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メランコリア

2012年03月25日 | ま行 外国映画
幸せそうな二人。リムジンに乗って、これから結婚式場に向かう風情。でも細い山道で、なかなか曲がりきれない。思う方向に行けない、もどかしい・・でも、幸せな二人には、何もかもが嬉しそう。。。

ようやっと山の奥の閑静なホテルに到着。長々待たせた披露宴をやっと始められる。まず遅れて、待たせたんだから謝ろうよ。謝んないんだよなあ~、これが。この辺で、だいぶいらいらがつのって来ました。いらいらさせる名人、ラースの術中にはまっております。

でもって、ここに集まってる人々がまじにやな奴ばっかり。。うそつき花嫁に、それを甘やかす花婿。花嫁の母は、その場を一瞬で凍らせる名人。その別れた夫は、若い女性を二人両手に侍らせ、会場を用意した花嫁の義兄は、体裁ばかり気にしてる。・・て言うか、豪勢な円のスポンサーなんだから、そりゃ当たり前でしょう。

あまりの花嫁のわがままぶりに、「顔も見たくない・・」と言って、ギャルソンは真面目に顔を隠してる。もう、どいつもこいつもわがままし放題と言うか、世間体を気にして段取りし、その場を取り繕うことをまず大事にするわれわれには、考えられない。社会性から言ったら、ありえない・・・のだが、その辺をぐいぐいとラース監督は、傷口に塩を塗り込むように、あおってくる。

まじにやな奴ばっかりの中に、唯一善の象徴のような、バランスにたけ、すべてを包み込む優しさを持った女性が一人・・・、花嫁・ジャスティンの姉のクレア。唯一の救い、彼女のおかげでなんとかこの場をしのげるような、心のよりどころみたいな存在だった。

披露宴の夜空の中で、ひときわ光っている星が一つ。太陽の影に隠れていた【メランコリア】。その軌道は地球にどんどんと迫ってくる。しかし、科学者たちは地球の軌道とはそれる・・と予想をした。しかし、圧倒的な美しさと荘厳さを持って、星はじわじわと、本当にじわじわと近づいてくる。目の前に迫ってくる絶対の力。。。逃れらない。いや、地球にはぶつからない。。。遠ざかった行くはず・・・。

結局ジャスティンは、一晩花嫁を演ずることが出来ず、披露宴は破たん。やさしすぎた新郎にも逃げられ、ずたぼろになるのだが、同情の余地は一切なし。なるべくしてなった結果、自分から引きよせた不幸。最強のやな女だ。美しいのに、醜く見える。ラースにむき出しにされ、すべてをひんむかれて、さらけ出される。ヒロインをラースのミューズと言うのか、犠牲者と言うのかは見る方の主観に任せて、すさまじさを感じた。

後半、ヒロインは善のクレアに移る。わがまま勝手な妹をいつくしみ、やさしさで包み、普通の女を生きる女性。母として強かったり、夫を頼る弱い女になったり、あるべき姿を見せる。そして最後に到達したのは、ここ・・・・・・。

つうことで、いつも悩ませくれるラースさんの今回のぶっ壊すものは、究極のもの。いままでもいろんなものをぶっ壊してくれたが、ここまでやっちゃうと、あとは何を壊すことが出来るのだろうか。こうなったら、一から作り直すのかもしんないなあと感じたのだが、意外にやじゃなかった。砂を食んだようないわく言い難い、いやーーーな気持ちにさせられることが多いのだが、いつもの彼にない潔さすら感じた。

地球上に70億もいる邪悪な生き物、人間。リセットが一番の方法かも知れない。スカルスゲルド・ジュニアが超素敵。老若のシャルロットの競演に、すさまじき人々のオーラみたいなもんをまざまざと感じたが、こういう映画は5年に一回くらいで十分かも。

◎◎◎○

「メランコリア」

監督 ラース・フォン・トリアー
出演 キルスティン・ダンスト シャルロット・ゲンズブール アレクサンダー・スカースガード キーファー・サザーランド

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6 コメント

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Unknown (KLY)
2012-03-28 23:38:44
始まった瞬間の美しい映像は、それだけ見るな
ら、私はそのアート性に心惹かれたのですが、
例によってトリアー監督らしく難解さを予想さ
せられたりもしました。
が、今回は意外にも違いましたね。人類滅亡と
いう終焉が決まっているせいで、これまでのよ
うなイライラ度合いは少なかったなと。
もっともせめてこのぐらいで無いとシネコンに
かけられないのでしょうけど(苦笑)
すっきりしたかも・・・ (ひらで~)
2012-03-29 11:07:48
これを壊されたら、もうなにも言えませんね(笑)

スカルスゲルド・ジュニア、好いですよね♪
私は父も好きですが(笑)
>KLYさま (sakurai)
2012-03-30 16:06:29
はい、私もどれだけ難解なものをぶつけられるんだろう~と、どこかマゾヒズムを感じながら受け取ったのですが、なんだかとっても素直でわかりやすかった。
あの嫌な人間たちには、十分いらいらさせられましたが、話の展開はやけにスムーズに感じました。
きっと鬱から復活した頃のものなんでしょうね。
>ひらで~さま (sakurai)
2012-03-30 16:09:41
妙な救いとか、わずかな希望なんて、見事に打ち砕かれて、ここまでされるとすっきりです。
次は何を壊してくれるんでしょうか・・?
こんにちは (はらやん)
2012-05-03 06:06:16
sakuraiさん、こんにちは!

僕はジャスティンについてはちょっと違った捉え方をしていまして。
ああいう鬱の状態になってしまっていると、周りの人への関心はもとより自分のことすらどうでもよくなってしまうものなんですね。
それが周囲の人から見れば、とてもわがままな状態に見えると思うのですけれど。
ああいう状態の人はひどく孤独なのですよね。
周りはたいへんだけど、そういう彼女を受け入れるしかない。
そうしていくなかで彼女もいていいという自覚をもち、やがて社会性を取り戻していくわけです。
彼女の周りの人はそういうことがわからず責めたてるばかりだったので、どうしても彼女はうちへうちへと精神的にこもってしまうという悪循環になってしまったのかなと思いました。
そういう点でああいう病気についてかなり本人の体験に基づきリアリティをもって描かれた映画だなと思いました。
>はらやんさま (sakurai)
2012-05-07 16:43:11
そうですねえ。
ジャスティンは、映画を作った監督やキルスティンのことをわかってみれば、鬱の状態なんだから・・とわかって、その状態を理解できるわけですが、それは後付であって鬱なんだから・・で終わらせられるもんではないのではないないかと。
とことん孤独、周りの人間はそれを受け入れねばならないのでしょうが、受け入れがたいのが世間様だわ。だからこそ彼女は、ああいう状態になったのでしょうね。
そう思うと、監督は冷たい世間を描きたかったのでしょうか。

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