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アメイジング・グレイス

2011年05月31日 | あ行 外国映画
18世紀末のイギリス。帝国主義の真っ只中、国全体が、植民地やら、奴隷貿易やら、戦争に目をむけ、国の利益にそむくようなことを言いでもしたら、きっと袋叩きにあうような状況だった。誰しもが右を向いて、国を発展させることしか頭になかったとき、わずかでもあった良心。それがウィリアム・ウィルバーフォースという人物だった。

知りませんでした。真面目に知りません。奴隷貿易からさっさと手を引いて、それまでの悪行を棚にあげ、あとは知らぬ存ぜぬの姿勢を決め込んだ・・とばかり思っていたのでした。そこに、こんな政治家がいたなんて、露とも知らなかった。。。勉強になりました。

今現在の世界の不均衡や、紛争の原因、富の偏在に、アフリカの諸問題のすべての根源は、17~19世紀のイギリスのせいだ!と、認識していますが、すべてがすべて、みなが右を向いていたわけではないことも、道理としてわかります。でも、そういった行動を取った人は、なかなか伝わらない。それをクローズアップしてくれたこの映画には、感謝です!ありがとう。

2006年の映画ということで、なぜ日本で公開がなされなかったのか?配給会社よ!!ぜひとも、こういう映画をいっぱい持ってきてください!と願うばかりです。


イギリスの繁栄の元になったのは、悪名高い三角貿易。まず、アフリカ西海岸に行って、その辺にいる丈夫そうな男性をとっ捕まえてくる。元手は船だけ。おまけに行くときに武器を積んでいって、それを現地に売りつける。その奴隷を北米植民地や西インド諸島にもっていって、高く売りつける。

植民地や島々で取れた砂糖やラム、タバコなどをイギリスが安く買う。。。イギリスのぼろもうけという構図です。そこでまるで無視されるのがアフリカの原住民。人権無視とか、そんなレベルじゃなく、まるでものとしてしか扱われてない。下手すると、まだ家畜の方が大事にされているのではないかと思うくらいの扱われ方。

その奴隷船の船長だった男が、自分のやってきたことを悔恨し、作った歌が「アメイジング・グレイス」だったと。あの美しい旋律、染み入るような曲は、そんな曲だったなんて、またまた知らなかったことばかりで、恥ずかしい限りでした。

理想に燃える若き政治家、ウィルバーが、大きなうねりの嵐の中に、まずは小さな船で漕ぎ出す。当然ながら、航海が成功することはなく、何度となく失敗、難破、引き返す。。。なんとか乗り切れる!というところまで行ったにもかかわらず、どんでん返しにあって、あえなく失敗。

完膚なきまでに打ちのめされ、もう回復は出来ないのではないかと落ち込んだところに登場したのが、最大の理解者の妻となる女性。最高の伴侶を得た彼は、また乗り出していく。

ただし、いろんな経験をつんだ彼は、無謀にただまっすぐ嵐に立ち向かっていくのではなく、様子を見、入念に船を確かめ、行くべきところを違わず、万全を期して臨んでいく!!ということをするのです。

なんともいえない高揚感と、イギリスの議会の様子、論戦というのはこういう風にするもんだ!という見本のようなやり取り。正義を貫ければそれでいい・・・というじゃなく、一国だけじゃない世界の情勢、時には裏をかかねばならないなどの様子も、見事に表してます。まあ、これはアプテッドさんの力量というより、題材の勝利!という感じでしょうか。

お見事な一本でした。きちっとした歴史を描いた、こんな映画が見たかった!という気持ちを満足させてくれました。



こちら肖像画のピットさん。



◎◎◎◎

「アメイジング・グレイス」

監督 マイケル・アプテッド
出演 ヨアン・グリフィズ ロモーラ・ガライ ベネディクト・カンバーバッチ アルバート・フィニー マイケル・ガンボン ルーファス・シーウェル ユッスー・ンドゥール キアラン・ハインズ トビー・ジョーンズ


ヨアン・グリフィズといえば

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ロモーラ・ガライといえば

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アルバート・フィニーといえば

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4 コメント

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チラシは… (ナドレック)
2011-05-31 22:13:04
こんにちは。
本当に、こういう映画をたくさん上映して欲しいですね。
ところで、

>その辺にいる丈夫そうな男性をとっ捕まえてくる。

と書くと拉致・誘拐のようですが、あくまで貿易ですから人間を買い付けるんですよね(中には拉致もあったかもしれませんが)。すなわち、買いに来たヨーロッパ人(イギリスに限らない)に売るアフリカ人がいたわけで、なんともやりきれないことです。

驚くのは、『アメイジング・グレイス』を作詞したジョン・ニュートン(曲は作っていません)自身が、イギリス海軍に強制連行されて、むりやり船に乗せられていることです。
http://www.worldfolksong.com/closeup/amazing/bio/page4.htm

いいとこのボンボンでもこんな扱いを受けるとは、無茶苦茶ですね。

ところで、映画館のチラシに書かれた紹介文、是非ブログにも掲載してください。
Unknown (KLY)
2011-05-31 22:33:02
ホントにねぇ。こういう論戦観ていると日本の国会論戦なんて茶番劇以外の何ものでもないですよ。立法府は法律を作るところ、自分の作りたい法律に関して、役人の説明なんぞ聞かずとも日本一のエキスパートになるぐらいでないと。

歴史的事実を学ばせてくれるだけでなく、信念を貫き通すとはこのことかと、改めて思い知らされる作品でありました。
>ナドレックさま (sakurai)
2011-06-01 19:59:17
なぜにこの映画が5年も日本で公開がされなかったかが、わかりませんわ。
ときが経っても、こうやって上映されたことは、本当によかったと思います。

拉致だけではなく、武器を売って、その金で買い付けたのもわかるのですが、この頃になると、ほとんどそうでしょうね。
なのですが、どうしても「ルーツ」のクンタ・キンテの拉致されるシーンが焼きついてて!!あの番組は、半ばトラウマになってます。

ジョン・ニュートンの話は驚きでしたが、戦争の非常時にこういうことはありますね。読んでて、朝鮮戦争のときの強制徴集を思い出しました。
>KLYさま (sakurai)
2011-06-01 20:01:55
いまだ政治のど素人集団!という感じがします。
まず日本は、あの大仰な机を取っ払うべきでしょうね。
寝ないで済むし。
法案採決のときに、がらがらの議員席が笑えました。

ヨアン・グリフィスに、一抹の不安を感じてたのですが、お見事でした。信念の人がぴったりでした。

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