迷宮映画館

開店休業状態になっており、誠にすいません。

チャーリー・ウィルソンズ・ウォー

2008年05月21日 | た行 外国映画
実話の映画化。最近のアメリカ映画の流行。
実話も、本がよくなければ何にもならない。当然、脚本が大事。で、実話を持ってくるか、リメイクかだが、なかなかな傑作がないのは道理のような気がしてならない。安易な選び方だ。

そこで、今回の映画。ばんばん予告編をずいぶん前から流してて、何度か見たのだが、とっても軽いタッチ。お気楽な映画のように刷り込まれてしまった。当然、政治的な部分もあるだろうなあ、と鑑賞に至ったのだが、中身がずいぶん違っていたので、面食らった。そりゃそうだろう。考えてみれば、題材はまじめなことこの上ないはずだ。

テキサス選出の下院議員、チャーリー・ウィルソン。お酒と美女が好きで(たぶん殿方ならほとんどがそうだと思うのですが)、彼の偉業は連続して当選していること位だといわれる始末。

しかし、彼はアフガニスタンの現状に憂いを感じ、義憤に駆られ、何とかせねばと思ってしまった。戦士を見て「ムジャヒディーン」と即刻判断し、表立った軍事援助はできないそのときのアメリカの状況を鑑み、資金を引っ張り出そうと策略をした彼を、ただのお気楽議員とは到底思えない。

彼が属していたのは、国防省やCIAの予算の決定に大きく関与できる国防歳出小委員会。すぐさま予算を倍増させ、そのことがテキサスの大富豪、ジョアンの知るところとなる。

パキスタンにコネのあるジョアンは、早速チャーリーをパキスタンの大統領に会わせ、彼を本気にさせようとする。そのためにはパキスタンに行って、アフガニスタンの厳しい現状をその目で見ること。アフガニスタンの難民の話を聞かせること。

本気になったチャーリーは、早速活動を開始する。アメリカを矢面に立たせずに、ソ連をいかに叩き潰すか。そのためには対立しているイスラエルとアラブ各国の協力が必要だった。

この辺からは国際政治が絡んで、話は複雑になっていく。ソ連製の武器を持つイスラエルから武器を買い、弾丸はエジプトから。間違ってもMade in U.S.A.のマークが入った武器などが存在してはいけないのだ。

そういえば、このアフガニスタン侵攻のとき、アフガン兵の持つおんぼろの銃に、壊れないおまじないをするんだというニュース映像を思い出した。彼らは、ナイフで黙々と刻印していた。Made in Japanと・・・。

そして隣国パキスタンで訓練をつんだ戦士たちは、次々とソ連のヘリを打ち落としていく。そして10年続いたソ連のアフガン侵攻は終わりを告げた。しかし・・・。というようなお話。そこで感じたこと。

アメリカのヒロイズムは必要だ。自分たちは世界の平和を守っている。強気をくじき、弱きを助ける。そして世界の秩序を守っているのは最高の国、アメリカなのだ!!!と。

どこの世界でも、必要以上にしゃしゃり出る人はいるもんで、「またあの人?!」とか言いながら、出てくれたことにその他大勢はほっと胸をなでおろすのだ。こういうのを当山形では「あがすけ」と称して、あまりいい意味では使わない。内陸地方限定の言葉で、故郷・庄内にはなかった言葉だ。

さて、アメリカ。第二次世界大戦以降、さまざまなところにしゃしゃり出て、多大な力を見せつけてきた。やっぱ、アメリカはすごいわ、と思いながらも「またあ・・」と眉をしかめたことも事実だ。そのあとの影響の大きさが尋常でないからだ。

資本主義の権化であるアメリカの経済的な面に関する深慮遠謀の鋭さには脱帽することが多いのだが、ことヒーローものには弱い。武器は怖い。武器を使うのは人間。いったん自分たちの手を離れた武器が、どうなって行くのか誰にもわからないからだ。

映画では最後にアメリカの詰めの甘さを悔やむようなまとめになっていたが、武器を手にした人間は、容易にそれを離そうとはしない。そのことをよーく考えるべきではないかと思うのだが、今更という気がしないでもなかった。謎は、なぜ予告をあんなに軽いお気楽映画という印象のものにしてしまったのかだ。

これをつらつら書きながら、「沈没した客船の救命ボートで、誰かが犠牲にならないと全員が死ぬという極限の状況が生じた。その時どうする?」といった小話を思い出した。

英国人には「あなたこそ紳士だ」というと粛然と飛び込んでいった。
米国人には「あなたはヒーローになれる」というとガッツポーズで飛び込んだ。
ドイツ人には「これはルールだ」と言うと納得した。
日本人には「皆様そうしていますよ」と言うと慌てて飛び込んだ。
イタリア人の「美人が溺れてますよ」・・というのが好きだなあ。

