迷宮映画館

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MW -ムウ-

2009年07月02日 | ま行 日本映画
ある孤島で、事件が起きる。島民が忽然といなくなってしまった。なにやらあぶない事件があったようだが、影の大きな力が作用したようで、もみ消されてしまう。

しかし、すべてがもみ消されてしまったのではなく、生き残りがいた。賀来裕太郎と結城美智夫。賀来は神父に、結城は銀行員になっていたが、結城の中には、悪魔が巣食っていた。

次々と起こる殺人事件。バラバラ殺人に誘拐殺人。一見、何の脈絡のないような事件だったが、被害者には、ある共通点があった。それは出身地と、望月大臣の後援会ということ。

その出身地とは16年前に島民が消えてしまった例の沖の真船島。これには何かあると、新聞記者が謎を探るうち、ある毒ガスの存在に行きつく。この島の生き残りである賀来と結城もあぶない。この二人にその事実を告げようとする。そして、あの島に行く・・・・。


ということで、これから見る人がほとんどでしょうから、見ようと持ってる方は、どうぞ読まないでください。





ぼろくそに言ってますから。


私の本棚にある『MW』の発行年を見たら、昭和56年だ。あらあ、20歳で私はこの漫画を読んでいたのね・・・。ほとんどの手塚漫画は読んだが、これは特にブラック・・・。背徳や、凶悪犯罪、人間がここまでやれるのか・・というくらいに激しく、きつい内容だ。

当然、物語として読むわけだが、そのあまりにリアルな表現と、赤裸々な同性愛、残酷な暴力に、いたいけな私はかなりのショックを受けた。一度、読んだが、その後、また読もうという気を起こさせないほどだった。

で、これが映画化されるということで、ものすごく久しぶりに再読したのだが、やはりその強烈な内容は、かなりのものを見てきた今の年代の私にも、眉間にしわが寄ってくる内容だった。子供には読ませられない・・・。そのくらいの背徳が満ち満ちている。

そして、映画。「手塚の最大の禁忌を解禁した」・・・・と。
MWの結城の残忍さは、並みでない。ものすごい。目をそむけたくなるくらいの残忍さだ。それは憎悪と、毒ガスがなせる技になっているが、それだけではなく、人間の中にもしかしたら巣食う何かがそうさせてる・・・ということが真の恐ろしさだ。

そこにあるのは殺人だけでなく、愛をもてあそぶ、その人間の尊厳を奪う、一番大事なものをめちゃめちゃにしてしまう・・・。これでもか!の、残忍さだ。

しかし、映画の結城は、まるでジグソーだ。ゲームをしているような感覚だ。まるで爬虫類のような冷徹さと、非人間性が、薄過ぎた。ゆるい。マンガの衝撃の10分の1もない。

いや、玉木君は、なかなか熱演で、結城のイメージによく合わせていた。敢闘賞をあげましょう。



問題は賀来@山田君。二人の関係は、もっと複雑で、感情が絡み合うはずなのだが、その辺があまりにも薄っぺら。薄っぺらなのに、やたらに苦悩はしている。少年時代の邂逅に、愛。女性をめぐる愛憎など、ほんと、どっろどろ。その辺が描かれてないのに、苦悩はしている。どうにもちぐはぐだ。あの祈り方じゃ、届かないわ。

やたらがんばっていたのは、刑事役の石橋凌。よく走ったで賞を上げたいと思います。

これで、手塚最大のタブー・・・とか思われては困る。
TV版のあまりのひどさに、なんとなくやな予感がしたのだが、いかにも日テレ風味のゆるい映画に落ち着いていた。

これで音楽がうまければ、もうちょっと評価も上げたくなるが、台詞に邪魔するくらいの単調なメロディの繰り返し。そこもやたら引っ張りすぎで、下手な映画音楽の見本のようなもんだった。

手塚原作の映画ですよ・・・というのが恥ずかしい。

◎○

『MW -ムウー』

監督 岩本仁志
出演 玉木宏 山田孝之 山本裕典 山下リオ 風間トオル デヴィッド・スターズィック 鶴見辰吾 中村育二 半海一晃 品川徹 石田ゆり子 石橋凌
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19 コメント

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ああ~ (KLY)
2009-07-05 02:31:38
私もどうも山田君の賀来に対しては、正直コメントすることがなかったんですがそういうことだったんですね。原作を読んでいれば、確かに賀来の苦悩は解るでしょうけど、未読だと何故そこまで結城に引きずられるのかとか、何故神父なのかとか、がいまひとつぴんとこないんです。唯一の理由が命の恩人だからってことですけど、それだけじゃ弱すぎですよね。

