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奇跡

2011年06月21日 | か行 日本映画
まさか、是枝監督が、メジャーな子供を使って映画を作るなんて思ってもいなかったもので、予告の時に、どうしようかと躊躇していた一本。前田兄弟を前面に押さずに、是枝監督作品!と銘打ってくれたら、何も悩むことなく、すぐに見るラインナップに入れてたのに。

是枝監督作品の子供たちは、なかなか印象深い。柳楽君を一気に有名にしてしまった「誰も知らない」。「歩いても歩いても」の子供たち。演技と言うより、ごく普通の日常を撮って、それがたまたま映像になっている・・という感じさえある。

今回の前田兄弟は知ってのとおり、兄弟で漫才をやってるツワモノ。やんちゃで、「おとなしくしてろ!」とつい言いたくなるけど、絶妙なボケをかます弟。破天荒な弟のはっちゃけぶりを、そんなに面白くはないけど、堅実なお兄ちゃんがうままとめる。そんな感じだと思っていたが、映画でもその通りだった。

親の都合で、兄弟は福岡と鹿児島に離れ離れで暮らしている。それなりにどっちもその土地でどうにかやっているが、寂しさは襲ってくる。兄弟が会えない寂しさ、それぞれが母や父に会えない寂しさ。でも、一番寂しいのは、弟が自分の知らない友達と仲良くやってること。。

いや、弟だって寂しいのにかわりはないが、寂しがってる暇がない。。。と言う感じかな。なんせ忙しい奴やから。

そんなときに、お兄ちゃんはすごい奇跡が起きるかもの可能性を見つける。電車と電車がすれ違ったときに起きるものすごいエネルギー!これが新幹線だったら?!そうだ!!!!九州新幹線が開通する。もし一番電車がすれ違うところを見れたら、これは絶対に願いがかなうはず!おし!!見るぞ。。。。。

ここでいいのは、一番列車に乗るぞ!なんていうんじゃなくなくて、すれ違うところを見るぞ!っていうところ。無謀だけど、無計画じゃない。あるのは、何かを信じれる心と仲間かな~。いつもは、醒めて「意味わかんねえ」を連発するようなお兄ちゃんだけど、何かをやり遂げたい!と思う気持ちに白けたところはない。

さーーて、艱難辛苦を乗り越えて、こいつらは晴れて世紀の瞬間が見れるのか!!!

という、なんだか懐かしの「スタンド・バイ・ミー」を思い出させるような冒険譚。ただ、あっちは死体を見に行こうと言う、超超暗い冒険だったけど、こっちはすごく元気になれる。やっぱ前田弟がスコーンと明るくして、お兄ちゃんが締めること、締める。損で不利な役割だけど、お兄ちゃんならでは。

そう、この二人の味わいは二人がそろわって初めて成り立つ絶妙なコンビだ。親が漫才やればって言ったのかは知らないけど、こんな絶妙なコンビがうちにいたら、面白いだろうなああ。

今回ばかりは、二人に脱帽で、大人たちは思いっきり脇役を楽しんでるようだ。「歩いても歩いても」の面々がこれまた贅沢な脇を固めている。贅沢な刺身のツマだわ~。橋爪おじいちゃんがいい役どころ。子供たちを信じてやれるのがいい。事故が起きたら何言われるかたまったもんじゃないけど、子供に冒険は必要です!断言。子供を信じてやりたくなった。

◎◎◎◎

「奇跡」

監督 是枝裕和
出演 前田航基 前田旺志郎 林凌雅 永吉星之介 内田伽羅 橋本環奈 磯邊蓮登 オダギリジョー 夏川結衣 阿部寛 長澤まさみ 原田芳雄 大塚寧々 樹木希林 橋爪功

