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大統領の執事の涙

2014年02月19日 | た行 外国映画
綿花畑で働く奴隷の子供時代、地獄の辛酸を舐めた後、そこから脱出。泥棒まがいのことをしながら、何とか生き抜く。一言で生き抜く!ということばを使うが、『生きる』ということが、とてつもなく難しいのが、当時の黒人。白人に非があろうとも、殺されても一切文句を言えない。そんなことが、20世紀に普通に存在していたのだ。

とにかく生き抜いたセシルは、ホテルのボーイとして何とか働けるようになったあと、着実に仕事をこなし、執事となる。その仕事ぶりは見事。「空気のような存在になれ!」の教えを忠実に守り、相手が何を欲しているのかを考える間もなく察する。そして行動。その行動はあくまでさりげなく、押しつけがましくなく、行き届いている。

仕事ぶりが評価され、ホワイトハウスの執事にヘッド・ハンティングされることになる。ここからセシルと7人の大統領、そして7人の大統領とともに歩んだ、アメリカの現代史が映される。アイゼンハワー(第34代 1953~1961)から始まって、レーガン(第40代 1981~1989)までの30年以上の道のりだ。それぞれの大統領のキーとなる事件とともに、ゲインズ家の歴史でもあった。

とっても興味深かった。予告と題名から、執事の仕事ぶりのノウハウみたいなもんがメインになっているのかと思ったら、大間違い。別の意味で期待と違って、いい意味で裏切られた。「フォレスト・ガンプ」は、わかりやすい表のアメリカの現代史だとしたら、こっちは忘れちゃいけない見るべき日陰の道のりという感じだ。

重要になるのが、あくまで仕事に徹して、見ようによっては白人にかしずいてるように見える父・セシルと、激しい公民権運動を貫いた息子・ルイスとの対比。リアルに活動し、行動で示さねばならないという運動家がいたからこそ、黒人の公民権が彼らのものとなり、今のアメリカの姿になっているのも当然だ。

ルイスから見たら、セシルの仕事はもどかしく、半奴隷みたいなもんじゃないか。そこに安住しているように見えてしまう。しかし、セシルは、与えられた仕事に誇りを持ち、それを全うし、プロフェッショナルとして働くことによって、自分たちの地位を高めてきた。黙々と完璧に仕事をこなす姿を見てて、「42」のやり返さない勇気の精神と相通じるものがあるなあと思った。

ざっと30年の流れを2時間ちょっとに納めるのはもったいないくらいだ。こういう感じの骨太な連ドラでも見たいな。「ルーツ」は返す返すも素晴らしかったと思う。

しかし、フォレストさんは、独裁者アミンをやったかと思えば、こんな謙虚な人物もさらっとおやりになる。ホントにうまい役者さんだなあと思います。結構年行ってるように見えて、同じ年・・・。え??びっくりっす。

最近、卑劣な役が多いアレックス君、似合います。よーく知ってる役者さんが、これまたよーく知ってる大統領を当てられてましたが、これまたうまい!なんとなくそう見えてくるのが不思議。スネイプ先生のレーガンには、え?誰だっけ?と、思ってしまいました。ジェーン・フォンダのナンシーがはまってたな。

ということで、久々にやりたくなりました。お勉強コーナー。セシルの生きたアメリカの現代史をまとめたいと思います。近日公開、乞うご期待!

◎◎◎◎

「大統領の執事の涙」

監督 リー・ダニエルズ
フォレスト・ウィテカー オプラ・ウィンフリー マライア・キャリー ジョン・キューザック ジェーン・フォンダ

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2 コメント

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こんにちは (はらやん)
2014-03-01 08:22:16
sakuraiさん、こんにちは!

セシルとルイスの親子が互いにその生き方を認められないながらも、最後にはお互いのことを理解できた親子の物語としても見応えありました。
レーガンさんはそっくりでびっくりしました。
しゃべり方も似ていたような。
>はらやんさま (sakurai)
2014-03-17 08:42:40
そうですね。
家族の物語にもなってましたね。
それぞれの年代の人たちの考え方や、感じ方もきっちり反映されてて、お見事な表現でした。
大統領は一長一短がありましたが、なんといってもレーガン夫妻でしたね。
一瞬、誰?って思ってしまったほど。

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