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Dr.パルナサスの鏡

2010年01月26日 | た行 外国映画
テリー・ギリアムという人は、とにかく不運が付きまとう。映画に対する思い入れや、情熱、そして出来上がったもののこだわりには、並々ならぬものを感じるのだが、彼が何かはじめると、とにかく荒波が起こってしまう・・・。

今回の荒波は、彼が起こしたモンでは当然ないのだが、順風満帆では映画を作ってはならぬ!と、映画の神様が試練を与えてるようにも見えるのがテリー・ギリアムだ。

しかし、その試練を乗り越えての出来上がった映画を見ないわけにはいかない。追悼の意をこめて、映画を死なせるわけにはいかない・・と力を惜しまなかった映画人に敬意を表したい。

物語は現在のロンドン。怪しげな大道芸を催しているはDr.パルナサスの「イマジナリウム」。鏡の中に入ると、想像の世界が繰り広げられる。そこには、究極の選択が待っている。悪魔がすえた誘惑の道と、その誘惑を跳ね返す正義の道。

永遠の命を持つ悪魔は、人を悪の道に誘うのが仕事みたいなもんだろうけど、きっとやになるでしょう。営々と長く、つまんないじゃないかと。でもって、きっと自分と張り合ってくれるような不屈のライバルを求めたのではないかと。そのライバルとして悪魔のお眼鏡にかなったのが、パルナサス博士。

悪魔によって永遠の命を与えられ、ときとして悪魔と勝負し、勝ったり、負けたり・・・。たぶんに永遠の命も、悪魔が余裕で与えたみたいなもんでしょうが、そんなこんなで1000年も戦い続けてきた博士。

でも、この勝負は今までのものとは違う。大事な娘がかかった勝負。絶対に勝たなければならない。

そのとき、博士のもとに転がり込んできたのが記憶をなくしたなぞの男。どうにも怪しげな様子だが、はたして男の正体は?博士にとって、幸運をもたらすのか・・・・?それとも・・・。

ということで、いつものギリアムの描くおどろおどろしい世界は健在。最近の少々独りよがり的な作りではなく、とってもわかりやすい、こっち側に来た・・・・という感じがするくらいの作り方だった。

根底にあるのは、キリスト教の世界観というよりは、役柄でパルナサスがかつて僧だったが、仏教の世界観を感じた。鏡の中の世界は人間の抱える煩悩を表しているかのよう。

マーラは常に人を誘惑し、それに打ち勝つために、人は煩悩を捨て去り、解脱の道に進もうとする。そして待っているのは地獄の炎か、涅槃の世界か・・・。

鏡の中の世界では、顔が変わるという趣向で、ヒースなき穴を見事に埋めていたが、ジュード・ロウの天にも届こうとしている梯子は、お釈迦さまがたらす、蜘蛛の糸にも見えた。そしてそれにしがみつく人間たち・・・。

ギリアム流の皮肉は、いつものようにたっぷりと詰め込まれ、まるで悪ガキがにやっとほくそ笑みながら作ってるような様子が目に浮かぶ。で、その楽しんで作っていた作品が、死んでしまってはならない。ヒースを二度死なせるわけにはいかない・・・・という、執念がこの映画を作り上げた。そして我々は、またヒースに会えた。感謝!!そして、悔しい。

なんで彼は涅槃に行ってしまったのか・・・・。歯がゆく歯がゆくててしようがない。また見ることができた、素敵ないたずら小僧のような、にくったらしく可愛い笑顔・・・・。返す返すも悔しさを思い返してしまった映画でした。


悪魔役のトム・ウェイツがあまりに見事で、本物に悪魔に見えてしまうほど!と、映画を締めていたのは、御大プラマーでした。

◎◎◎○●

「Dr.パルナサスの鏡」

監督 テリー・ギリアム
出演 ヒース・レジャー クリストファー・プラマー ジョニー・デップ ジュード・ロウ コリン・ファレル リリー・コール トム・ウェイツ
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24 コメント

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偶然とはいえ (KLY)
2010-01-26 23:08:44
こんばんは。
偶然とはいえ、ヒースが鏡の外の世界を撮影し終わった段階で急逝したために、のこりの3人との繋がりがまるで最初からそう決めてあったかのごとく自然でした。
それだけに、普通に観たらヒースがもうこの世にいないとは思えない…。なんと皮肉なことなんでしょうか。
シュールな映像は実に好みですが、トニーが出てくるまでにちと時間がかかったなぁと。
はぁ、これで本当に終わりですね。
>KLYさま (sakurai)
2010-01-27 08:57:37
なんでしょね。
ヒースにも、ギリアムさんにも、何か運命のような、映画の神様のいたずらというか、あまりにも皮肉が付いて回って、世の無情を感じます。
ヒースが出てくると、いきなり画面が華やかになりましたからね。出るまでは、ちょっと勿体ぶりましたかね。あれもギリアム風味で、味わいましたが。
何はともあれ、堪能させてもらいました。
Unknown (mariyon)
2010-01-27 10:44:43
ちょうど2周期の封切(23日)だったんですね。
実はヒースが出てることを全く知らないで観たんです。 前情報を入れないというよりは、もうむちゃくちゃ映画に疎い。
スクリーンで、あれ??あれ??
この人。。ヒースによく似た??誰??????
え??本人??なぜ??
あっ、途中まで撮影してたと言ってた。。。。
あの映画だ!!
と、気がつくまでの間、頭の中でパズルがはまるまでの間
そう長い時間ではなかったんですが
そのとたん、一挙にヒースのことが浮かんで・・・。
でも、2年たったんですね、ダークナイトとは違って 映画も普通に観れました。

監督に感謝します。
本年も…。 (mori2)
2010-01-27 11:50:03
こんにちわ。何と今年最初のTBです。
遅ればせながら、本年のよろしくですm(_ _)m。
撮影中のトラブルが“恒例行事”(?)のギリアム監督も、今回のはコレまでのものとは比較にならない悲劇でしたね。ヒースは本当に惜しいです。早過ぎます。

でも、3人の友情は素晴らしいですね。“4人1役”もなかなかでした。ジュード・ロウの
おでこが…(爆)。
>mariyonさま (sakurai)
2010-01-28 08:37:55
たぶん、世界中でmariyonの見かたで見た人は、そうはいないと思いますよ。
なかなか貴重な体験をされたと思います。
なは。

つくづく映画っていいいですよね。
こうやってヒースの魅力をあますことなく私たちに伝えてくれる。
哀しさを湛えながら見てましたが、あの生き生きとしている姿は、永遠ですからね。
ギリアムに感謝です。
>mori2さま (sakurai)
2010-01-28 08:40:18
こちらこそ、よろしくお願いします。
恒例行事!!ほんとにそんな感じですよね。
なんでなんでしょう?
よっぽど映画の神様に嫌われてるんじゃないかと思いますよ。
ジュードさんは、「ロード・トゥ・パーティション」のときの思いきった髪型が、尾を引いてるのでは・・と思います。
こんばんは (はらやん)
2010-01-28 21:40:53
sakuraiさん、こんばんは!

ドンキホーテとかも頓挫しちゃいましたもんね、テリー・ギリアム。
確かに不運に見回れることが多いですね。
この人は自分が作りたいものを作るというスタンスがはっきりしていますよね。
当たり外れも多いですが、彼独自の世界に魅かれて、やっぱり観に行っちゃうんだよなあ。
そうですね~~ (マリー)
2010-01-28 22:44:14
こんばんは~~♪
今日2回目行ってきました・・・
そうですね~なんか仏教的なもの感じました。
博士の服に仏像が書いてあったり、着物っぽい服着てたりもしてましたね。
ラストのレストランの「雨」もあれれ?だった。
ジュードのシーンは、私も“蜘蛛の糸”思い出しました。

ヒースの出演シーンがどれだけあったか分からないけど、見事に辻褄合わせてあったなぁ~。ギリアムさんは危機に強いのかも。。。

私は凄く楽しめました。
多分又行くと思います。
コメント&TBありがとうございました! (mezzotint)
2010-01-28 23:44:39
sakuraiさん
今晩は☆彡
本当にヒースを見るのは最後ですね。
寂しい限りです(涙)やっぱ悪魔がヒースを
連れて行っちゃたのかもしれませんな。
ギリアム作品はこれで4本目ですが。。。。
確かに毒気は少なく見やすい作品でしたね。
頭が上手く回らず少々混乱したところもあり
ましたが、楽しかったです♪
ジョニーにジュード、コリン・・・・。
トムにプラマーおじさん、豪華でしたね。
>はらやんさま (sakurai)
2010-01-29 09:11:21
監督自身が「ドン=キホーテ」と重なるような気もします。
あえて困難に立ち向かい、世間にそっぽを向かれたり、さまざまなことにぶつかる。
でも、それでもめげずにまた立ちあがる・・・。
自分でも意識してるんでしょうかね。
当たり外れがあるのも、その不屈の精神で突き進んでいくエネルギーからでしょうか。
ずっと気にしていたい監督です。

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