角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

意味ある土産。

2009年10月19日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡円〕
明るい緑基調の桜&鹿プリントをベースに、合わせは緑です。
紅葉が盛りの今とでは若干季節感がズレますが、緑という色はほんとにファンが多いです。可愛らしい明るい緑のベース生地はこちらになります。




10月も中旬に入ってから、おばさまグループの散策がとても増えています。その多くは県内にお住まいの方々で、おそらく紅葉見物がてら角館散策なんでしょう。「今日の草履」もそんな中のおひとりがお持ち帰りくださいました。
いやぁ、みなさん楽しそうですよ。今日なんかはときおり激しい雨が落ちてきたのに、おばさまたちの話し声は雨音なんかに負けやしませんね。

東京からお越しのおばさま四人旅。うちのおふたりがご主人へのお土産としてお買い上げくださいました。
ご希望の25cmは在庫が3足、真っ先にひとりのおばさまがひとつを選ぶと、もうおひとりもどうやらその配色が気に入っていたようです。こういう空気が草履職人は最も苦手とするんですよ。それまで仲良くおしゃべりしてたのに、いきなり空気に色が付くんですね。

四人の中のおひとりがその空気を察知したようです。残り2足のうちひとつを手に取り、『あなたのご主人にはこれが似合うわよっ』。この言葉を受けて、『う~ん、そう言われればそうねっ』。なんとか無難に落ち着きました。
せっかくの楽しい旅が、ご主人へのお土産でモメるなんてことは私も望みませんしね。

長女と次女が修学旅行から戻り数日が経ちました。旅先から送ったお土産荷物も無事到着し、どれを誰にあげるか楽しいひとときを過ごしています。
私へのお土産はと言うと、「直江兼続」のシールでした。修学旅行のコースは、広島・姫路・京都・奈良なんですが、なぜに直江兼続???
『どごで買ったおご?』と訊いてみると、安芸の宮島だそうです。全国に名高い観光地も、流行は取り入れないとマズいんでしょうかね。

お土産に文句を言うのはよしましょう。そのシールは普段使っている手提げ金庫に貼りました。
徳川家康の命により石高を三分の一にまで減らされた上杉家は、必死で家臣と家族を養っていきます。今月は修学旅行のお小遣いを渡したため、手提げ金庫の中は三分の一以下になってしまいました。
どうやら直江兼続のシールには、そういう意味が隠されていたようですなぁ。

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生きられるうちは生きる。

2009年10月17日 | 実演日記
今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
ご覧の通り、個性たっぷり「寄せ集め草履」を編んでみました。夏頃からの中途に残った布地がだいぶたまっていたので、そろそろこんな草履を編みたいなと思っていたんです。拡大画像をご覧いただけると分かりますが、すべてがかつてベースとして編まれた布地たちなんです。
これからも時間に余裕のある日は、こんな草履を積極的に編んでいこうと思っています。









「今日の草履」は、編んでいる最中にご予約と相成りました。青森県弘前市からお越しくださったおばさま四人旅。お買い上げくださった三人の中のおひとりがお選びです。
とっても賑やかなおばさまたちで、こちらの草履のごとく個性たっぷりでしたね。東北地方は口下手や寡黙な人間が多いと評されますが、なんのなんの年齢さえ重ねれば「大阪のおばちゃん」並みの人がずいぶんいますよ。

岩手県花巻市からお越しの母娘さんペア。お母さんは74歳になられると言いますから、お孫さんもいらっしゃるおばあちゃんですね。おふたり丸太椅子に腰を下ろし、結構な時間実演をご覧になりながらおしゃべりに費やされました。
娘さんのほうは早々にお買い上げを決めましたが、おばあちゃんは当初ずいぶん悩んでおりました。

娘さんが、『この草履で元気にならないとっ』と促すと、『イイよ、長生きなんてしなくて…』。
実演席でご高齢者とのおしゃべりはとても多いです。するとどうしても健康の話題が出てくるのですが、基本的に旅行が出来るくらいですからまず元気なんですね。それでもこちらのおばあちゃんは、口数が少ないばかりでなく元気も少ないと感じました。

娘さんはおばあちゃんへも草履を履かせたいのでしょう、『足はゼッタイ重要なんだから、一緒に履こっ』と言っても、おばあちゃんは『どうせ先は短いんだし…』。すると娘さんが、『お父さんはあの世でまだ来るなって言ってるわよっ』。おばあちゃんのご主人はすでに他界されていたようです。

