角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

支払いの後先。

2011年12月02日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔4,000円〕
【2012年1月1日より4,400円】
昨日届けられた冬の新柄第一弾です。一般に白っぽい色は汚れの点で不可とされがちなのですが、年間二人か三人くらいに『白っぽい色はありますか?』と訊かれます。私も好きか嫌いかで言えば、嫌いな色調ではありませんね。

秋田市からお越しのおばさまお二方。うちのおひとりが何年か前にお買い上げくださり、履き潰したあとしばらく草履ナシの生活をしていたそうです。お連れのおばさまが関心を示されたことで、おふたりで記念にご購入と相成りました。

お買い上げの際に私が必ず添える言葉は、『早速今日から履いてくださいよ~』。旅の余韻にひとまず飾る話を以前聞いたからなんですが、古今東西草履は履くモノ、特に角館草履は飾ったところで健康効果は得られません。

こちらのおばさまたちにもこの言葉を添えると、『ん~、一日働けば二千円もらえるから、明日と明後日働いたあとで履こうかなっ』。
実演生活も八年目に入りましたが、初めて聞かされる言葉です。

自分にとっては贅沢品や高額品に値するものを購入するとき、一部もしくは全部を貯めてからというタイプと、買ったあとで辛抱するあるいはローンで支払うというタイプの二つに分かれると思います。こちらのおばさまは、先に買ったとは言え収入を得るまで使用しないのですから、前者のタイプでしょう。

どちらかと言えば私は後者のタイプなので、初めて聞かされた言葉に少しばかり感動してしまいました。欲しいモノを夢見ながらコツコツ貯める生活というのは、もちろんその人の性格に因るとしても、経済が沈滞している今の時代に相応しいのかも知れません。

ほとんどお金なんてなかったのに、22年前に建てたわが家。残る返済期間は丸三年まで来ました。大きな買い物をするときはある程度貯めてからが良いことを、身をもって体験した次第です。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする