バーン・アフター・リーディング

主な登場人物は５人。

一人目。アルコール依存症のCIAの分析官。酒が原因で降格されるのを認めたくなくて、自分から辞めてしまった勿体ない男、オジー＠ジョン・マルコヴィッチ。自信たっぷりだが、妻に浮気されており、情報通であるはずだが、一番身近な妻の不倫のことなど、さっぱり知らない。暇になったので、自伝でも書こうと、大体のリタイア男とおんなじことを思いつく。

二人目。その妻＠ティルダ・スィントン。とっても美人だが、ただいま不倫中。人の話を決定的に聞かない。ここの登場人物は、一様に人の話を聞かないという特徴をもつ。医者のケイテイは、オジーといかに別れようか算段中。有利な状況を得ようと、夫のPCから、データをいただく。これが大きな波紋を。

三人目。妻の浮気相手、ハリー＠ジョージ・クルーニー。（題名を『分析官とその妻、愛人となんとか、かんとか』でも、いいカモ・・）元連邦保安官。今日はこっちの女、明日はこっち、明後日はそっち・・・と、出会い系の帝王。超ちゃらんぽらん男。

四人目。そのハリーの一夜のデートの相手のリンダ＠フランシス・マクドーマンド。スポーツジムに勤めるおばさん。二の腕のぷよぷよと、下っぱらに、お顔のしわもどうしても気になる。全身整形して、生まれ変わりたいとひたすら願うのだが、先立つものが＄＄＄＄。

五人目が、そのジムに一緒に勤める筋肉Ipodおたくのチャド＠ブラッド・ピット。はじけてます、アホです、お見事です。素晴らしい。

チャドが、オジーのPCデータを拾ったことが、騒動の始まり。勝手にスパイの超機密データだと思いこみ、少々拾ったお礼をいただこうと思ったのだが、双方、人の話を聞かない奴らばっかりなもんで、どんどんと話が複雑になって行く・・・・。

ということで、コーエン兄弟お得意の超超ブラック・コメディ。「ノー・カントリー」が、高い評価を得ましたが、あたしはこういうタッチの方が好きだなあ。

どいつもこいつも腕利きCIAのスパイ経験者みたいな配役だが、この辺の妙がさすがですね。初めに、配役を想定して書いたと言うだけあって、見事にぴったり。そしてそれぞれがうまい！！うますぎる。

酒飲んで何が悪い！！と雄たけびを上げたくなる気持はわかりますが、ぜひパンツははいてましょうね。オジーが「へん！モルモン教徒が！」などと捨てゼリフを吐くのですが、ちくちくと、痛いとこつくセリフが気が効いてる。

ちょっと気の弱いジムの経営者＠リチャード・ジェンキンスですが、「ダイ・ハード」じゃ、FBIの捜査官だったけど、元ギリシア正教会の神父って、似合いすぎ！！

仕事を辞めた・・・「クビのことを首都の街ではそう言うんだ」とか、CIAのお偉いさんは、「悪者より知恵を働かせるのが私の仕事だ！」なんてのは、なかなか言えないセリフでっせ。

アメリカの痛いところつくのが彼らの映画の真骨頂ですが、これ見て、CIAの諸君は苦虫かみつぶしてるのか、鼻で笑ってるのかわかりませんが、基本、人の話を聞かないアメリカ人の資質と、絶対に譲らないところ、思いこんだら突っ走る、カウンセラーを受けないのは変な奴、膨大な予算使って何やってるの？のCIAとか、ちくちく突っつきますねえ。きっと二人はNASのブラックリストに載ってるんでしょうね。

とっても面白かったです、ハイ。

◎◎◎◎

『バーン・アフター・リーディング』

監督・脚本・製作　ジョエル・コーエン　イーサン・コーエン
出演　ジョージ・クルーニー　フランシス・マクドーマンド　ブラッド・ピット　ジョン・マルコビッチ　ティルダ・スウィントン