◎◎○

『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』

監督 マイク・ニコルズ
出演 トム・ハンクス ジュリア・ロバーツ フィリップ・シーモア・ホフマン エイミー・アダムス ジャド・テイラー エミリー・ブラント ウィン・エベレット マリー・ボナー・ベイカー レイチェル・ニコルズ シリ・アップルビー オム・プリ ケン・スコット ネッド・ビーティ

コメント (14)   トラックバック (15)   この記事についてブログを書く
« つぐない | トップ | ミスト »
最近の画像もっと見る

14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
確かに (miyu)
2008-05-22 14:37:19
あの予告はかなりお気楽モード全開でしたね。
何ででしょ?まぁ最初こそそうゆう雰囲気でしたけどね。
キャストで客を呼ぼうとする映画は得てして
こうゆうものですよね。
>miyuさま (sakurai)
2008-05-23 08:48:12
マイク・ニコルズさんの映画は、今までも、ちょっとピントずれてるかなあと思ったことしきりなので、あんなもんでしょうか。
大事なテーマなのに、勿体ないなあとも思いましたわ。
レッドフォードと、あまりの姿勢に違いに唖然デス。
アメリカンパイ (mariyon)
2008-05-28 19:21:00
予告で流してたアメリカンパイはどこへいったの??(笑)
しばらくして見たので、予告のような話しではないと思っていましたが、なんか、主旨の見えない映画でした。

全然関係ない話ですみませんが、
sakuraiさんの「沈没した客船の救命ボートで、誰かが犠牲」を読んでSFの「冷たい方程式」を思い出しました。自己犠牲を声高に叫ぶアメリカですが、この精神があるのか・・・と、映画をみながら感じました。
よその国の戦争に介入して、自らの手を汚すことなく敵国にダメージを与える。
それをアメリカ万歳と言われても。。。納得できるはずもないです。
>mariyonさま (sakurai)
2008-05-28 23:42:54
ほんとにあの予告の作り方には、異議申し立てをしたいくらいです。
どうしてあんな作りにしたのか?
真面目に見せたら、人は来ませんもんね。
余計にレッドフォードのストレートさが人柄をあらわしてます。
きっとあれがあったから、こっちはお気楽ですよ、みんなで見に来て!にしたかったんでしょうね。
なんだか、だんだん腹立ってきました。
トラ・コメどうもです (ひらりん)
2008-05-30 00:25:48
ひらりん的には、9.11のテロを引き起こされた元は皮肉にも・・・という話は、
お気楽議員の意外な活躍のおかげ・・・
というのが、いかにもアメリカ的に感じました。
>ひらりんさま (sakurai)
2008-05-30 08:36:52
なんか、あんまりアメリカ過ぎて・・・。
それでいいんかい!いいんだ!あの時は。
いまは?知らない。。。。
みたいで。
コメントありがとうございました (YOSHIYU機)
2008-06-15 20:32:03
私は予想と違う映画が好きなのですが
お気に召さなかったようですね。

私は予告編とかは当てにしない事にしてるので
全く予想しないで観ましたけどね(笑)

ジュリアが、グレン・クローズっぽかったですね(笑)
>YOSHIYU機さま (sakurai)
2008-06-15 22:03:49
予想と違うのは大好きですし、いい意味で裏切られれば、それはそれでとっても気持ちいいもんですが、この映画に関してはどうもいただけませんでした。
あの予告篇のつくりはあまりに安直すぎましたわ。
どっちにしろ、本編が一番なのには変わりはないのですが。
そうですねえ、ジュリアの化粧のけばさはちょっと引きました。
アメリカ賛美? (mezzotint)
2008-07-02 10:11:54
sakuraiさん
おはようございます!
TB&コメントどうもです。騙された?って感じですね。客寄せのために、ウソをつくのもいただけませんし・・・。アメリカがアフガンを救ったのも事実だけれど、それ以上に、あちらこちらで戦争をやらかしているのも事実。そしてその代償は大きく人々の心に傷を残している。何とか、信頼回復したい!という国に変っての代弁的作品のような気がしましたが。
>mezzotintさま (sakurai)
2008-07-02 22:52:29
心地いいだまされ方でなく、詐欺に遭ったみたいな感じで、どうも心持がよくないです。
ちゃんと、こういうこともやってるから、勘弁してみたいなところも感じましたが、潔さがないですよね。

