迷宮映画館

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いのちの食べかた

2008年01月20日 | あ行 外国映画
唐突に始まる映像。一切のナレーションや、わざとらしい音楽もなく、淡々とひよこが流れていく。

ベルトコンベアーというよりも、ホースで吸われ、ぽんぽんと吐き出されていくひよこたち。うーん、この際、ひよこというよりも、工場の中の、部品の一つみたいに見える。

ひよひよとなくひよこたちを無造作にぽんぽんと扱っていく人たちの手際の良さに驚嘆。まさにブロイラー。食べられるために、工場で生産されてる肉という工業生産物に見える。

広大なじゃがいも畑にでっかいトラクター(?)みたいなベルト付きのジャガイモホリ機。土を掘っては、次々とベルトに乗って、じゃがいもがゴロゴロと収穫される。

うひゃああ、こうなるとじゃがいもも土と太陽を借りて、畑という工場で生産される一つのものに見えてきた。
この間、何気なく見ていたTVを思い出した。金を持たずに、芸人さんらが、どっかに行って、0円生活をする奴だが、我らが山形の唯一の島、飛島に行った浜口が、80歳をゆうに超えたばあちゃんの畑で、一個づつ島名物のイモを掘る。そして、20キロのじゃがいもを詰めたコンテナを背負って、てくてく歩く姿。。。。

どこの作業場でも働く人は無口だ。いつもと変わらぬ様子で、ちょっと不機嫌そうに、せっせと働いてる。

出てくる野菜は、じゃがいもにトマトにピーマン。うーん、みんな新大陸発見のときに見つけられたものばかり。これらはヨーロッパにはなくてはならないものになり、それは人々を救ってきたものだ。

薬をばんばんかけられる野菜たち。うちの畑の野菜たちも結構な回数、農薬が掛けられている。それでもムシには食われるし、ナメクジはどこまでも入る。お店に並んだきれいな野菜たちは、おして知るべしだ。



牛も豚も、人間の手を介して妊娠、出産、去勢と、彼らは人間のために存在している動物になっている。食べられるために存在している動物。そのためには、いかに効率よくいいものを作り、無駄なく使うことが要求される。

豚も牛も見事に無駄がない。欲を言えば、ブーちゃんの足も食えないのでもなさそうだが、延々と、ブーちゃんの足だけをちょっきん、ちょっきんと切る女性。

教師になってから、ずーっと生徒に見せ続けてきたNHKの名番組『人間は何を食べてきたか・・肉編』。
見事に豚が一匹解体されていく奴。こうやって私たちは命をいただいているんだとということを20年間見せ続けてきた。
目を背けるもの、喜んで見ているもの、眉をしかめながら気持ち悪そうに見ているもの・・・、いろいろだ。でも、最近は確実に見方が変わってきた。
はなっから拒否するものがぐっと少なくなり、こうやって自分たちは肉を食ってるんだと、大きく包容しているようになった。
ここでの豚の解体は本当に見事だ。番組の中でも言っているが、目玉とひづめ以外はすべて使う。血までも無駄にしない。見事!!

これを見るたび、私は小さい頃から食べてきた、庄内名物【どんがら汁】を思い出す。たら一匹食わせたら、庄内人ほど見事な人たちはいないだろう。
冬に向かうとき、内陸の人は漬物を漬ける。その漬物は、さまざまに形を変えて、最後まで食べる。それと同じだ。

と、横道にそれてしまったが、あの手際のいい肉のさばき方には、ヨーロッパに伝わる豚に対する徹底的な利用の精神が見てとれた。

時折入る、働いている人の食事のシーン。主にパンを食べているようだが、なんだか楽しそうでない。いかにも生きるためには食べないといけないと、もくもくと食べる。



どんどんとエレベーターで降りて行って下った先にあったのは、広大な岩塩の山。壮観というしかない塩の塊。これも人間の命の糧の一つ。

我々は生きていかないといけない。生きるためには、まず食べないといけない。火を自由に使えるようになった我々人間は、爆発的に増えた。そして、知恵をつけ、貪欲になった。

今日、この皿に乗ってる食い物が、いったいどこから来て、どのような手を経て、どうやってその口に入るまでになったのか、そんなことを毎度毎度考えて食べる人はいないだろう。そうだなあ、1週間に一回くらい、そんなことを考えながら食べる日があってもいいかもしれない。

今日も買い物に行ってきた。肉売り場を通り、魚の切り身を見て、並べられてる野菜を眺め、牛乳をかごに入れた。お米はうちのおじいさんが作った天日干しのうんまい奴。そういや、最近みそ作ってないなあ・・・。馬刺しとマグロを切りながら、その姿を思った。おかげさまで今日もおいしくご飯を頂いた。ありがとう。

◎◎◎◎○

『いのちの食べかた』

監督 ニコラウス・ゲイハルター
脚本 ウォルフガング・ヴィダーホーファー ニコラウス・ゲイハルター

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2 コメント

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何も語らず (GMN)
2008-01-23 23:59:21
あまり批判じみた内容になってないのが良かったですね。原題の意図とは違う邦題のつけ方だけはちょっと作為的なものを感じますけど。

どっかの肉屋じゃないですけど、安くて良いものを!って求めるけど、安いなら安いなりの理由とか当然あるわけで。(勿論、偽装とかは許せるものではないですけど)

ほんとにこれ工業製品みたいだなって思えてしまうくらいに動物なり野菜なりをシステム化してしまったこの現実を見て、人間って凄いよなとか思ってしまいました。いや、もしかしたらそれは逆に愚かで罪深い事なのかどうかわかんないっすけど。

スーパー行って「お、今日は豚が安いな。今晩のおかずはこれにしよう」ってのもまた現実ですし。う~ん、人間って何だ?なんて事まで考えちゃうドキュメンタリーでした。
>GMNさま (sakurai)
2008-01-24 08:29:38
『毎日のくいもん』じゃ、ちょっと人の入りに影響しそうですから、いいんじゃないっすかね。

大部分の、ほとんどの食べ物を作ってる機関は、まじめできれいに、丁寧に作っていると思うんですけどねえ。どっかの再開した料亭も、今度は真面目に作るんでしょうかねえ。

いろいろなことをじっくり考えさせてもらいました。素晴らしい映画でしたわ。

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いのちの食べかた (TRUTH?ブログエリア)
原題:OUR DAILY BREAD監督・撮影・脚本:ニコラウス・ゲイハルター映