迷宮映画館

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キングダム 見えざる敵

2007年10月20日 | か行 外国映画
サウジアラビア・リヤドの外国人居住区。楽しそうに野球をしていた風景が一転する。警備をしているはずの警察官の姿で襲撃。見境のない大量の銃撃で、多くのごく普通の人たちが殺される。極めつけの自爆テロ。

多くの犠牲者の中にFBIの捜査官がいた。アメリカを切れさせるのに十分。これは完全なる宣戦布告だ。犯人を突き止めねば・・。いや、それは捜査ではなく、報復かもしれない。

しかし、新たにFBIの捜査官がリヤドにいれば、また攻撃の対象になる。サウジの警察は役に立たなかったのかと、軽蔑される。どっちにしろ、アメリカ人がサウジの国内に入って、捜査をしようとするのは至難のことだ。

その絶体絶命の中、4人の捜査官がリヤドに期限付きながら捜査できることになった。首謀者と目されているのはアルカイダ・メンバーのアブハムザ。ゴーストといわれる彼の正体を、5日で突き止めなければならない。

ここで興味深いのはサウジとアメリカの微妙な力関係だ。映画の冒頭で、イスラム教原理派のワッハーブ派の台頭、石油の発掘、アメリカの介入、メジャーの設立、石油危機、アルカイダの登場、そして同時多発テロの勃発への道が語られる。あの場面だけほしいくらいのテンポの良さで、サウジの立場を教えてくれる。

いまや石油がないと夜も日も明けない世界だが、サウジを怒らせるのは得策ではない。でも、多発テロの犯人のほとんどはサウジ人。サウジとしても、政治的な求心力がないことを世の中に知ら示すわけにもいかない。その辺の事情も、当然念頭にあって、自爆テロを仕掛けたわけだろう。巧みな設定だ。

アメリカ礼賛、神業のようなFBIの捜査官の推理がとんとんと進んで、悪人をばったばったとやっつける!というような映画だろうかと、いつものメリケン映画かなあ、、、と思って臨んだのだが、そんなことはなかった。こつこつと捜査する。人間関係を忘れない。いろいろな立場から見た状況もきちんと描く。アメリカ本国の堅牢な政府の態度や、ごく普通の平和を願う人々の姿を描くことも忘れてない。真面目な見せ方に好感が持てる。

緊迫感を増すためか、手持ちカメラの上下の揺れが終始するのだが、ちょっとやりすぎたかな。まあ師匠(?)のマイケル・マンに敬意を払った撮り方だったのかもしれない。

暴力は暴力の連鎖を生みだすだけなのか?今も続くテロの応酬や、血で血を洗う対立を聞くたびになんともやりきれない思いになってしまう。その辺の人間社会の未熟さもどうしても伝えたかったことなのだろう。スカッとする終わり方などあり得ない世界。見た甲斐のあった映画だった。

◎◎◎○●

『キングダム 見えざる敵』

監督 ピーター・バーグ
出演 ジェイミー・フォックス ジェニファー・ガーナー クリス・クーパー ジェイソン・ベイトマン アシュラフ・バルフム

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2 コメント

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うーん (miyu)
2007-10-22 23:32:30
確かに!
スカっとなんて終わるハズがないですよねぇ~。
映画の冒頭のサウジのご事情を描いた部分だけでも
結構見応えありましたし、
アクション・シーンの迫力、テロの恐ろしさを表したシーン、
それぞれ素晴らしかったですね。
>miyuさま (sakurai)
2007-10-23 10:52:35
なんとも歯がゆい感じもよーくあらわされましたね。
予告を見た限りでは一方的なアメリカ礼賛映画かな。。。と懸念していたのが杞憂でした。

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