MUD

「ペーパーボーイ」の引き続いて、ねっとり、じっとり、あんまりいい匂いはしてきそうもないアメリカの田舎を舞台にしたお話。ねとーーっとした独特の感じが、なんともいやらしく、ざらっとしているような。。。マコノヒーがかぶってるので、一層感じたのかもしれないけど、アメリカには、ときどき底知れない、おっかないところがまだまだあるのかも、と思わせる。

逃亡犯が隠れるには、ピッタリな川の中州。子供たちにとっては絶好の秘密基地になりそうなところ。そこにいたのが、殺人容疑で、警察や賞金稼ぎから逃げていたマッドという男だった。14歳ごろの少年にとっては、ちょうどいい憧れの存在。ちょっと危なくて、かっこよくて、怪しげで、影がある。そんなおっさんに頼られたら、少年としても、男が立つ！というもの。

マッドには恋人がいて、そのせいで殺人を犯したのだが、どうしても女に会って連れて逃げたいと思っている。その連絡係を仰せつかったのが、エリスとネックの14歳の少年。二人にとっては、最高の冒険で、はじめての体験、そして男として認められたい！と思ってるときに、ピッタリの仕事だ。乗らないわけがない。でも、徐々に危険が増してくる。殺した奴のバックにいる組織が半端なくやばい奴らだったため。

エリスが住んでいる川岸の家は立ち退きを迫られ、いろいろと複雑な状況。自分自身も葛藤のさなかにいた。マッドを逃がすことができたら、何か道が開けるのではないか。勝手な思い込みだが、これぞ大人のステップ。危険な状況の中で、皆が自分の行き先を模索していた。

ということで、いやーーな展開になりながら、どこか爽やか。「スタンド・バイ・ミー」を髣髴させるけど、少年二人の友情・・・って感じではないな。少年と、大人の出会いから生まれた、奇妙な信頼と憧れと、それこそ友情みたいな。にしちゃ、きつい体験。そんなきついことを少年に強いているのはもちろん半端な大人。あーー情けない。

予告を見た時点では、ネック役の少年の方が、リバーっぽくて、キーになるのかな～と思ったら、違った。タイ・シェリダン君の方ですな。将来有望だ。

リーズは、どことなくだらしない・・と思っていたのだが、締まりない感じの女性役がぴったり。やっぱり、彼女はだらしないのが似合うを思っていた人がいたんだと、なんとなく嬉しくなった。マコノヒーのうまさはぴか一。じっとりとした、アメリカンな男ってのをやらせたら、今彼の右に出る人はいないでしょう。

私的には、近所に住んでる謎のおじさんで満足。うーん、ちょっと腹出てきたのは貫禄とは言わないぞ！サムさま、もうちょっと節制して、昔の超かっこいい姿を髣髴させてほしいのですが、無理でしょうか。でも、やけにカッコいい役柄だったのは、きっと監督はサムさまのファンではないかと想像します。

◎◎◎○

「ＭＵＤ」

監督　ジェフ・ニコルズ
出演　マシュー・マコノヒー　タイ・シェリダン　ジェイコブ・ロフランド　リース・ウィザースプーン　サム・シェパード