相続とは、無くなった方が残したプラス財産とマイナスの財産を特定の人間が受け継ぐことです。死亡して財産を残す人を被相続人といい、その財産を受け継ぐ人を相続人といいます。
相続人になれるのは法律で定められています。たとえ故人と親しい間柄であったとしても相続人にはなれません。
しかし、遺言書に書き残しておけば第三者に遺産を残すことも出来ます。遺言による財産の分与を遺贈と言います。相続の諸手続きは決められた期限内に行う必要があります。
相続とは、無くなった方が残したプラス財産とマイナスの財産を特定の人間が受け継ぐことです。死亡して財産を残す人を被相続人といい、その財産を受け継ぐ人を相続人といいます。
相続人になれるのは法律で定められています。たとえ故人と親しい間柄であったとしても相続人にはなれません。
しかし、遺言書に書き残しておけば第三者に遺産を残すことも出来ます。遺言による財産の分与を遺贈と言います。相続の諸手続きは決められた期限内に行う必要があります。
家族を亡くした時から相続がスタートします。被相続人の死亡から7日以内に市町村役場に死亡届を出します。
相続の手続きとしては、まず、遺言書があるかどうかの確認をしなければなりません。遺言書が無い時は、法律に則って遺産分割をします。遺言書がある場合は、遺言書の内容が法律の基準より優先されます。
相続の流れ(被相続人の死亡)
死亡届の提出(死亡後7日以内)
遺言書の確認(遺言書は家庭裁判所検認)
相続人の確認(3ヶ月以内)
被相続人の所得税の申告・納付(4ヶ月以内)
遺産の評価
遺産分割協議
相続税の申告・納付(10ヶ月以内)
相続財産の名義変更
相続に関して何らかの犯罪を犯せば、たとえ相続人であっても相続の権利を剥奪されます。犯罪行為は未遂でも相続の欠格になります。
相続の欠格事由
被相続人を殺害した者
遺言を強要した者 (詐欺、脅迫によって、被相続人に自分に有利になるように遺言させたり、取り消し、変更させたりした時)
遺言の変更・取り消しの妨害をした者 (詐欺、脅迫によって遺言を取り消し、変更を妨げた時)
遺言を偽造・変造・破棄・隠匿した者
被相続人の殺害を知りながら告訴・告発しなかった者
被相続人の意思で相続の権利を剥奪することを『相続の排除』と言います。
相続の排除をする場合は、生前に家庭裁判所に対して、相続の排除の審判の申し立てをするか、あらかじめ遺言書を作成して、遺言書に排除の意思を示しておきます。
相続の排除の要件
被相続人を虐待した場合
被相続人に対し重大な侮辱を与えた場合
相続人に著しい非行や反社会的な行為があった場合
※ 相続の排除が認められないケースもあります。
例えば、被相続人への侮辱が一時的な感情からくるものや、被相続人にそぐわない人と結婚したなどの場合は、排除の申し立ての要件には当たりません。
相続で遺産をもらえる人は法律で決まっています。法律で決まっている相続人を法定相続人と言います。配偶者である妻や夫は常に相続人になれます。
相続人は第一順位から第三順位まで、遺産を引き継げる順番が決まっています。
第一順位 (被相続人の直系卑属…子供・孫)
第二順位 (直系尊属…両親・祖父母)
第三順位 (兄弟姉妹・甥・姪)
子供は血縁関係の無い法律上の養子縁組をした養子も含まれます。
胎児も相続権があります。
被相続人が遺言書を残していない場合、各相続人によってどのくらいに配分で遺産相続が出来るのかが法律で定められています。それを法定相続分といいます。
子供がいるとき・・・
配偶者 1/2
子供 1/2 (子供が二人以上いる場合は1/2を人数分で均等する)
子供がいないとき・・・
配偶者 2/3
父 母 1/3 (父母は1/3を人数分で均等する)
子供・父母がいないとき・・・
配偶者 3/4
兄弟姉妹 1/4 (兄弟姉妹は1/4を人数分で均等する)
嫡出子(婚外子)は、その1/2が相続分になります。
