史を書いてくれるかも。
おつかれさまでした! (オリーブリー)
2010-03-13 13:01:27
こんにちは~。

受験生抱える年の3月4月は何かと慌しいですね。
うちの娘も春には大学生です。

このような内容なのに、アニメーションでのコンセプトは斬新だと思いますが、アニメの画法?って好みがありません?(俳優の顔の好みと同じように~笑)
同じく何度か睡魔に襲われました。

>オリーブリーさま (sakurai)
2010-03-15 14:00:41
まったくもう・・・の3月ですわ。
この週は、マジに生き抜けるか・・・。
おまけに小学校の卒業まであるもんで、ぜーぜーです。

そうですね。あの見せ方は、斬新だったのですが、ヘブライ語のイントネーションもきつかったですわ。
こんばんは (はらやん)
2010-04-10 18:32:59
sakuraiさん、こんばんは!

そうですね、自分がしたことへの贖罪の気持ちはあったと思いますね。
あと黙って背負っていくには重すぎるという体験だったのかもしれません。
こういうふうに吐き出すことによって少しは軽くなるということがあったのでしょうね。
>はらやんさま (sakurai)
2010-04-12 14:19:44
記憶にとどめていない自分に対する憤りが、この映画を作らせたのかもしれないですね。
斬新な形の戦争映画でしたが、なかなか起きてるのがつらかったです・・・。
おじゃまします。 (ピロEK)
2011-06-06 12:46:38
おじゃまします。
この映画の舞台(レバノン内戦)の事情ってのは不勉強で…多少の勉強にはなったような気もしますが、不勉強ゆえに何の話だったか分からないという方が大きかったかな。アニメである意図もイマイチ分からなかった感じですかね。
中東の事情というのは、海外の事としては日本でも割と報道されている方だと思うのですが、複雑で良く分かりませんね。
レバノンの内戦にイスラエルが何故絡んでくるのか?…とかから分かりません。
個人的にあまり興味が無かったって事なんでしょうが、この映画が切欠になったかというと…微妙。そんな感じです。
では、また来させていただきます。今後とも宜しくお願いいたします。
>ピロEKさま (sakurai)
2011-06-07 20:15:46
この辺の事情は、真面目によくわかりませんよね。
なにがなにやらさっぱり分からないままの鑑賞となりましたが、感じたのは、きっと今戦っている人たちも、なんで今ここで戦っているのか・・と言うことを理解してるんだろうか、と感じた次第です。
戦争の悲惨さをしることがこの映画の価値だと思いますが、題名のインパクトとは、ちょっと違ったかなとも思いましたわ。

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