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6 コメント

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Unknown (KLY)
2011-06-22 22:24:54
そうそう、橋爪功のじーちゃんがいいんだよねぇ。昔は皆じーちゃんみたいに子供を信じてくれてたよね。で、ピンチになったら全力で助けてくれたし、限度を越えたら他人の子でもこっぴどく怒られた。そうした中で子供ってやっていい事と悪いこと、その限度を学んでいったし。
子供たちが少しだけ大人びている現代っ子なんだけど、大人の目線が昔ながらの温かさなのがとても素敵でした。
>KLYさま (sakurai)
2011-06-24 14:59:09
わたしも死んだじいちゃんに、お世話になりましたよ、いろいろと。
普段は、なんだか存在感ないんだけど、いざとなったらピシッと決めてくれる明治の男でした。橋爪さんを明治の男にしちゃ可愛そうですが、とっても良かったです。
オダジョー父さんが、いちばん子供っぽかったりしてね。
sakuraiさま☆★ (mezzotint)
2011-06-25 20:16:17
今晩は☆彡
“まえだまえだ”の漫才はそんなに
面白くなかったような(笑)気がするんですが・・・。
関西の子どもって大人同様、漫才のかけ合い
のような感じの子、多いかもです。
今回はオーディションを受けて、監督が
気に入ったとの事。彼らに合わせて内容を
かけたという監督の思いはやはり、こんな
素晴らしい作品にしたんでしょうね。

樹木希林はあんまりこの子たちがうるさい
ので、呆れたそうです。でも彼らは、
「静かにしたらストレス溜まる」と言い返した
らしいです。この兄弟、半端じゃあないかも
しれませんね。
この子たちがあっての本作だとつくづく
思うのでした。
>mezzotintさま (sakurai)
2011-06-28 20:24:36
小学生の漫才が、「おもしれえ!」だったら、やばいですよ。大人たち、何をしてる!になりますからね。
小学生の低学年のころによくTVに出てましたが、今もやってるんですかね。
とにかく二人のキャラが、ベストマッチだったと思います。
どっちかだけだと、それほどでもないと思うんですが、二人がうまく凸凹を補ってるような気もします。

へえ、怒られたのか~。目に浮かびますね。
まあ、ああ言えば、こういうで、さすが関西のお子ちゃまですわ。
謎の老夫婦 (クマネズミ)
2011-07-04 06:03:13
お早うございます。
いただきましたコメントへのご返事は、私のブログの方でさせていただきましたが、こちらでもコメントをさせて下さい。
確かに、sakuraiさんがおっしゃるように、「まえだまえだ」の「二人の味わいは二人がそろわって初めて成り立つ絶妙なコンビ」ですね!
また、「ここでいいのは、一番列車に乗るぞ!なんていうんじゃなくなくて、すれ違うところを見るぞ!っていうところ」ですね。そんなことをしたら、まさにJR協賛映画そのものになってしまいますから!
それで、列車のすれ違いを子供達は見るわけですが、その直前のことながら、老夫婦の家には、何であんなに沢山の布団(少なくとも7人分)があるのだろうかとか、子供達は老夫婦の家で泊まることを家族に連絡したのだろうか、道路が付いているにもかかわらず、なぜ老夫婦は子供達をトンネルの近くまで送らずに坂の下で見送るのだろうか、といったことなどを疑問に思ってしまいました。
また、老夫婦役の高橋長英とりりィの名前が、sakuraiさんのおっしゃる「贅沢な刺身のツマ」の中に入っていないのは残念なことです。
>クマネズミさま (sakurai)
2011-07-04 14:17:22
コメントありがとうございました。
やはりこの映画の魅力は、二人の子供の存在であって、周りのおとなたちがいかに二人を盛り立てていくか、ということだったかと思います。
ただの盛り立て方じゃなく、自分流のそれぞれの味わいを十分生かしたものでしたが。
脇を固めたベテランの役者さんたちをひっくるめて、刺身のつまと表現したつもりだったのですが、特に他の方がたは、「歩いても歩いても」の絡みで、是枝組という感じをかもし出してたと思います。
布団とか、子供たちだけで泊まる危険とか、いろいろと突っ込みたいところはありますが、子供たちを信じてやる!という大人の度量の大きさなんかも、表したかったんではないでしょうか。
事故もなく、無事に帰れたから言えるのかもしれませんが、子供のたくましさや、達成感が持つ力を感じました。

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