迷宮映画館

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シルク

2008年01月22日 | さ行 外国映画
厳格な軍人として育てられたエルヴェ。あまり裕福でないフランス(?)の片田舎の町で町長をやっているのが、彼の父親。

ごく普通の青年。ごく普通に恋をして、結婚をして、慎ましやかな家庭を作ろうとするが、彼が遭遇するのは異国の世界。それも19世紀中ごろの、まるで海のものとも山のものともつかない世界の果て。『日本』。

良質の絹を生産するためには、何より丈夫な蚕の卵を手に入れなければならない。かつて中国の蚕を手に入れるために、旅人は、極限の努力と忍耐と命を賭して、蚕の卵を手に入れようとしたが、かなうものではなかった代物。

目をつけられたのは、良質の絹を作り出す日本の技術。農家の副業として、当時ならどこの農家にもあった蚕棚。(ちなみにうちにもその名残がまだありますです。)なんとかして、その絶品の絹を生み出す蚕の卵を手に入れようと、はるかかなたのヨーロッパから、単身乗り込んでくる。

シベリアを渡り、オホーツクにでて、船が着いた先は、なんと『SAKA~TA!』。(ここで、ちょいといすからずっこけてしまいました。最上川を上り、いきなり信州はないやろ!と突っ込みたい気持ちはどうにも抑えきれず。あの冬のさなか、目隠しをされて、ゆっくり、ゆっくりと3日ではどう考えても無理。)

それこそ、目の色の違う、どこの馬の骨ともわからないやからを受け入れる日本のド田舎の存在がなじまず、そこの実力者、たぶん家老くらいの立場にありそうな武将が、娘みたいな女をひざに乗せているあたりには、とってもしらけてきている自分が一人。おまけに英語ぺらぺらですからね。意思の疎通がうまくいかない状況が何かをもたらすわけでもなく、妙に話は通じているのに、肝心なところが通じない。(おまけに、彼はフランス人のはずなのに、なぜか英語。ここでは言葉がものすごく重要な役割を持つような気がするのですが、その辺の言語の扱い方に、耳が慣れない。)

なんか、頭に中にもやもやもやもやしたものが沸いてきます。

エルヴェが心を惹かれた女性。幻想的な、もやもやっとしたはっきりしない世界に、すーっと存在している女。心に引っかかって、引っかかってしようがない。漠たるしたものに取り付かれたように、彼は、また日本にやってくる。

国に帰れば、情熱的に愛し、添い遂げると誓った美しい妻が待っている。それに何の不満もないのだが、彼の心は何かに取り付かれたよう・・・。

みなの反対を押し切って、三たび日本にやってきたとき、日本は内乱の真っ最中だった。村は焼き討ちにされ、街道には死体が打ち捨てられた荒んだ状況になっている。(ここは幕末。反乱軍とくくられているのは、官軍のことになるのだろうけど、田舎の村を焼き討ちにはせんだろ。。。と、また思考の邪魔をする表現がそこここに出てきます・・・)

町の金を背負って、命がけで卵を買いにくるからには、なんとしてでも卵を手に入れ、帰らないといけない。混乱の中、それでも苦労して手に入れた卵は、全滅。

あとは、心静かに、妻のために生きようと決意するエルヴェのもとに、日本から手紙が届く。(なぜ?どうして?消印とか、手紙がつくわけないやろ!!あ、、、また突っ込んでしまった・・・・)

と、たまりにたまった頭の中のもやもや。これが最後に見事に吹っ飛ぶのですが、それは見てのお楽しみ。いや、見ていた最中に感じたもやもやはそのまま残りますが、カタルシスのあらわし方は見事!