無理にお買い上げを促すのは私の理念に反しますが、どうしても言いたかった言葉を出しました。
『あの世へ行きたいったって、お迎えが来なければ行けないでしょ。今日ここでこの草履と出逢ったのは、お父さんがまだまだ頑張りなさいって言ってる証拠ですよっ』。そして私がお勧めしたのは、今朝一番で仕上がったばかりのピンク基調の草履です。

娘さんもその草履を促し、やっとおばあちゃんのお顔に明るさが出ました。お勧めした草履を手に持ち、笑顔で西宮家をあとにしたおふたり。とても印象深い母娘さんペアとなりました。
齢74、まだまだ平均寿命は先にあります。6月に他界した私の叔母は享年75歳、死にたくなくて死んでしまったひとりです。今日17日は月命日でありました。

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周囲は年長者。

2009年10月16日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡円〕
薄いブルー基調の金魚プリントをベースに、合わせはエンジ基調の和柄プリントです。
一般に色の薄い草履は「汚れ易さ」を指摘されるのですが、こちらのように可愛らしさが目に付くととたんに印象が変わるもんです。可愛い金魚プリントはこちらになります。




先日二連休した折に、米蔵スタッフから電話がありました。『イ草をお求めのお客様がいらしてるんですけど、ここにあるのをお渡ししていいですか?』。
公開実演をお休みするときは、草履コーナーにひとつの草履もありません。ただしイ草材料だけはコーナーの隅っこに置いて来るんです。まず一般にはこれを「商品」とは思いませんからね。
お休みする日に限ってお訪ねがある話は以前も書きましたが、最初からイ草材料が目的であったとすればまずは一安心と思ったものです。

今日、『この間イ草買いに来たったものぉ』と言いながら入って見えた男性は、もう四度目のご訪問でしょうか、大仙市刈和野にお住まいの60歳代半ばと思しきお父さんです。
二度目のご訪問から角館草履の製作に関心がおありで、いつも一時間ほど実演をご覧になります。前回三度目の折に編み方ビデオをお買い上げになり、いよいよ本腰を入れてはじめる覚悟のようでした。

お父さんの生業は大工さんで、『もう今年限りで引退するごどに決めだものぉ』とおっしゃいます。確かに年齢からいけば、フツーの会社員ならすでに定年を迎えているでしょう。『やっぱり歳を考えてだんシか?』と訊いてみると、『んだなぁ、もうそろそろゆっくり暮らしてもイイべっ』。
ひとつの仕事をまっとうした人間の、達成感とか安堵感を感じましたね。

先日東京にお住まいのおばさまから、『少しまとまった数でも作っていただけますか?』といった趣旨のメールをいただきました。その目的は、定年退職の記念品だったんです。
来年3月で定年を迎えるおばさまは角館草履のご愛用者で、お世話になった同じ部署のみなさんへ記念に草履を贈りたいというわけです。これまでいろんなプレゼント用をお作りしましたが、定年の記念品というのは初めてのご用命でした。私も心して編みたいと思っているんです。

角館草履や私個人を取り巻く環境は、私より年長者のほうが多いと思います。見学に見える生徒さんも私より年上が多いですし、草履のリピーターさんは圧倒的に私より年上ですね。
草履の編み方をお教えしながら、あるいは角館草履の特徴をお教えしながら、また私が教えられる部分の多いことも分かります。

やがて年上が少なくなるのは必然としても、しばらくの間はこうした環境に身を置いていたいものです。

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「変わる」とは…。

2009年10月15日 | 地域の話


今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
紺基調のとんぼプリントをベースに、合わせはエンジ基調のとんぽプリントです。
同柄色違いで組み合わせてみましたが、柄よりも紺とエンジの相性の良さが引き立ちますね。綺麗な草履と思います。
こちらの草履で、とんぼプリントの布地はほぼ使い切りました。人気が高かったのでちょっと寂しいですね。

昨日のブログでお伝えの通り、今日から西宮家は午後5時閉店です。毎年の事ながら、「6時から5時」に変わるときと「5時から6時」に変わるとき、ちょっとした違和感があります。それまで何ヶ月間か慣れてしまった感覚が狂うとでも言いますか、編んでいる草履のキリの良いところで終わろうとしても、時間が足りなかったり逆に余ったりするんです。もっともそんな違和感だって、数日で慣れるんですけどね。

民主党政権が誕生してしばらくが過ぎました。連日なんらかの発言で民主党の政治家さんがマスコミに登場しています。中でも国交相の前原さんはよく出ますね。いっとき民主党の代表も務めた人ですが、年齢が私と近いこともあってか、当時からなんとなく関心を持っていました。

「八ツ場ダム」「羽田空港」「高速道路」、国交省は次から次へと話題が豊富ですね。世の中すべてに一長一短がありますから、すべての人に恩恵のある施策なんかあろうはずがありません。人によって損得両面を併せ持つうえに、人間には感情という厄介なものがあります。

