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それでも、愛してる

2012年11月29日 | さ行 外国映画
ジョディ・フォスター監督の第三作目?。。かな。一応、全部見てる。「リトルマン・テイト」は好きだったなあ。

今回のターゲットはうつの中年(初老?)の男。おもちゃ会社のCEOで、傍目にはなんの不満もなさそうな家庭の親父。なのに、なぜかうつになってしまう。かなりの重症。なんにもやる気が起きない。客観的にはただの怠けじゃないの?と思ってしまいがちだが、それは大きな誤解で、今はすっかり病気としての認知はされている。

上の息子は、絶対に親父みたくなりたくないと、自分が親父と似てるところを見つけ出そうとする。似てる・・・・。下の息子はそんなパパでも、大好きで大好きでたまらない。パパが元気がないもんで、ボクも元気がなくって、いじめられてる。

そして妻。妻だよ、妻!病気の本人こそが一番大変なのはわかるが、妻じゃないかなあ、すべて背負っているのは。なかば生きるのを放棄したみたいな連れ合いと、子供らのことをすべて背負い、逃げるわけにもいかずに立ち向かってるのだ。真正面じゃなくても許してもらおうよ。もしここで、妻がきっちりすべてパーフェクトでやろうとしてたら、まず妻が壊れる。とにかく妻が一番つらいんじゃないかな・・・。

究極のおさらばをしようと思ったのに、それもうまくいかなかった親父は、突然目覚める。何に?ビーバーに・・・。手にはめてパクパク言わせるぬいぐるみみたいなやつ。そいつと出会った(?)時から、親父に何かが起きた。なにやってもうまくいかず、とにかくネガティブで、どよよ~んだったのに、なんでもうまくいく。息子ともきちんとコミュケーションが取れ、仕事もばっちり。夫婦関係もなんだかうまくいってる。

でもでも、それはすべてビーバーのなせる技。自分は何もやってない。しゃべるのも、指示をだすのも、自分じゃない。ビーバーだ・・・。その時点で病気じゃん!!って、病気なんです。。。

うーーん、心から治りたいと思っているはず。でも、どうにもならない泥沼。それが病気なのだが、どこかにそうではない、自分は違うんだ!というものを持っていたんじゃないでしょうか。病気ってのは、自分が病気であると言うことをしっかりと受け止めることが大事なんではないかと思います。

いや、自分は病気だと言うことをわかっていたのに、どこかで何かが邪魔をしてたんじゃないでしょうか。そして自分で見つけた自分を治すべき方法。自分が心から治りたい!ではなく、何かにすがる。それは荒唐無稽なものだけど、家族や妻や、薬ではない。ましてや自分の力ではない。逃げ?ビーバーって荒唐無稽なものに逃げたのかなあ~と思ったのでした。

それではまずいとわかっているはずなのに、どうにもできない状態になってしまったあと、大きな大きな代償の末に、きちんと自分と向き合うことになる・・・と言うことでしょうか。答えは見つからないのですが。

ジョディ・フォスター監督らしく、細やかで、丁寧に丁寧に作られて、納得のいく流れです。何をやらせてもずしーーんと重たくなるメルを、自由自在に操ってます。コミカルな部分すらもどよよ~んとしてしまうひたいの深いしわは、見ているこっちも、ずぶずぶと底なし沼にはまっていきそうです。

なんとも重たく、マッ正面から描くのは、ちいと憚るような話ですが、子供との関係も含めて、逃げずに挑んでいくって姿勢は素敵な根性です。短いけど重たく、もやらっとしてしまいますが、目が離せない男どもを、つい女性の目で、妻の目で見ておりました。アントンの高校生は、ちょっと、無理があったかな。

◎◎◎●

「それでも、愛してる」

監督・出演 ジョディ・フォスター
出演 メル・ギブソン アントン・イェルチン ジェニファー・ローレンス

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4 コメント

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Unknown (魚虎555)
2012-11-30 09:15:51
私はジョディフォスター作品をあまた観れば見るほど、深い闇を見ているようになります。好きですけど。。。
メルギブソンは荒野を駆け回ってくれたほうが似合うと思っていますが、欝の演技もすごい。
この作品、じつはDVDを持っているのです。一回みてそれっきり。機内でも見ました。機内の小さな画面で見たほうが気楽でした(画面の小ささゆえにインパクトが少ない)。

でも、まあ、向き合うというのはこういうことかと。。痛い。痛いけど前向きってやつ(笑)。笑っちゃいけないか(反省)。

ジョディフォスターでは、ネル、が結構好きです。ブレイブワン、をときどき意味もなく思い出します。コンタクトの砂漠の巫女も彼女の真価発揮。あのひと(ジョディフォスター)は何かを探し求めている人なんだなあと思います。娯楽性は多分二の次なのかも。今の時代、日本で彼女が受けるのか、興味深く見守って行きたいと思います。
この邦題こそ (ナドレック)
2012-12-01 22:08:56
これは邦題に感心した作品です。
「心温まる感動作」なんて惹句にこの邦題だから、てっきり涙涙の話なのかと思いきや、とても過酷な物語。そりゃそうだよ、病気は簡単には直らないし、世の中かならずハッピーエンドになるわけでもない。
それを認識させるラストをくぐり抜けたとき、「それでも、愛してる」という邦題がグッと来ました。
>魚虎555さま (sakurai)
2012-12-04 10:41:59
ジョデイ作品ってのは、監督ものも彼女が出てるものも、独特なもんがありますよね。
切れ者のもつ感性の鋭さと、やっぱ闇…でしょうか。
今回も、好き・・・・ってわけじゃないですが、深く考えさせらえました。
万人に向けての作品ではないですが、目は離せない。

メルさんは、葛藤の人生で、彼の生き方そのものがすさまじい。それが全部彼の額のしわに刻まれてるような、重くて、重くて。
なにさせても重い。。。それが今回は、いい方向に作用してたように思います。

「ネル」、、よかったですね。
ほぼための私は、ほとんど見てますが、「ジャック・サマースビー」が何気に好きです。
>ナドレックさま (sakurai)
2012-12-04 14:15:54
「ビーバー」じゃ味気ないですもんね。
これはずいぶん前に、映画紹介で中身を知っていたもんで(かなりネタバレしてたもんで・・)それなりの覚悟で見てました。
これも題名で、ネタバレしてるっちゃ、してるかもですね。
シビアに過酷に丁寧に追うジョディ監督の強さみたいなもんを感じました。
世界が見えるんでしょうね、彼女には。

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