幻想的な風景も、明るい陽光のヨーロッパの対比もうまいし、日本女性の不思議な雰囲気とちゃきっとしたキーラ・ナイトレイも、比較としてみると、非常に面白い。でも、われわれ日本人には向かない映画のような気がした。あの幻想的な日本の風景に魅入られる気持ちもわからないでもない。でも、なんかそうじゃないだろう・・・という齟齬がついて回るのだ。

決定的なのは、夫婦の二人の愛情の深さが、それほど感じられなかったあたりにもありそうだ。狂おしく愛するならば、狂気のふちに立たされたような危機感があってもよさそうだが、残念ながら感じられなかった。そんなに愛しているのなら、きれいごとではなく、魂をぶつけるほうがシンパシーが沸く。ということで、いろいろな面で、不満が残ってしまった。
話の根本は、原作本があるので、いかんともしがたいが、ちょっと期待していたモンで・・・・。

◎○●

『シルク』

監督 フランソワ・ジラール
出演 マイケル・ピット キーラ・ナイトレイ アルフレッド・モリーナ 役所広司 芦名星 中谷美紀 國村隼

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10 コメント

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もやもや (miyu)
2008-01-22 21:28:49
っとしたものは確かにありましたけどね。
それはあたしは堪えて、映画の内容になんとか
入り込むコトが出来ましたヾ(´ε`*)ゝ エヘヘ
でも、コレはかなり酷評の方が多いですね。
>miyuさま (sakurai)
2008-01-23 08:16:43
なんだろうなああ。
すべて、最後のあれがあるからOKでしょ、みたいな感じがしましたわ。
でも、外国人が撮ると、なんで日本っていつも異国情緒たっぷりになるんでしょうね。
日本とは思えない日本でした。
アレ (あるきりおん)
2008-01-24 22:16:21
その最後のアレに違和感を覚えた人間です。
多分本当の見どころは、家の前の狛犬でしょう。
役所広司ぐらいの人でも、そういうところにツッコミを入れられないんでしょうかね・・・

追伸
URLが不正と言われたのでアドレスは消しました。
>あるきりおんさま (sakurai)
2008-01-25 14:50:55
コメントありがとうございます。
家の前の狛犬は、「シーサーか!」と思いましたが、ああいうとんでも日本はよく見慣れてるので、そういうの見っけるほうが楽しいです。

ああいう撮影と言うのは、本当のところどうなんでしょうね?
TVなんかでは、「いい映画なんで見てください!」としか聞きませんが、ぜひ裏話を聞いてみたいです。
国籍 (kimion20002000)
2008-07-14 17:35:29
TBありがとう。
まあ、国籍不明な映画ですね。
フランスなんだけど、イタリアの作者で、撮影場所もイタリアですからねぇ。
>ちなみにうちにもその名残がまだありますです

はは。ひいばあちゃんあたりが、少女のモデルじゃないでしょうねぇ(笑)
>kimion20002000さま (sakurai)
2008-07-15 15:35:05
そうっすね。
うちあたりから作られたお蚕さまが、最上川を運ばれて、酒田港に行ったのかも~。
でも、どう考えても無茶な映画ですよね。
おじゃまします (ピロEK)
2008-10-18 22:05:32
おじゃまします。結構前に私のブログにコメントいただいていたのに、反応が遅くなってスイマセン。
私の場合、日本の描写は“ひざまくら”以外はそんなに変に思わなかったんですけどねぇ。他の外国映画での日本描写は、もっとトンでもないものばかりなのでむしろ不自然じゃない方だと思ったのですが…原作者が、この日本の描写はファンタジーだからみたいな事を前置きにしている割にはまぁまぁの日本だったかと…私が変?
では、また来させていただきます。今後ともよろしくお願いいたします。
>ピロEKさま (sakurai)
2008-10-21 08:40:54
日本の描写とかそういったものよりも、やっぱ時代の描き方のとんでも具合が、尾を引きましたね。
昔、昔のトンデモ日本のオンパレードよりは、よっぽどよくなりましたが。
ま、全体的に、もたもたした映画だったと思いますわ。
こんばんわ (YOSHIYU機)
2009-01-17 00:12:15
模様替えしたんですね。

外国映画では、ナニ人であろうが英語を話しますが
それは外国人は字幕が嫌いなので、客を入れる為に
英語にしてるみたいですよね。
どっちにしろ、これは客が入りませんでしたが(笑)
>YOSHIYU機さま (sakurai)
2009-01-18 08:31:30
いろいろ浮気するんですが、これが一番落ち着くもんで、結局このパターンになるのですが、またころころ変わるかも。
中国のスターも、ハリウッドに行くために皆さん、まず英語ですからね。
最後のカタルシスだけはよかったのですが、それを見るために2時間の我慢を強いる映画だったような気がします。

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