このところの「羽田空港ハブ化」や「子育て応援手当凍結」を見ていて感じるのは、民主党政治は根回しが後なんですね。いきなりドーンと国民に発表して、その後で関連の自治体やその長へ説明する手法です。
人間誰しも、自分あるいは自分たちに直接関わる事柄を、一言の説明や相談もなく全体へ発表されたら面白くないでしょ。成田市の市長さんが羽田ハブ化を、ケータイに流れるニュース画面で知ったなんていうのは、むしろ滑稽とも思えます。

ただよくよく考えてみると、民主党はかねてより「国民主権」を声高に叫んでおりました。国費で賄う事業はすべて国民へ最初に報告する手法は、民主党の理念に叶っているのかも知れません。
50年も続いた自民党政権から民主党政治に慣れるには、これからまだまだ時間が要るんでしょうね。
閉店時刻が一時間繰り上がっただけでも、今日はなんか変ですよ。

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のんびり秋晴れ。

2009年10月14日 | 製作日記


今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
黒基調の銭湯プリントをベースに、合わせは緑基調の縞柄プリントです。
柄は細かいのですが、色調が落ち着いているせいでうるさくありませんね。シブさをお好みになる女性向けでしょうか。平生地はこちらになります。




公開実演お休みの今日は、朝から気持ちのよい秋晴れに恵まれました。最高気温も20℃に近く、日中自転車で街へ繰り出したら、少し暑く感じるほどです。
必ずやらなければならなかった事柄を早々に済ませ、昼前からのんびりきままに過ごさせてもらいました。これが何日も続くと「怠け者」になりますから、私の場合月に一日くらいがちょうど良いとも思えます。

今朝久しぶりに「かくのだて温泉」へ行ってみました。どうやら寒くなると腕に若干の疲れを感じるようで、忙しい時期を抜けて緊張感が緩むのかも知れません。
というわけで、今日の草履が「銭湯プリント」なんですね。

さて、10月17日と18日の両日西木温泉クリオンを会場に、仙北市産業祭が開催されます。私はいつもの西宮家で草履を編む予定ですが、加盟する角館あきんど塾から数名の出店者があります。ほかにあきんど塾イベントブースとして、「百圓商店」を展開することになっています。

いわゆる「100円ショップ」と同様なんですが、違うのは並ぶ商材。どれを見ても100円の商品はひとつもありません。さきほど担当者へ私の商品を届けてきました。かつて販売していた樺細工や漆商品を、この際100円で提供することにしたんです。私が現場を手伝えない「お詫び」も含めてなんですけどね。

明日からまた実演再開です。明日から営業時間が一時間繰り上がって、午後5時閉店となります。夕方のお客様というのは基本的に少ないのですが、どこかの戻り道でお立ち寄りをお考えの方には、どうぞご注意くださいませ。

今月これからのお休み予定ですが、トップページの実演スケジュールの通り、10月30日~11月4日までお休みをいただきます。この期間は若者たちの創作集団「想nic-Art2」が開催されます。ちょうど私の草履コーナーもその一部に利用されることから、草履職人はちょっと遅めの「秋休み」をとることにしました。

ただこの期間、長女と次女が所属する飾山囃子同好会の「大会壮行会」、今年のお祭りの「踊り子社中反省会」、三女の卓球大会、そして長女と次女の進路面談等々があるんです。
「のんびり秋晴れ」なんて言ってるのは、今日が最初で最後のようですなぁ。

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新たな目で「出かける」。

2009年10月13日 | 家族の話


今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
エンジ基調の和柄プリントをベースに、合わせは黒の小花プリントです。
こちらも綺麗にまとまった「和の競演」ですね、エンジと黒はほんとに良く合います。可愛いベース生地はこちらになります。




昨日のブログの通り、今朝田沢湖高原へ行ってきました。朝から雨降りだったのですが、回復に向かう予報を信じて出かけることにしました。叔父は何日も前から今日を楽しみにしていたんです。
天気も残念でしたが、紅葉も思ったより進んでいません。結局田沢湖へ降りて湖畔を一周ドライブしました。雨も上がり、ときおり青空さえ顔をのぞかせます。

ところどころで車から降り風景の撮影、叔父も久しぶりに「出かけた」という気分になったでしょう。私が子どもの頃、叔父と叔母が東京から遊びに来ると、よく田沢湖へ出かけました。当時のことを懐かしく話す叔父に、眼前の田沢湖を昔とは違う新たな「目」で観ているんだろうなと感じましたね。

