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怪談  小林正樹版

2007年07月28日 | か行 日本映画
先日見た、「切腹」の興奮も冷めやらぬ間に、今度は夏にふさわしい「怪談」である。いやがおうにも期待は高まるのだが、怖い系は苦手な私。見た後、夜中に帰るのはちょっと怖い。見た後、スカッと晴れ渡った日差しの方がよさそう、ということで、午前の鑑賞と相成った。

さて話はよ~く知られている小泉八雲の怪談からの抜粋。『黒髪』と『雪女』と『耳無し芳一の話』と『茶碗の中』。前3つは聞きなれた話だが、これを小林正樹がどう映像化したのか、というあたりが見所である。

まず、カラーなのにビックリ。冒頭のDVDのジャケット見ても、この雰囲気からしても、前述の『切腹』からしても、当然モノクロだと思っていた。そしたらばなんとカラーバージョン。それも小林正樹の初カラー作品だとか。うーんん、、怖くない。こりゃ絶対モノクロで、陰影つけて、引き込むような映像の方が、絶対怖そうなきがするのだが、やけにカラーが目立つのだ。

着物の鮮やかな色や、緑生い茂る庭、朽ち果てた様子やらの色も見えて然りなのだが、なんか重々しく見えないのは、私の勝手?冒頭タイトルロールの、墨を水に落として、じわじわと広がっていく鮮やかな水の中の様子は、素晴らしかったが、映像はモノクロの方が似合いそうだと思ったのは、今見るからだろうか。

さて、一話目の『黒髪』。貧しい武士の生活に見切りをつけて、仕官の口を捜し、苦労をともにしてきた妻を捨てて、逆玉に乗った男。仕事につき、若い妻に入り婿し、前途洋洋に見えたのもつかの間。捨ててきた妻が忘れられない。せっせと機を織り、自分のためだけに生きてきたような妻をなぜ捨てたのか。何をしてても元妻のことが気にかかる。つやつやと長い黒髪をしたためていた妻。

地方での国守りの任期が終わり、元の家を訪ねた男。妻は昔と何にも変わらず、機を織り、男を優しく迎えてくれた。しかし・・・・。

この元妻の新珠三千代の美しさ。背中にぞくっとするものが走ったほどの美しさだった。わがまま新妻の渡辺美佐子の冷たさも素敵。屋敷の様子のうらぶれ方が見事だったが、こだわるんだろうなあ、などと思いながら見た。

二話目は、これもよく知られている『雪女』。雪の降りしきる寒い日、二人で山に入った男。家路を急いだが、渡し守がいない。やむなく掘っ立て小屋で一夜を過ごそうとしていたとき。美しい女性が音もなく入ってきて、茂作に息を噴きかけ、凍らしてしまう。それを見ていた蓑吉。女に「誰にも言うな」と釘をさされる。

命からがら帰ってきた蓑吉だったが、呆けたように布団から出られない。漸う、起き上がれるようになると、旅の女性が蓑吉のところにやってきた。そして妻に。そして「いうなよ」といわれていたにもかかわらず言っちゃったよお、みたいな。

これは岸恵子と仲代達矢なのだが、一話目の新珠三千代様があまりに美しく、岸恵子が普通に見えて仕様がない。順番間違えたかもよ。

三話目はこれもよく知られている『耳無し芳一の話』。目の見えない琵琶法師芳一が、平家の幽霊様たちにとりつかれ、それを仏の力で防ごうと、身体中に経文を書くのだが、耳だけ書くのを忘れてしまった。ほんとにしまった。

この幽霊武者の丹波さんがすごい迫力。口直しに田中邦衛と、あのオッサン名前なんだっけ?のお調子者が、怖さを半減させてる。

四話目は『茶碗の中』。この話だけ知らなかったもので、・・・・怖い。

ある武士が水を飲もうと茶碗に水をそそぐ。飲もうとしたその時、茶碗の水の中に1人の男の顔が!水を入れなおしても、違う茶腕に変えても顔が浮かび上がる。いらだった武士は、水を飲み干してしまう。ここで割った天茶碗がいい。がっしゃん割ったとき、思わず「勿体無い」と口にしていた。

夜ふけ、屋敷の夜番をしていると、昼間の茶碗の中に浮かび上がった男が現われる。昼間の非道を責める。男は刀を振りかざし、式部某と名乗った男を切りつける。しかし、ひらりひらりとまるで蝶のように逃げる式部。

しかし、一刀、式部ののど元に入った。そして壁の中に消えていった式部。次の夜、式部の家来と名乗る3人の武士が、男の自宅にやってくる。式部の敵を討ちにきたという。彼らもまた蝶のように、うつつのものではないかのようにひらりひらりと逃げ回る。一体、式部とは?茶碗の中とは?この話の結末は???

ということで、4つの中身の違った物語を見たのだが、結論。知ってる話は怖くなかった。怖いものを作ろうとしてのではなく、小泉の世界観をカラーで豪華にたっぷりと絵にしたかったのではないだろうか。怖い映画を撮るのが目的ではなく、あくまでも映像を作り出そうとした。そんな感じがした。

今は考えられないような豪奢なメンバー。次から次へと、第一級のキラ星のごとくの役者を惜しみなく使い、たっぷり見れるという贅沢感。映画の見所は、これかな・・。

冒頭の新珠三千代、はじめ美しい女優さんもいっぱい目の保養のごとくでているが、演技には言及しないでおきましょう。演技力をしのぐ十分な美しさを備えてますから。やっぱ美人はトクです。しか~し、杉村春子に、奈良岡朋子に、顔のUPはなけれど、演技はさすがぴか一。

次は是非「上意討ち 拝領妻始末」が見たいなあ。やっぱチャンバラでしょう。「東京裁判」ももっかいくらい見たいなっと。

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