とはいえ、未読で観た分ではこれはこれでかなり見応えも感じましたし。玉木くんのクールな悪役ぶりが「真夏のオリオン」の嘘っぽい艦長に比べたら全然良かったと思います。
Unknown (はくじ)
2009-07-05 18:12:03
こんばんは。
映画観て、原作ってこんな程度なのか、いや
いや手塚治虫の禁断の問題作だからこんな
程度なわけないと思っていたんですが、
やっぱり原作とは程遠い内容だったんですね。

個人的には前半結構面白くて引き込まれたん
ですけど、後半がいただけない演出でがっかり
しました。
後、結城と賀来の関係性がイマイチよくわかんなくて、賀来の行動理念が理解できませんでした。

一度原作を読んでみようかと思います。
>KLYさま (sakurai)
2009-07-06 14:27:09
賀来は、もうちっと年齢的も上の設定で、ま、少年のときに結城は・・・・れた、と。
で、悪魔のようになった結城の行動に一抹の責任を感じているとともに、女をめぐって対立するとか、もっと、もっといろいろとんでもない関係があるんですよ。
その辺が、さっぱり何にもなかったですからねえ。

玉木@結城のイメージはなかなか見事でした。
感情を壊された・・・と言った風味も、よく出てた。
とはいえ、あまりにゆるすぎて、「525」っぽい匂いを感じました。
間違えた (sakurai)
2009-07-06 14:28:39
「252」でした。
>はくじさま (sakurai)
2009-07-06 15:41:12
映画見て、一番の懸念は、そこだったんですよ。
「何?これで禁断?」とかって。
まったくもうです。
半端なジグソーやん!って思いましたもん。

手塚というと、アトムとか、レオのイメージかも知れませんが、かなりきわどい青年漫画も描いてるんですよね。
これはやはりかなり際どさでは上位に位置しますので、ぜひ漫画でご堪能ください。
二人の関係 (mariyon)
2009-07-06 17:20:35
あいまいなんですよね。
ほんと、わけわかんない!!って思いました。
はい、これから原作読みます。

今更ですが、アトム全巻読み。
感動しました。
あの時代にこんなこと考えていた人がいたんだ!!ってこともそうですが、人間ドラマの深さに。

なんで、こんなうすっぺらい映画にしたんでしょうね。キャスティングは期待できたんですがね~~。残念ですね。

あっ,sakuraiさんの評はまだまだソフトですよ。ぼろくそには程遠いです。
>mariyonさま (sakurai)
2009-07-07 20:26:06
なんでわざわざ、映画にする必要があったのでしょうか・・・・と思いますわ。
なんで?
映画にしないと、読んでくれないんでしょうかねぇ。
まあ、映画化かするよっか、いたこの誰かに頼んで、山のようにある未完の作品を、完結してもらいたい・・・。
これがあたしの願いです。
一番読み終わりたいのは「ルードイッヒ・B」ですわ。

いや…一応映画全体の応援団としては、あんまり悪く書いちゃいけないかなあ・と思って。
玉木君の似合いぶりと、石橋御大の走りっぷりに対する評価です。
こちらにもお邪魔します♪ (由香)
2009-07-07 23:17:02
これ、観ようかどうしようか悩んでいたので、まず手塚先生大好きなsakuraiさんの感想を読ませて頂きました。
映画は随分薄っぺらのようですね~
やっぱり止めておこうかなぁ~
それよりも原作に興味が湧きました。そんなにスゴイのですか?読んだら気分が悪くなるかしら?
>由香さま (sakurai)
2009-07-08 19:25:05
ほんと、シチェーションを借りた、日本版「SAW」みたいにしか見えなかった・・。
本はすごいですよ。
ものすごいグロもあったりして。
んでもって、結構救いがない終わり方なんですよ。
手塚のマンガはアン・ハッピーエンドが多いのですが、時代を写してます。
ぜひ、マンガをどうぞ。
手塚を堪能するんなら、やっぱマンガです。
トラ・コメどうもです。 (ひらりん)
2009-07-09 02:46:49
いやー、参考になりました。
ひらりんはほとんど原作本は読まないので、すんなり観てしまいましたが、
既読者にとっては、残忍さも人間関係の深さも、まだまだ足りない出来だったんですね。
玉木宏は悪役も出来る・・・というのが収穫な、作品なのかなーー。

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