硯水亭歳時記

千年前の日本 千年後の日本 つなぐのはあなた

    今年の大つごもり

2012年12月31日 | 季節の移ろいの中で

裏庭・土蔵にある祖父手作りの腰掛待合椅子(現在使用せず 戦災にも耐えた)

 

 

今年の大つごもり

 

 

  それぞれの季節はあっという間に過ぎ、我が生涯、どれほどの季節を、再びいとおしく過せるのでしょうか。原発被災地の田圃のただ中で、辺り一帯に、高々と咲くセイタカアワダチソウは、先端が真ん丸く萎み、背丈は何と3㍍にも達しズッと延びて、再び稲作耕地に回帰出来るのかと嘆き悲しみました。思いっきり力をこめ、一株をやっと抜き取ると、恐ろしきばかりの根っこの大きさ!ただオロオロとし茫然とするばかり。鳥や虫の姿さえない殆ど見えない田園に、久しくしゃがみこんでいると、都会の喧騒が、何と遠巻きに、矢鱈と大きく聴こえてきそう。何という軽薄さなのでしょうか。野生化した牛たちが怒涛のごとく駆け去っていく様とそう違いはないのかも。小雪まじりの北からの風だけが、何事もなかったかのように、不気味に静まりかえった大空を吹きわたっているのです。もうアレもコレも風化したとでもいうのでしょうか。 

 都内は東京スカイツリーやソラマチやヒカリエやエキナカなど、華々しくグロテスクな化け物たちが怒号と狂乱とで荒れ狂い、現実の危機と、ぞんな善男善女の浮かれ気分、なんという悲劇的な段差なのでしょう。どう表現したらいいか小生には分かりません。これでもかと銭だけが踊り、その正体は白けた資本主義の極みなんでしょう。或いは亦、魂の抜けた抜け殻か、やり場のないやけくそだけが突っ走り、僕と同年代で夭逝した尾崎豊の絶叫がどこからともなく聞こえてきそうです。『脱原発』『卒原発』とか空々しくスローガンが響き渡り、いい迷惑でした。スローガンだけで政治がは出来るものではありません。政権与党がエイヤッと中途半端で断じていいものでもありません。検証は甚だ不十分で、いかにもポピュリズム政権がやりそうなことです。国際社会との兼ね合いもあるでしょう。

 我が家は大通りから若干中に入っているために、雑踏と少しばかりご縁がありません。粛々と勉強するのにいい環境です。でも子供たちや父や叔母や、他の家人もいるため、僅かに出来た時間を家族と一緒に楽しむようにしています。千両や万両も真っ赤な実をつけ、それで最後の正月飾りをして終えました。28日には餅つきも終え、自らの手で御節も作り、今夜は年越し蕎麦用に蕎麦打ちも終えています。来年はどんな年になるのでしょう。どんなことがあっても、特に岩手・宮城・福島の三県の仮設住宅で不自由な生活を余儀なくされていらっしゃる方々と、思いだけは一つにして新しき年を迎えたいものです。

 八ヶ月余のブログの更新をしなかったのは、ここで書く時間より、重大な行動の必要だったためです。岐阜山中の、我が苗場の整理や周辺森林の伐採、基地建設。更には尊敬する宮崎昭先生と300キロにわたる巨大防潮堤創りのため、広葉樹や照葉樹を提供させて戴いたり、宮脇先生と同時に代表をしておられる細川護煕さんの『瓦礫を活かす森の長城プロジェクト』に参加したり、また地元で立ち上がったさくらプロジェクト3.11に全面協力させて戴いたり、全国にいらっしゃる林業再生にお取り組みの森人の皆さまとの交流も少なくなく、息をもつけない忙しさでありました。尚、ここで一つだけお詫びしておかなければならないことが出て参りました。私たちの財団で運営している櫻塾は現実にはその名称は御座いません。横文字のグループ名で年々巨大化しています。あれこれ公的活動を致しますと、つい数多くの検索機関に取り上げられることになり、仕方なく来春にはホームページを公開しようと考えております。各位さまにおかれましては我がほうの悪意や他意はなかったことだけを是非ともご理解戴き、お許し賜りますことを心からお願い申し上げます。

 今年は数限りない思い出で溢れました。後年にはきっと何かが結実することでしょう。皆さまもいいお年であられたことでしょう。来る新年は残り数時間です。よりいっそうのご健勝とご健康を深くお祈り申し上げます。

                            硯水亭主人

 

復原された東京駅に 相変わらず六ヶ所のゼロキロポストがある


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
今年も、よろしく。 (sohya)
2013-01-06 05:45:43
■硯水亭さま。
お早うございます。
お忙しいようで、何よりです。
拙歌集『昭和』お買いいただいたようで
有難うございます。
目下、第三詩集『修学院幻視』を出すべく準備中です。
後水尾院に因む詩篇です。
ここは時々見せていただきます。
今年も、よろしく。
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本年もどうぞよろしくお願い申し上げます! (硯水亭歳時記)
2013-01-09 00:03:40
  木村草弥先生

 早々と、コメ有難う御座いました。
どうやら今年も多いに忙しくなりそうで、
今からワクワクしています。

 さて今年たくさんの先生のご著作が我が家に並ぶことでしょう。
楽しみにしております。我が父と同じような、
御年なはずなのに、先生のご活躍が素敵です。父も登山を辞めようとしません。

 ちょいちょい先生のブログに伺い、
よくよく勉強をさせて戴きたくお願い申し上げます。明日にでも足跡を残させて汚してもいいでしょうか。

 どうぞよろしくお願いします!
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