「出かけた」と言えば、長女と次女が今朝修学旅行へ出発しました。目的地は関西圏と広島市です。広島では日本の終戦を学び、京都では古い寺を見物し、姫路では国宝の城を観てくるはずです。フリーコースに「二条城」を入れなかったのが多少不満ですが、娘たちのスケジュールは私も魅力に感じるところばかりですよ。

サラリーマン時代あれほど全国を訪ねたのに、その土地の歴史や文化をひとつも知ることなく終わった気がします。脱サラから13年、草履職人となって5年、年齢も重ねましたがモノの考えも重ねました。
新たな「目」と「心」で、少しずついろんなところへ出かけてみたいもんです。

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ときには外へ。

2009年10月12日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡円〕
緑基調の縞柄プリントをベースに、合わせは黒の絣調プリントです。
かつて「縞木綿シリーズ」という草履を販売した時期がありましたが、こうした縦縞を使うとその当時が蘇ります。私は好きですねぇ、こうしたいかにも男性っぽい和柄。もしかして女性でも好きな方がいるかと思い、24cmで編んでみました。平生地はこちらです。




その「もしかして…」が大当たり、「今日の草履」は福島市からお越しくださったご家族のうち、30歳代後半と思しき奥様がお持ち帰りです。お母上かお姑さんも綺麗な和柄をお選びくださり、ご主人は定番配色⑦でオーダーとなりました。
いずれ劣らぬ「和柄の競演」、みなさんやっぱり日本人ですね。

さて、秋の行楽三連休が終わりました。遠方からお出での方は朝から帰路なのか、今日の西宮家は比較的近くからのお客様で賑わった気がします。草履のお買い上げも秋田市や由利本荘市が複数でしたね。朝から青空が広がると、ドライブがてら角館散策という方が増えるのでしょう。誰でもときには外へ出たくなりますからねっ。

というわけで、草履職人は明日から二連休をいただきます。明日は紅葉の進み具合を観ながら、田沢湖高原あたりに出かけてみるつもりです。同乗者はカミさんともうひとり、叔母の他界で6月から独り暮らしを続けている叔父なんですね。

片方の足が不自由な叔父は、一人で好きなところへ出かけるということがありません。そんな叔父もデジカメで景色を撮るのが好きで、たまにカミさんが武家屋敷通りに連れ出すと、ここぞとばかりに写真に納めてきます。武家屋敷通りの昨年の紅葉を撮ったのが、ずいぶんお気に入りのようでした。

明日の田沢湖高原、叔父が満足するくらい紅葉が進んでいるか分かりませんが、人はときに自宅界隈から飛び出したくなるものです。草履職人は日々そんな旅人と出逢っているんですからっ。

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限定品はニココニ顔。

2009年10月11日 | 実演日記


今日の草履は、都内にお住まいのおばさまからの、メールによるオーダー草履です。
ご自身も角館草履のご愛用者ですが、このたびはお知り合いへ喜寿のお祝いとして贈りたいとのことでした。お好みの色は「紫」、組み合わせに男性っぽい黒の絣調を使ってみました。ご夫妻分二足揃って、お約束通りあさって到着の予定です。

今朝何気にテレビを観ていると、日本で西洋の置物を販売するフランス人社長が出ていました。自ら弓道にいそしみ、自宅には見事な日本庭園があります。日本語もなかなかのものでしたね。

こちらの会社が販売する置物というのは、日本古来の「雛人形」や「兜人形」、さらには「龍」などの陶磁器なんです。
最も安価なもので数万円、中には数百万円なんてものもあり、これがここ数年右肩上がりで伸びていると言います。

フランス人社長は、『日本人は“意味”のないものは買わない』と断言していました。そして日本人の心をくすぐるキーワードは、「限定品」と「縁起物」と言います。私はそれらの言葉を聞くたび、ひとつひとつに頷いてしまいましたよ。
さらに大きく頷かせた言葉は、『理想は“売る”ではなく“売れていく”ですね』。

東京からお越しの女性三人旅、母娘ペアさんに娘さんのご友人と思います。角館草履展示パネルを眺めながら、みなさんニコニコ顔なんですね。もしかしたらリピーターさんかと思い、『角館は初めてじゃないんでしょ?』とお訊ねすると、『十和田湖あたりまでは来てたんですけど、角館は初めてなんですよっ』。

初めての角館で初めて見る草履、三人三様のお気に入りをお選びです。草履コーナーにいるあいだ、終始ニコニコ顔がとても印象的でした。
お帰り際にお母さんがおふたりに言った言葉が嬉しかったです、『最初から楽しいものに出逢えたねっ』。
「楽しいもの」に含まれる意味には、おそらく「角館でなければ出逢えないもの」があると思うんです。これはまさに「限定品」ですよね。

