迷宮映画館

開店休業状態になっており、誠にすいません。

カンダハール

2002年06月03日 | か行 外国映画
アフガニスタン出身の女性ジャーナリスト、ナファスのもとに手紙が着いた。カンダハルに住む妹からの手紙。地雷によって片足を失い、絶望の淵にいる妹は日食の日に自殺をするという内容だった。ヘリコプターで、イランとアフガニスタンの国境付近を飛んでいるが、日食まではあと3日しかない。故郷を離れてしばらく経つナファス。女一人でカンダハルに行くことなど無謀そのもの。しかし、妹をどうしても助けたい彼女はなんとかしていく術を探すのだった。

難民キャンプから故郷に戻る一家に加わったり、神学校ドロップアウト少年をガイドに雇ったり、いかにも怪しげな男を案内役にしたり・・。なんとかして期限までに目的地に向かいたい。あまりにも苦難の道なのだが。まだまだカンダハルまでは遠い。

これを撮影したのが2000年。世界から忘れ去られた人々とのサブがついている。そうだったのだ。まさに我々は忘れていた。こんな状況にある人々のことなど。飛び込んでくるニュースはバーミヤンの仏教遺跡の破壊など眉を顰めるようなことばかり。そこにも日常を過ごしている人のことなど気にもとめていなかったような。でもどうしようもない、物騒で何も出来ない、と見て見ぬ振りをしていた。それがどうだろう。いまや状況は一変してしまった。すべては9月11日のあの出来事だ。あのテロは絶対に否定する。極悪非道の仕業だ。しかしあそこまでの行動に、人を駆り立てたものは何なのだろう。その答えのひとつがここにあるのかもしれない。

何も出来ないじゃないか、私に何ができると人は言う。それはそうだ。何も出来ないかもしれない。何度も言う。我々ができることは知ることだ。知って、自分の生き方をみつめられる。その小さな行き方が世界を変えられると私は信じるのだが。

映画は現実の過酷な状況を時にユーモアを交えながら、ブルカやタリバンなどを恒常的にそこにあるものと紹介している。人形を絶対に拾ってはいけないと教えられる子供たち。その人形に地雷を仕掛けている大人たちもまたつらいのでないか。人間の絶望の目を見たような気がする。悲しいかな、人間はそれでも生きていかなければならない。

「カンダハール」

原題「Kandahar」 
監督 モフセン・マフマルバフ 
出演 ニルファー・パズィラ ハッサン・タンタイ 2001年 イラン・フランス作品


最新の画像もっと見る

コメントを投稿