コメントを投稿

た行 外国映画」カテゴリの最新記事

15 トラックバック

チャーリー・ウィルソンズ・ウォー (☆彡映画鑑賞日記☆彡)
 『たったひとりで世界を変えた 本当にウソみたいな話。 “Based On The True Story”』  コチラの「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」は、トム・ハンクス、ジュリア・ロバーツ、フィリップ・シーモア・ホフマン共演の5/17公開となった社会派ヒューマン・コメデ...
【2008-120】チャーリー・ウィルソンズ・ウォー (ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!!)
人気ブログランキングの順位は? 信じられない物語 でも真実 たったひとりで世界を変えた 本当にウソみたいな話。 “Based On The True Story”
チャーリー・ウィルソンズ・ウォー (明け方シネマ)
 お気楽議員が人助けに目覚める--そんなヒューマンドラマを何となく期待していたのだけど、心温まる類いの話ではありませんでした。。  冗談めかしてはいるけど、事実に基づいていると言うし、極秘裏にアフガンのゲリラを援助して結果的にソ連崩壊の一因になったのな...
チャーリ-・ウィルソンズ・ウォー を観ました。 (My Favorite Things)
予告編でつられてしまった1本です。実話がベース。アメリカもこんな時代があったか?と思われますが…
映画の真意は?「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」 (茅kaya日記)
JUGEMテーマ:映画 予告と内容はまったく別と聞いていたので、 そのギャップがどうこうと言うのはないです・・・。 ただ、レディスデイで席は主婦で満席に近い あの、かる~~いラブコメもどきの予告につられて やってきた人多いだろうなーーと・・・・ 思...
★「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」 (★☆ひらりん的映画ブログ☆★)
今週の平日休みは試写会もあるけど、その前に「109シネマズ川崎」でまず1本。 予告編では、随分楽しそうなお気楽議員のトム・ハンクスが印象的。
『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』 @日劇 (映画な日々。読書な日々。)
酒と女が大好きだが信念もある下院議員チャーリーは、反共産主義者で大富豪の恋人ジョアンヌにパキスタンに行くことを薦められる。現地に赴いたチャーリーはソ連軍の侵略から逃げる大量のアフガニスタンの難民たちの姿にショックを受け、ソ連軍と戦うゲリラたちに武器を密...
『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』 (京の昼寝~♪)
□作品オフィシャルサイト 「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」□監督 マイク・ニコルズ □原作 ジョージ・クライル □脚本 アーロン・ソーキン □キャスト トム・ハンクス、ジュリア・ロバーツ、フィリップ・シーモア・ホフマン、エイミー・アダムス、ネッド・ビ...
トム・ハンクスの「チャーリー ウイルソンズ ウォー」を観た! (とんとん・にっき)
たった一人で世界を変えた、お気楽政治家の世紀のプロジェクト!下院議員チャーリーは、酒と女が好きなお気楽政治家。しかし、その内面では、平和を愛するゆるぎない心を持ち、ソ連の攻撃に苦しむアフガニスタンを常に気にしていた。国防歳出小委員会がアフガニスタン支
『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』'07・米 (虎党 団塊ジュニア の 日常 グルメ 映画 ブログ)
あらすじ酒と女が大好きな下院議員チャーリー(トム・ハンクス)は反共産主義者で大富豪の恋人ジョアンヌ(ジュリア・ロバーツ)にパキスタンに行くことを薦められる。現地に赴いたチャーリーは、ソ連軍の侵略から逃げる大量のアフガニスタンの難民たちの姿にショックを受け・...
チャーリー・ウィルソンズ・ウォー ウソみたいな本当の話!? (銅版画制作の日々)
    たったひとりで、世界を変えた本当なの?   パ~イ♪パ~イ♪ミスター・アメリカンパイ♪、懐かしいメロディにのせて始まるよ!   6月17日、MOVX京都にて鑑賞。予告編を見る限り、コメディかと思った。だが主題となるのは戦争だった。主人公...
mini review 08331「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」★★★★☆☆☆☆☆☆ (サーカスな日々)
1980年代に実在したテキサス出身の下院議員チャーリー・ウィルソンが、世界情勢を劇的に変えた実話を映画化したコメディディータッチのヒューマンドラマ。『卒業』のマイク・ニコルズがメガホンを取り、アフガニスタンに侵攻したソ連軍を撤退させてしまう破天荒な男の姿を...
「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」 (心の栄養♪映画と英語のジョーク)
テキサス選出の下院議員チャーリー・ウィルソン(トム・ハンクス)は、美女とお酒をこよなく 愛するお気楽議員。そんなチャーリーはある日、テキサスを代表する富豪の女性ジョアン (ジュリア・ロバーツ)から、ソ連の侵攻に苦しむアフガニスタンの人々を救ってほしいと頼...
【映画】チャーリー・ウィルソンズ・ウォー…の記事&お父さんお母さんありがとう^^ (ピロEK脱オタ宣言!…ただし長期計画)
{/hiyoko_cloud/}{/kaeru_snow/} 年末年始は実に調子良く更新していた当ブログですが、一度サボるとダメです{/face_ase2/} 全然更新しなくなってしまいました{/face_ase1/}{/ase/} 更新しない事に特に弊害は無いと思いますが{/face_ase2/} 頂いたコメントへの返事を全く...
『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』(2007) (【徒然なるままに・・・】)
酒と女に目がないお気楽議員が、ふとした切っ掛けからCIAを巻き込み、アフガニスタンを援助。遂にはソビエト連邦の侵攻を食い止めた、というウソのようなホントの話の映画化作品。 トム・ハンクスが主演とプロデュース、他にジュリア・ロバーツ、フィリップ・シーモア...