さきち・のひとり旅

旅行記、旅のフォト、つれづれなるままのらくがきなどを掲載します。 古今東西どこへでも、さきち・の気ままなぶらり旅。

ザルツブルクの塩鉱

2013年11月12日 | オーストリア・チェコ

 フランスの小説家スタンダールは、その『恋愛論』の中で、我々の恋愛感情を
「結晶作用」と呼んでいます。


 ザルツブルグの塩坑で、廃坑の奥深くへ冬枯れで葉の落ちた樹の枝を投げこみ、
二、
三ヶ月して引き出してみると、それは輝かしい結晶におおわれている。
ヤマガラの足
ほどの太さも無い細い枝も、無数のきらめく輝かしいダイヤをつけて
いて、もう元の枯
れ枝を認めることはできない。私が結晶作用というのは、次々に
起るあらゆる現象か
ら、愛するものの新しい美点を発見する精神作用のことである。

 言うまでもなく、枯れ枝を、我々の目には現実の宝石に変えるこの魔法の力は、
想像力なのです。恋心が芽を出し蕾となってゆくのは、主に夜、一人で相手を思い
出しているときですよね。そのイメージは少しばかりのかけてくれた言葉、ちょっと
した仕草、表情、横顔だけのこともあります。それが我々の心のなかに甦り、結晶し、
美しくふくらんでゆく。そして次に会うときには、すっかり恋心が花開いていたりする
のです。

 スタンダールは、とある貴婦人の話を聞いただけで(さらにその人はすでに
この世にいない!)熱烈な恋に陥った男の例をあげています。まさに枯れ枝が、
取り出して見ると、すっかりダイヤで埋め尽されているのです。これは偉大なる
想像力の魔力に他なりません。


 つまり我々の恋心というのは「妄想」なのか…(^益^;w いやいや、無数の美しい
ダイヤで飾られた枝もほんとうだし、ただの枯れ枝にしか見えないのもほんとう
でしょう。そう見えている人には見えてない人に理解できません。

 無数のダイヤが見えている人と、ただの枯枝にしか見えない二人が合意できる
ことと言えば、ダイヤにうっとりしている人がひたすら幸せだということでしょうね。




 さてさて、ザルツブルクも市内はだいたい見物してしまったので、この日はちと
街の外に出てみようかと^^ 「ザルツブルク」とは「塩の街」という意味です。スタン
ダールを冒頭に引用しましたが、ここに来たら「塩鉱」を見なければ。というわけで
街から出ている半日バスツアーに参加しました。

 街から約1時間ぐらいで塩鉱に到着します。ガイドが道中、「ここからドイツなんです
よ~」と言いました。ありま!「ザルツブルクの塩鉱」って、オーストリアじゃなくて
ドイツにあったのかーwww 国境付近の街とはいえ、ちと驚き。



 いきなり入り口で全員こんなつなぎと長靴をはかされました。まーそういうもんかぁ。



 トロッコ列車はガタゴトと地下へ進みます。中は当然ひんやり涼しく、目指す塩の
鉱脈は数百メートル下にあるのです。



 細い通路をしばらく進むと、突然開けた場所に出て、そこにはテーブルと食事の
用意が!私が参加した半日ツアーには入っていなかったのですが、こういうのも
あるんだねェ。ま、先日のディナー&コンサートと同じで、ひとりじゃ寂しいだろうけどw



 トロッコと徒歩が続きましたが、途中でこのように木のスライダー。「2人や3人で
つながって滑ってくれ」などと言うので、グループやカポーで来ている人はいいが、
俺みたいにひとり者は当然あぶれる。前のほうに立っていたのに、どんどん
組んでいるやつらに抜かされる。うひーw かなしー!w(゜゜)w

 結局中年カポーにくっついて滑ったよ… _| ̄|〇



 さてここが地下探検のクライマックスだ。説明を受けた受け売りでちと歴史をたどり
ますと、ヨーロッパ中心部にあるこの地域も、はるか太古の昔には海だったそうです。
それが南のほうから大陸が押し寄せてきて、海水が真ん中に残ってしまった。
その大陸はぐいぐい来たもんだから盛り上がってアルプスになった。それに押し
つぶされて、真ん中に残った大量の海水は、地下深くにたまって固まってしまった
とか。そして硬~い塩の鉱脈ができたわけです。

 その塩を掘り出すといっても、塩の鉱脈は地下深くにあるカッチカチの岩石の塊り。
それを削り出すのは大変すぎる。なので、まず地表からドリルで垂直に穴を開ける。
地下にナイスな塩の層があるな~とわかったら、そこに水を注入!長い時間を
かけて、どんどん水を入れる。塩は溶ける。だんだん大きな穴になり、そこに濃い
塩水のプールができる。しばらくほうっておく。 (ほうっておいても水の注入では
恋の結晶作用は起こらない^^;)


 そしてその濃厚な塩のスープを、ポンプで汲み上げて、それを精製して商品の
塩にするというわけだー。

 んで上の画像は、その塩のプールの上に浮かんでいるのです。わかりにくいですが、
下は水面で、天井が映っているのです。ここで船に乗り、反対側に渡ったのです~。
到着したところで、蛇口からダバダバ塩水が出ており、それをなめることができました。



登りにはケーブルカーも使いました。いろんな移動手段を使い、子供などは大喜び
のツアーですね^^