角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

よくあるご質問①

2007年12月20日 | 製作日記
Q. どうして鼻緒が真ん中じゃないの?

ほとんどのお客様が「鼻緒」と呼ぶのは、親指の付け根が当たる「先ツボ」を指しています。拡大画像でお分かりのように、角館草履は左右がそれぞれ内側に入っているんですね。



最初はちょっとした悪戯心からはじまりました。左右それぞれ内側は親指一本、外側は四本です。そのスペース配分は、おおむね7:3くらいじゃないでしょうか。試しに作ってみたところ、これがなかなか良い按配でした。足を前に進めるだけで履けましたし、小指までしっかり乗るんですね。
それから、『どうして和の履物は真ん中なんだろう?』という疑問が湧きます。調べてみると面白い事実が分かりました。

これは「右でも左でも履けるように」、さらに正確には「ときおり違えて履きなさい」ということだったんです。つまり、外履きの下駄や雪駄を想定しての「片減り防止」なんですね。
確かに人の歩き方はさまざまです。内股の人もいれば、私のように少々ガニ股もいます。左右を決めてしばらく履くと、次第に偏った減り方をしますからね。日本文化の奥深さを知った思いです。

ただ現実は、この文化を知らずに左右を決めてしまっています。これはこれでまた別の理由があると思うんです。それは左右の形が出来てしまうと「履きやすい」ということなんですね。
一度形が出来上がってしまうと、左右を履き替えることにかなり抵抗を感じるのは私もよく分かります。部屋履き専用の角館草履の場合、裏面が極度に減るということはありません。であれば、最初から左右を決めた草履は「履きやすさ」にも適いますし、また文化に反するとも思わないわけです。

角館草履の先ツボが内側に置かれている理由は、ほかにもあります。2007年に新発売し、2008年から定番に仕様変更した「土踏まず付き」は、左右対称に盛り上がりをつけています。こうすると、左右を間違われたら元も子もなくなるんですね。

角館草履は人の足型に逆らわず創るため、誰しも心地良く履けるのだと自負しています。
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