迷宮映画館

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メトロで恋して

2005年12月06日 | ま行 外国映画
「メトロで恋して」
監督・脚本 アルノー・ヴィアール
出演 ジュリー・ガイエ ジュリアン・ボワスリエ ミシェル・オーモン

パリの恋人たち。二人の間を邪魔するものはいない。アントワーヌとクララ。しかし、理想の女性、自分の全てを捧げようとした女性は不治の病だった。

という所までは、何度も見た予告で既に学習済み。しかし、本編を見て、ビックリと言うか、あきれたと言うか、なんともはや・・。病気の名前を隠して、不治の病と強調しているということは、「言ってはいけないあの人」・・じゃなくて、「言っては いけない病気」なのだろうから、言わない。しかし、そのことを伏すほどの事か。本当にこの病気のことを熟知して描いているのか。まだフランスは「野生の夜に」の時点から、進んでいないのか!とまで思ってしまった。(「野生の夜に」を言ってしまったら、分かってしまいましたね。でも、分かった方、2005年のこの世の中で、それを伏して、それがキーワードになると思いますか!)

最初から、最後まで、男の視点からの愛の物語という最近珍しいつくり。これがまた、この男が!というみたいな男なのだ。自分が結婚したいから結婚する事を決意する。そして、自分で舞い上がって、自分で挫折して、悩む。情けないったらありゃしない。とことん、情けないのだが、こういう人は、この世にあまたいる。腐るほどいる。男であろうが、女であろうが。(個人的には、男の方に多いと思うと言ったら、まずいか・・・)

そんなどこにでもいるひとりよがりの男の恋物語をわざわざ映画にして、わざわざ世界中に見せるほどのものか!!デートの途中で、いきなり歌い出した時点で、これはもしかして・・・と思ったが、どうやら私の予想は当たった。所々の設定は気が利いているものもある。だけど、決定的に本がまずかった。

反転でお願いします。

言ってはいけない病気は当然『エイズ』。エイズが広まり、世界を恐慌に陥れ、猫も杓子もエイズを畏怖した時代があった。エイズの映画がわんさか作られ、最後に、悶絶して死んでいく様子を何度も見た。今でも、エイズに苦しんでいる人は世界中に溢れている。その苦しみの大多数はアフリカの貧困層。薬も得られず、病気を蔓延させ、苦しみながら死んで行ってる人がたくさんいる。

全ての原因は貧困なのだ。その貧困を生み出したのは一体何か?アフリカの富を搾取しているのは一体誰か。エイズの問題だけとは限らず、アフリカの抱える問題の根源を考えてみたい。

いわゆる先進国と言われる国々では、エイズはかなり治療が進んできた。根治ではないが、薬も手に入るようになり、発症をかなり抑える事が出来るようになってきた。しかし、エイズ患者は増える一方である。これは一体何を表しているのか。私達の世界は一体どうなるのか。子供が殺される。元気に学校に行った子供が無残な姿で帰ってくるなんて言う事が許されていいのか。どうしてこんな世の中になってしまったのだ。私達の何が壊れたのか。つい、こんな事まで考えてしまった。そっか、この映画の価値はこれだっったのかも。みんなが当然のように、そこにあると思うようになってしまったエイズを再確認するため。だったら、ますます伏せる根性が好かん。


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