父母の一方のみを同じくするいわゆる異母兄弟は、その父母を同じくする兄弟姉妹がいる場合、その1/2が相続分になります。
被相続人の子供が既に死亡している場合、その子(孫)が相続人(代襲相続)となります。兄弟姉妹の代襲相続人は、孫までです。
配偶者は常に相続人になります。
相続の選択肢
相続は、被相続人のプラスの財産とマイナスの財産のすべてを受け継ぐことです。
もしも、相続財産がプラスの財産よりマイナスの財産、つまり、借金が多かった場合は、相続人は、相続財産を相続するかどうかを選択することが出来ます。
単純承認 被相続人のプラスの財産とマイナスの財産のすべてを引き継ぐこと
限定承認 マイナスの財産を清算後、プラスの財産が残った場合相続すること
相続放棄 マイナスの財産が多い場合に、遺産の継承をすべて拒否すること
限定承認や相続放棄は相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所に届出します。
限定承認をする場合、共同相続人全員が共同して家庭裁判所に財産目録と申述書を提出します。
相続の放棄の効果は、放棄した相続人が最初からいないものとして計算されます。(生前放棄は無効です)
たとえば3人の子供のうち、一人だけが相続の放棄をした場合、配偶者と子供二人で計算されることになります。相続放棄があった場合は、その相続人の子供(孫)が代襲相続することは、出来ません。
限定承認や相続の放棄をすると、次順位の相続が開始される場合がありますので注意が必要です。
相続された財産(金銭に見積もることが出来るものすべて)は相続税の課税対象になります。
相続税の課税対象となる財産の例
現金(預貯金)
土地(借地権など)・家屋
骨董品・金属類など
有価証券(株・公社債など)
自動車・船舶など
無体財産権(特許権・実用新案権・著作権)
みなし相続財産(死亡保険金・退職金など)
3年以内の生前贈与
相続人が知らない財産があった場合、遺産分割協議や相続税の計算を最初からやり直さなければなりません。そうならないためにも家族にどのような財産があるのかを伝えておく必要があります。
また、相続が開始されたらすぐに相続財産をリストアップしましょう。預貯金などは、金融機関に、不動産などは不動産のある市区町村役場で課税台帳を取り寄せたりして相続財産の確認をしましょう。
土地の相続税評価額の方法は、原則的に時価で評価しますが、宅地、農地、山林などによって評価の方法は変わってきます。
宅地の評価額の算出方法
路線価方式…路線価格設定地域(主に市街地)。道路に付された価 格(路線価)を基準にします。毎年1月1日に改定されています。
倍率方式…路線価格設定地域以外の宅地。固定資産税の評価額に国税局長の定めた倍率を乗じて算出されます。農地、山林、別荘地等。
家屋の評価方法は、自分で使用しているか、他人に貸しているかで評価額は異なります。
自分で使用している自宅や、店舗、工場などは、『固定資産税評価額』がそのまま評価額となります。
マンションの場合の評価方法は、建物専有部分による『固定資産税評価額』、土地は、マンションの敷地の相続税評価額に持分の割合を掛けて算出します。
他人に貸しているアパート、マンションなどは、貸している相手に借家権がありますので、家屋の評価額『固定資産税評価額』から、借家権割合(だいたい30%)を差し引いて算出されます。
つまり、『固定資産税評価額』の約70%が相続財産となる計算です。
被相続人の遺産の減少を防いだ相続人や遺産の増加に寄与した相続人は、他の共同相続人より『寄与分』として相続分に上乗せして財産をもらえます。
寄与分を決める判断基準は、法律で決まっているわけではありませんので、寄与分の確定は難しいといわざるを得ません。
しかし、寄与分が決まらないと各相続人の具体的相続分が決まりません。それは、各相続人の相続分は、遺産総額から寄与分を控除した財産を寄与者を含む相続人全員で法定相続の割合によって分割するからです。
