Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

「小林丼」をいただきました

2018-04-14 | Weblog
作家の秋山真志さんのお誘いで、鎌倉の「ひろみ」で天丼を食べたことを告白しておかねばなるまい。

このお店は往年の鎌倉文士や映画屋さんが通った店ということで、小津安二郎監督が選んだネタだけが載っている「小津丼」、小林秀雄さんが選んだもの=アナゴ、魚、かき揚げが載った「小林丼」が、それぞれお二人の生誕百年のさいに、ご遺族の承諾を得て、裏メニューから表メニューになったのだという。
小津安二郎監督がアタマをツマにして酒を飲んでいたという「小津丼」はクルマエビ等が載っているということだったが、アナゴ好きの瀬戸内出身者としては、「小林丼」を選んだ。野菜(精進揚げ)やエビを拒んだ小林秀雄先生の心中は知る由もないが、おおいに賛同できる内容であった。
これぞ天丼、という醍醐味だった。江戸前といえば江戸前ということらしいが、魚もアナゴも柔らかく、衣が硬くなく薄くて好みである。しかも衣の質感はむしろ極めて肯定的に確実に口の中に残る。今まで食べたことのある天丼とは明らかに違うものだ。もうよそで天丼を食べたくない(次に鎌倉に来られるのがいつか、この店に寄る機会があるのか、コストパフォーマンス的にどうなのかという点で困難を伴うため、そんなことを呟いても、とうてい無理なのだが)。

さすが文士の裏メニュー、睡眠時間二時間半で原稿を仕上げたばかりの身には、染みた。
ただの食いしんぼではない。鎌倉文化に触れたのだ、と胸を張っておこう。

食べ物写真はなるべくアップしないという方針を破り、文化財保存ということで、例外的に掲載。
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久しぶりの小三治師匠

2018-04-14 | Weblog
柳家小三治独演会へ行きました。
逗子文化プラザ・なぎさホール。
作家の秋山真志さんが主宰される「鎌倉はなし会」。もう四十四回めになるという。

秋山真志さんのお誘いで参加させていただくのは、板橋文夫・梅津和時コンビのジャズコンサート以来。

久しぶりの小三治師匠、昨年に頸椎の手術が成功したということで、お元気そう。
長いマクラの後、「千早ふる」。中入りを挟んで、「野ざらし」。
語り口の見事さ、展開の鮮やかさは言わずもがな。いまや人間国宝ということになっているわけだが、独特のざらざらした感触がなくなることはなく、生々しいのが素敵だ。

私が80年代に小三治さんを取材した頃はバイクに凝っていて、ライダーズチーム「転倒虫」を率いて、かなり長いツアーもやっていた。
バイクに凝っていたのは四十から五十までだったということで(ヘルメットが重くて頸椎を痛めたのではないかと本人談)、御年七十八ということだから、私が某誌の仕事で何度か小三治さんを取材したのは、三十年前ということになる。
あの頃の師匠より今の私の方が年齢が上とは。
なんだか時間の経過の速さに唖然とする。

燐光群旗揚げ公演から何度か出演している美香がやっている北鎌倉の喫茶店「ミンカ」にぜひ行きたいのだが、また時間が合わず、未だに一度も行けていない。
明日提出の原稿もあり夕方までビシビシに仕事してからの鎌倉行きだが、ほぼ目途はついているとはいえ結局今また仕事に戻っているのである。
コメント (1)
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