
オランダという国は、自国の産業が乏しく、昔から中継貿易の基地として経済発展をしてきた。アントワープなどは、ダイヤモンドの取引所として名を馳せた地だ。ダイヤモンドの加工といえばユダヤ人。オランダには伝統的にユダヤ人が市民権を得ていた。
カトリックの国・スペインから、独立戦争のうえ、独立したプロテスタントの国であるオランダは、ユダヤ人に対して、結構寛容だった。第二次世界大戦で、早々にヒトラーの支配下となったベルギー、オランダだったが、アンネ・フランクの話でも有名なように、市民がユダヤ人を守るのは珍しいことではなかった。他の国のように、ユダヤ人に対して、露骨な差別をしたり、ゲットーが設置されたりという事はなかったようだ。
苦難の歴史をたどるユダヤ人だが、財産は持っている。その裕福なユダヤ人を脱出させようと画策するレジスタンスの男。船に乗せて、川を漕ぎ出したときに突然ドイツ兵に襲撃される。その時、家族を目の前で殺された主人公のラヘルは、命からがら逃げ延び、家族の復讐を誓う。髪を金髪に変え、ゲルマン風にエリスと名を変え、なんとかチャンスを狙う。
そして出会ったナチスの高官のムンツェ。彼と何とか親しくなり、軍部に入り込み、情報を得ようとする。その為には敵と寝ることも厭わない。その決意がなければ、到底生き延びる事はできない。そこで遭遇したのが家族を襲撃したときの指揮官、フランケン。どうも自分達が襲われたのは計画的だったようだ。軍部だけではユダヤ人の脱出の手引きは出来ない。一体誰が裏で手を回していたのか・・・。
ドイツ軍の中でもさまざまな軋轢があるのも見えてきた。もうこれ以上の流血を望まないムンツェ、どこまでも財宝を手に入れようとするフランケン、あくまで保身が一番、ヒトラーの命令を利用しようとする将軍・・・。レジスタンス側も一枚岩ではない。本当に味方は誰なのか。敵は一体誰なのか・・・。
いやーーー、面白かった。面白いといってはばちが当たりそうだが、秀作!やるじゃん、バーホーベン!と素直に思った。彼がオランダ時代に撮ったという映画は未見だが、やはりバーホーベンといえば、「氷の微笑」に「ショーガール」。すいません、「ショーガール」、スクリーンで見ちゃいました。頭抱えながら見た覚えがありますが、見終わったあとには裸に免疫ができてしまったくらいの裸のオンパレード。DJオズマもビックリの映像です。
彼の映画に特有な、何とも言えない匂いとでも言いましょうか、無機質ぶりとでもいいましょうか、ほやほやした人間性が感じられないとでもいいましょうか・・・。そこが苦手の人もいれば、確信犯的B級がいいという人もいると思われます。あたしははっきり言って、どっちでもいい派だったのですが、コレはよかった。つくづくよく出来てたのではないでしょうか。
時折見せる(必要とは思えない)サービス映像も健在。オランダという地域性や、ドイツとの関係、さまざまな立場の人を見事に色分けして見せる手管もうまい。どこまでが真実で、だれに裏があって、何を信じたらいいのかという脚本もなかなか。戦争の最中、生き延びるためには何があったのか、ということを考えさせるいい投げかけだ。さまざまな悪人が出てくるのだが、やけに人間的なのだ。
ナチスの支配が解けた後の状況も忘れずに描いている。それまで生き延びようと、自分を偽ってきた人に対して容赦ない仕打ちをする同胞たち。彼らの髪をそり、唾を飛ばし、汚物を投げかける人たちに、彼らを本当に非難する権利のある人はどれくらい居るのだろうか。
複雑に入り組んだ状況に純愛を絡めて、バランスよくすべてを描いている。うーーん、バーホーベン様、大変失礼しました。脱帽です。ただ一点、ムンツェが出すオーラが、はなっからいい人すぎ。主人公エリスが、彼と恋に落ちるのが余りに自然すぎたのだ。彼女にとって、『仇と寝る』のような地獄に落ちるくらいの決意がちょっと薄かった。この主人公を演じたカリスとセバスチャン・コッホは私生活でも恋に落ちたそうな。気持ちもわからないでもないですがね・・・。
◎◎◎◎
『ブラックブック』
監督 ポール・バーホーベン
出演 カリス・ファン・ハウテン セバスチャン・コッホ トム・ホフマン ハリナ・ライン ワルデマー・コブス デレク・デ・リント クリスチャン・ベルケル ドルフ・デ・フリース ピーター・ブロック
カトリックの国・スペインから、独立戦争のうえ、独立したプロテスタントの国であるオランダは、ユダヤ人に対して、結構寛容だった。第二次世界大戦で、早々にヒトラーの支配下となったベルギー、オランダだったが、アンネ・フランクの話でも有名なように、市民がユダヤ人を守るのは珍しいことではなかった。他の国のように、ユダヤ人に対して、露骨な差別をしたり、ゲットーが設置されたりという事はなかったようだ。
苦難の歴史をたどるユダヤ人だが、財産は持っている。その裕福なユダヤ人を脱出させようと画策するレジスタンスの男。船に乗せて、川を漕ぎ出したときに突然ドイツ兵に襲撃される。その時、家族を目の前で殺された主人公のラヘルは、命からがら逃げ延び、家族の復讐を誓う。髪を金髪に変え、ゲルマン風にエリスと名を変え、なんとかチャンスを狙う。
そして出会ったナチスの高官のムンツェ。彼と何とか親しくなり、軍部に入り込み、情報を得ようとする。その為には敵と寝ることも厭わない。その決意がなければ、到底生き延びる事はできない。そこで遭遇したのが家族を襲撃したときの指揮官、フランケン。どうも自分達が襲われたのは計画的だったようだ。軍部だけではユダヤ人の脱出の手引きは出来ない。一体誰が裏で手を回していたのか・・・。
ドイツ軍の中でもさまざまな軋轢があるのも見えてきた。もうこれ以上の流血を望まないムンツェ、どこまでも財宝を手に入れようとするフランケン、あくまで保身が一番、ヒトラーの命令を利用しようとする将軍・・・。レジスタンス側も一枚岩ではない。本当に味方は誰なのか。敵は一体誰なのか・・・。
いやーーー、面白かった。面白いといってはばちが当たりそうだが、秀作!やるじゃん、バーホーベン!と素直に思った。彼がオランダ時代に撮ったという映画は未見だが、やはりバーホーベンといえば、「氷の微笑」に「ショーガール」。すいません、「ショーガール」、スクリーンで見ちゃいました。頭抱えながら見た覚えがありますが、見終わったあとには裸に免疫ができてしまったくらいの裸のオンパレード。DJオズマもビックリの映像です。
彼の映画に特有な、何とも言えない匂いとでも言いましょうか、無機質ぶりとでもいいましょうか、ほやほやした人間性が感じられないとでもいいましょうか・・・。そこが苦手の人もいれば、確信犯的B級がいいという人もいると思われます。あたしははっきり言って、どっちでもいい派だったのですが、コレはよかった。つくづくよく出来てたのではないでしょうか。
時折見せる(必要とは思えない)サービス映像も健在。オランダという地域性や、ドイツとの関係、さまざまな立場の人を見事に色分けして見せる手管もうまい。どこまでが真実で、だれに裏があって、何を信じたらいいのかという脚本もなかなか。戦争の最中、生き延びるためには何があったのか、ということを考えさせるいい投げかけだ。さまざまな悪人が出てくるのだが、やけに人間的なのだ。
ナチスの支配が解けた後の状況も忘れずに描いている。それまで生き延びようと、自分を偽ってきた人に対して容赦ない仕打ちをする同胞たち。彼らの髪をそり、唾を飛ばし、汚物を投げかける人たちに、彼らを本当に非難する権利のある人はどれくらい居るのだろうか。
複雑に入り組んだ状況に純愛を絡めて、バランスよくすべてを描いている。うーーん、バーホーベン様、大変失礼しました。脱帽です。ただ一点、ムンツェが出すオーラが、はなっからいい人すぎ。主人公エリスが、彼と恋に落ちるのが余りに自然すぎたのだ。彼女にとって、『仇と寝る』のような地獄に落ちるくらいの決意がちょっと薄かった。この主人公を演じたカリスとセバスチャン・コッホは私生活でも恋に落ちたそうな。気持ちもわからないでもないですがね・・・。
◎◎◎◎
『ブラックブック』
監督 ポール・バーホーベン
出演 カリス・ファン・ハウテン セバスチャン・コッホ トム・ホフマン ハリナ・ライン ワルデマー・コブス デレク・デ・リント クリスチャン・ベルケル ドルフ・デ・フリース ピーター・ブロック








これが人間ってものだろう!って主張が凄い伝わってくるので。色々な意味で汚いつうか下品なんですが、そういうのを卑屈にならずに堂々と描いてあるんですよね。
人間嫌いな人が「所詮人間なんてこんなもの」という描き方をするのとは全然違う感じで。
この作品にもやっぱりそういうのを感じます。勿論、ショーガールだってそれは同じですよ(笑)
それがあたしには無機質と感じたのですが、どうもそれはハリウッドで映画を撮ってきて、言語的な限界を感じていた、との監督の弁を聞いて、それかなと思ってきました。
彼自身が、のめりこめなかった、赤裸々に出来なかったというのが映画の色だったのか、と。コレはあたしの勝手な解釈ですが。
今回の映画は、その辺のシールドを見事にとっぱらって、内臓から映画を撮った、と感じました。よかったです。
「ショーガール」・・、シネ○旭で見たんじゃなかったかな。映画の内容まったく知らずに見に行って、身の置き所がなくなった覚えがあります。ハイ。
面白い!って確かに言いづらいのですが、
でもエンターテイメント性がこれほど高い
社会派作品も珍しいですよね。
監督冥利に尽きるのでは。
エロとグロのバーホーベンらしさは健在でありながら
往年の名画を思わせる完成度でしたね。
ハリウッドの制約から外れて、自由に撮ったのが
良かったみたいですね。
カリス・ファン・ハウテンが、凄く良かった。
いままでの自由闊達に撮れなかった溜飲をさげたかなと。
やっぱ、男性の方には、受けがいいでしょうね。その気持ちもわかります。
できれば、ラストは逆にイスラエル軍がかつてのナチスと同じことをパレスチナ人に対して行っている風景を描写してほしかったのですが、そこまでは無理でしたか。
主演の女優、後にトム・クルーズの「ワルキューレ」でシュタウフェンベルク伯爵夫人になっていましたね。セバスチャン・コッホはTVドラマ「オペレーション・ワルキューレ」でシュタウフェンベルク大佐をやっていますから、「ワルキューレ」つながり。
ヨーロッパに帰って、原点回帰を果たした感じイに思えました。
アメリカでの彼の作品は、やっぱあんまり好きじゃないかも。
「オペレーション・ワルキューレ」、見てないです。
機会があったら、ぜひ見て見たいです。