寄与分について、協議で決まらない場合は、寄与者からの請求により、家庭裁判所で寄与の時期、方法とその程度、相続財産の額、その他の一切の事情を考慮して寄与分を決めます。
被相続人から生前に受けていた利益を特別受益といい
そして、その利益をうけた相続人を特別受益者といいます。
例えば・・・
兄弟一人だけ大学の費用をだしてもらった
結婚式を出してもらった
マイホームの頭金を出してもらった
開業資金をだしてもらった
借金を肩代わりしてもらったなど。。。
生前に被相続人から特別な利益を受けていた人は、その分を相続財産に持ち戻して計算します。
≪ 特別受益があった場合の遺産分割の仕方 ≫
父親が1億円の遺産を残して死亡(母親はすでに死亡)、兄弟3人で分ける場合に、長男は父親の生前に開業資金として5,000万円受け取っていたとして…
遺産の総額は
1億円+5,000万円=1億5,000万円
兄弟3人の相続分は一人当たり5,000万円
ただし、長男は特別受益の5,000万円があるため差し引きゼロとなります。
遺留分とは、法定相続人に対し、相続財産の一定部分について相続権を保証するものです。言い換えれば、被相続人は、その一定部分を自由に処分することが出来ないことを意味します。
例えば遺言で『全財産を愛人に譲る』とあったら、法定相続人は遺産をもらえなくなってしまいます。
そうならないために、相続財産の一定部分について不可侵的な権利があるわけです。
遺留分が保障されているのは、法定相続人のうち、配偶者と子供(代襲相続人)、父母などの直系尊属です。兄弟姉妹は遺留分はありません。
遺留分は、相続人によって違います。
・直系卑属(子供、孫)だけが相続人の場合…各自の法定相続分の1/2
・直系卑属と配偶者が相続人の場合…各自の法定相続分の1/2
・直系尊属(父母など)だけが相続人の場合…各自の法定相続分の1/3
・直系尊属と配偶者が相続人の場合…各自の法定相続分の1/2
・配偶者だけが相続人の場合…法定相続分の1/2
・配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合…配偶者は法定相続分の1/2
兄弟姉妹はゼロ。
被相続人の権利義務を相続人が引き継ぐことを相続といいます。
そして、誰が、何を、どういう割合で、どのように分けるかということを相続人の間で話し合うことを遺産分割協議といいます。
その際、相続財産のすべてを引き継ぐ事(単純承認)や、プラスの相続財産より、マイナスの相続財産(借金)のほうが多い場合は、相続しない事(放棄)も出来ますし、相続はするけれどもプラスの財産の限度でマイナスの財産を支払う事(限定承認)も出来ます。
相続放棄や限定承認を選択する場合は、相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所に届出をする必要があります。
単純承認を選択して、借金がある場合には、相続人が分割によって取得した財産の割合とは別に、借金は、法律で定められた法定相続分の割合に応じて相続人が債務を引き継ぐことになります。
相続財産の分割協議が出来ない場合には、家庭裁判所で分割してもらうことが出来ます。手続きは、調停と審判の二通りがあります。
調停は話し合いです。無事に調停が成立すると確定判決と同じ効力のある調停調書にその話し合いの結果が記載されます。
話し合いがまとまらない場合には、改めて審判の申し立てをしなくても審判手続きに移行されます。審判は裁判の一種で、ケースに応じては、裁判官が職権で証拠調べを行ったりして妥当な分割方法を定めます。
分割協議がととのうまでの間、相続財産は共同所有になります。
そのため、相続財産に関わる費用は、その相続財産の中から支払うものとされており、相続人は、自分の財産と同じ程度の注意で相続財産を管理しなければなりません。それは、被相続人の債権者や他の共同相続人の利益を害さないためです。