良く知るおばさまが主宰する「角館を着物で歩こう会」。今日がその日だったらしく、10数名の和服おばさまが西宮家に集結です。秋田市からも参加される方がいて、草履コーナーを過ぎるときはよくお声をかけてくださいます。
うちのおひとりが丸太椅子に腰をかけると、『今編んでる草履、買って行ける?』。

予約品ではありませんでしたから、『イイですよっ』ということで仕上がりまでご覧いただくことになりました。編んでる最中いろんなおしゃべりをしたのですが、やはり喜んでくれたのが「限定品」でしたね。
その配色は先日届いた新柄にあったもので、黒を基調としたおしゃれな草履でした。写真に収める間もなく、おばさまはニコニコ顔でお持ち帰りです。

先のフランス人社長は、日本人より日本人かも知れませんなぁ。

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プレゼントは誰が使う!?

2009年10月09日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
エンジ基調の銭湯プリントをベースに、合わせはエンジです。
赤基調の組み合わせ、なんだか明るく楽しくなる配色ですね。こうした草履こそご年配の女性にお勧めしたいものです。銭湯の平生地はこちらになります。




東京からお仕事でお越しのお父さん。しばらく展示パネルをご覧になり、『こういうのは履くのかなぁ…』。どうやら奥様へのお土産にとお考えのようでした。
角館草履の特徴と健康効果をご説明すると、またまた悩みました。結局、『やっぱり欲しかったら自分で買うのがイイな』と、一旦は草履コーナーから離れて行かれました。
それが10分ほども経たないうちに戻って見え、『なんだか気になるからやっぱり買ってくよ、女房と娘に…』。

その後のおしゃべりで分かったのは、奥様は気に入らないお土産にはっきりNOを言うらしいですね。誰でも貰って嬉しい顔を見たいがために、お土産を買います。それが、『な~に~、これっ』みたいに言われたら、そりゃあショックは隠せないでしょう。
実際こうした過去があったからこそ、お父さんは躊躇したんだそうです。おまけに一足4000円ともなれば、気に入らなかったときの奥様のお顔は、そりゃあ怖いものになるでしょう。

10月5日のブログでご紹介した結婚記念日のプレゼントは、予想通り私の使う頻度がより高い結果となっています。
今日のお父さんが奥様と娘さんのために買った草履を、自分自身で履くことにならないように祈るだけですね。
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台風も縁。

2009年10月08日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
紺基調のとんぼプリントをベースに、合わせはエンジです。
とんぼプリント四部作、最後の作品がこちらです。角館草履の典型的配色と云える紺とエンジの組み合わせ、文句ナシに綺麗な草履と思います。平生地はこちらです。




今年初めて日本に上陸した台風18号、今時刻は午後4時30分を過ぎたところですが、どうしてブログ更新ができるんでしょう。実は台風接近の非常事態を受けて、西宮家が全館午後4時閉店の臨時措置をとりました。無理もありません、新幹線も飛行機も止まり道行く人影はほとんどないんです。

ましてこの台風、この後間もなくが最接近と言います。それぞれが出来るだけ自宅へ居ることが望ましいでしょう。
わが家の周辺は、午後の早い時間に一時間程度の停電がありました。今は復旧していますが、元来台風被害の少ない土地柄ですから、停電もほとんどないことなんです。

そんな中、角館入りはしたものの帰路を断たれた方もおります。韓国人のグループは、帰路の飛行機がないため予定外の「角館のんびり旅」に変更させられた模様です。
でも米蔵の中はずいぶん気に入ったらしく、たくさんのお買い物をして楽しんでました。

埼玉県からお越しのおばさま10人ほどのグループも、予定の新幹線が運休となり遅れて出発する便をどうにか確保したとのことです。
『そんなわけで、ここで時間を作ってるのよぉ』とおっしゃりながら、米蔵の中をじっくり眺めてお出ででした。

そんな中にも草履を気に入ってくださる方がいて、私としてもこの台風の日に予想外の売上です。
おそらく予定通りの新幹線に乗れていれば、西宮家にお立ち寄りにならなかったか、少なくともこれほどの時間は割けなかったでしょう。こんなことにも「縁」を感じるわけですね。

遅れの便に乗れたとしても岩手・宮城と進む行程ですから、きっと徐行や臨時停車といった場面があるでしょう。そういうのって旅の疲れに拍車をかけるんですよねぇ。
ホトホト疲れて戻られたら、まずは角館草履を履いてみてください。台風も角館の想い出になってくれたら嬉しいですね。

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